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第3話 S極とS極

注目!!だんだん!!だんだん!!


屋敷の地下5階。俺はホワイトボードに貼られた1枚の写真をペンで叩き、ノエルとフィーネに作戦の全貌を熱弁していた。


「であるからして、ロード・シルファード、この男は我々をも救う救世主になるかもしれない」


ーーー

遡ること2日前、いつものようにエルゼ様の様子を盗聴し、朝ごはんを嗜んでいた時のこと。


俺の耳にはある信じ難い言葉が飛び込んできていた。




『ロード様に襲われたい』




17歳という年齢を考えれば、本来何ら不思議ではないはずの言葉であるが、攻撃的なエルゼ様が言うと妙な違和感があった。


何故かって?


だって、貴殿は生粋のドSなんだからぁ…


まあ、何事も経験ではあるから止めたりはしないけれど、初心者でロード・シルファードだけはやめておいた方がいい……素人目で見てもとにかく難易度が高すぎる。


だが、これは噂が独り歩きしているだけかもしれない。鵜呑みにするのは危険だ。


だってこの世は嘘ばかりなのだから。


ーーー


とまあそんなわけで、俺達は今、歴代最強勇者と呼ばれし男。


ロード・シルファードの盗撮映像を見ている訳だが、


こいつぁ、やばい……。語彙が無くなるレベルで凄いんだぁ。


そう。誇張なんて無かったのである。


サッ、スッ、スッ…スッスッ…


芸術の域に達した剣筋は瞬きをする度に怪物の魂を捉えた。


彼の凄技は色んな言葉で語られているが、時代が許すのであれば"神業"そう呼ばせて頂きたいレベルの代物だったのである。


「なぁ、フィーネ…どうだ?覚え…られそうか…」


「うーん。」


曖昧な返事をする妹だがどうやらファッション雑誌を見ているようだ。うん。普通に破りたい。


「この服、可愛いわね。あっ、一応、トレースの方はね。もち!おっけー!」


取ってつけたような略された返答はキャンディの散歩を頼んだ時と同じものであったがこれが許されていいのだろうか…?いや、たぶんダメだ


そして、この返事と同時に奇妙な光が彼女を纏いドレスを形成させていく。


そう。この世に歴代最強の勇者がいるように、


歴代最強の異能力者もまた、この世に存在しているのである。



フィーネ・ルーヴァン・シルバーバーク


異能力:トレースアイ

能力:見たものの完全再現



「さすがはシルバーバーク家きっての天才だ」


よし。準備は整った。


「それでは作戦を開始する」


ーーー


その後、会議を終えたフィーネは現場へと直行し、エルゼ邸のある一室の前である言葉を待っていた。


「次の方どうぞ。お入りください」


やっとかぁ…


ギリギリ、焦らしプレイにも感じ取れる長すぎる面接待機時間はさしずめチュートリアルと言ったところ。


精神的に疲れただのなんだのと言っている場合では無いのである。


『本番はここから始まるぞフィーネ。本作戦は…お前のアドリブ力に8割のウェイトを置いている。これは過言ではない。繰り返す。これは過言ではない。』


絶対にありえないことと知りながらフィーネが万一、へこたれている可能性を考慮し、俺は無線で釘を刺すように活を入れた。


『うーん。おけ〜。』


緊張感のない間抜けた返事がこれ程までに頼もしいと感じたのは初めてだ。さすがは我が妹。


フィーネが扉を開けると画面上にはドS女王。エルゼ嬢の姿があった。


「あっ、あの初めまして、そのどうぞおかけになってくださいまし。」


いつもとは違うその立ち振る舞いはドMの素質を感じさせる程のものであった。


もう何も分からない…。


「あ、あの。その自己紹介からお願いしてもよろしくて」


「もちろんだ。エルゼ嬢。」


咳払いをし、喉の調子を整えるとフィーネはマントをなびかせ名を会場に轟かせた。


「我が名はロード・シルファード。世が言う歴代最強勇者、本人である。」


偽物しか言わない本人宣言をしているが、エルゼ嬢が口元に手を当て、すごーーーーーく刺さってそうだからよしとすることにした。


『では、フィーネ君。例のあのセリフ畳みこんじゃってください。』


了解の合図だろう。その場で3回。全力もも上げジャンプをすると、少し息を切らしながら要望に応えた。


「我が貴殿の執事を所望するのは、他でも無い絶世の美少女である貴殿を襲いたいためである。」


隣にいるノエルが冷めた目で見てくるが俺は気にせず拍手をすることにした。


『素晴らしいぞ。フィーネ。効果は抜群だ』


『いや騙されちゃダメですよフィーネ様。こんな執事、普通に危ないのでこのままでは落とされてしまいます。暗殺者でももっとまともな志望動機を言うはずです』


だがな。ノエル。俺の手元にある好感度測っちゃーうず君は好感触を示す最高指数。★10を確実に表示している。


『大丈夫だフィーネ。突き進め!お前のアドリブ力を見せつけてみせろ!』


5回の全力もも上げジャンプで気合いの入れ具合を表現すると腰元にある剣を放り投げ、決めゼリフを吐き捨てた。


「拾え!エルゼ嬢!我はおなごでも手加減はしない」


『『「あれ?」』』


3人が同時に困惑の表情を浮かべ、同じことを思った。


うーん?何か…思ってたのと違う…



ーーー

この時のやり取りは後に


恋愛小説


『S極とS極の初めての交わり』


の冒頭部として広く知られている。



「我は怪物より麗しき貴殿と時を過ごしたい。手を取ってくれかい」


引用︰S極とS極の初めての交わりの冒頭部


ーーー





つづく




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ルーク様。私にその変な機械向けないでください」


星はなし。どうやら故障のようだ。

俺の目算では星5は固い。はず…

☆☆☆☆☆→★★★★★


ご視聴ありがとうございました。


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