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魔女の待ち人  作者: 周
本編
11/39

閑話:菓子屋

アルバートが聞いた噂の内容です。

閑話扱いで良いのか悩みましたが、「おうちが一番」や「寄る辺なき身」には入れずらかったので、このような形を取りました。


週末に備えて少し張り切って菓子を買ったアルバートは、会計を済ませ袋詰めされるのを待っていた。

菓子ケース横はちょっとした喫茶スペースになっており、アルバートの位置からは声だけが聞こえてくる。


「……魔女と言えば、あれはちょうど10年ほど前だったかね」


『魔女』の言葉に思わず耳が反応していた。


「あたしゃ見たんだよ!跡取りがお亡くなりになったって公布される前日の早朝に、お邸からすごい勢いで魔女の森に向かう領主の馬車を!あれは奪還に向かったに違いない!」

「あれ、でもお亡くなりになったって公布されたってことは?」

「間に合わなかったんだろうさ!」

「恐ろしいこと……」

「忌々しい事さね」


カーッと頭に血が上るのが分かった。

渡された紙袋を奪うように受け取り、扉から飛び出しながら鞄に仕舞う。

頭の中を駆け巡るのは『10年前』と『魔女』と『領主の跡取り』。

ずっと見ないふりをして奥底に仕舞いこんでいた疑問に、光が当たる。


(僕は誰の子ども?)


学校に上がると、学友たちには当たり前に親が居た。

アルバートはDとの約束で、学校では『魔女』の話をしない。

でも、養い親はDである事は間違いなくて。

では、生みの親は?

今まで聞いた事が無かった。

そして疑問に思っても、聞けずにいた。

いつもの調子ではぐらかされる事が分かっていたから。

しかし今聞いた事は……


『10年前』と『魔女』と『領主の跡取り』


(僕は、誰?)


逸る心を抱えて少年は街を走り抜けた。


個人的には「あたしゃ見たんだよ!」のフレーズは浅香〇代・風でイメージしています。


誤字・脱字・意味の読み取りずらい表現など、ございましたらお知らせいただけると助かります。

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