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魔女の待ち人  作者: 周
本編
3/39

二人の出会い

少年の名はアル坊、ではなくアルバート。

少女の名は“狭間の魔女”D。



二人の出会いは約8年前。

『魔女の森』入り口に設置している『薬の受渡箱』の下に、上質なおくるみに包み籠に収めて置かれていた乳児がアルバートである。早朝の『火急ベル』で呼び出されたDは出来るだけ急いでその場に赴いたが、人影は既に無かった。

この国では、王侯貴族など身分の高い者ほど色素は薄く、平民でも茶の髪が多い。乳児のまとっていた品々が――特に名前の縫い付けられたおくるみなど――安くは無い物であったことから、身分高い女性が不貞の疑惑から逃れるために遺棄した、というDの推測はあながち外れてはいないだろう。わざわざ村人に目撃されないよう早朝を狙い、呼び出し、赤子が魔女以外に渡るのを防止するあたり、魔女が薬の元として赤子を使うという戯言がまことしやかに囁かれている証の様で不快だが、Dは育てることを決意した。出自を詮索すること無く、ただの魔女の養い子として、いつか手放さなくてはならないことも覚悟の上で。



アルバートは良くできた子どもであった。

まず、病気をあまりしない。妙薬だけでなはく薬膳にも造詣が深いDの功績も侮れないが、すくすくと育った。

次に、4歳頃から料理の真似事を始めた。……Dの料理センスがあまりに破壊的なせいで必要に迫られてというのもあるが、今では彼が台所を一手に引き受けるまでに成長した。

そして、自立の第一歩である通学。『魔女の森』の直ぐ傍らにある領主の城郭街には平民にも門戸を広く開けている学び舎があり、その先には優秀な人材を身分に関係なく重用する仕組みも整っていて、領民全体の質を向上させていた。底上げの成果は街の治安にも貢献しており、努力すれば職を得られるという希望は農家の第二子以下を救い、貧民街を縮小させている。その学校に通わせることで将来の進路を見付けるだけではなく、広い教養と社会性を身に着けさせる目的もあったが、Dの危惧もなんのその、難なく街の子どもの輪に溶け込んだ。それが3年前。


そして今に至る。


多少澄ました所はあるが、概ね素直で真面目な優しい子に育っているとDは思う。

入学の際の“約束”をきちんと守り、余計なトラブルに巻き込まれていないのがその証と言える。


日々がこのまま恙無く過ぎて行けば良いと、腕に下げた籠を持ち直し、散歩を兼ねた『薬の受渡箱』までの道のりをゆっくりと踏みしめた。


誤字・脱字・意味の読み取りずらい表現など、ございましたらお知らせいただけると助かります

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