四話 ひきづり村と呪い
「フアク!!」
私は思わず空に向かって吼えた。
どうしようもなく心が乱れてどうしようもなくなった。
「おいおい、Fワードは不味いよ、わをんちゃん」
あぎとくんが私を宥め始める。
呪われたというのに冷静すぎる。
これでは、焦っている私の方が被害者のようだ。
髪を掻きむしりたくなる衝動を必死に耐えて、大きく息を吐く。
「・・・・・・違いますよ。不悪、悪からず、悪しからずですよ。もしくは不惑、まどわないこと、心が乱れたり悩んだりしないこと。一年の抱負にしようと思いましてね」
「成る程、今年度の抱負かな? 目標を掲げて努力するのは大切だよね」
あぎとくんが頷く。
納得してくれたようで何よりだ。
いや、なんで納得したんだ。
私は別に抱負を急に叫ぶような人間じゃない。
いや、違う。
そうじゃない。
今、大切なのはそちらではない。
のろい。
のろい。
呪い?
呪いって何だ。
「・・・・・・その呪いって、何なんですか、あぎとくん」
落ち着こうと再度息を吐いて、頭をゆっくりと振る。
頭に血が上りすぎている。
とにかく、落ち着かなくてはいけない。
頭に血が上った状態で行動してもろくな事はないのだ。
「この廃神社でおかしな・・・・・・人間からか怪異からかはよく分からないけど、呪いをかけられた。呪いの解析は、あんまりうまくいってないから分からないけど、この村の事象を解決しないと僕は死ぬ、らしいことは分かる。いや、それだけは分かるようにしてあるというべきかな」
「フアク!!」
「心が乱れそうなの?」
「えぇ、とても!」
最悪の状態だ。
何でこんな事になるんだ。
狸の時もそうだった。
此方は関わろうとしていないのに、搭乗していた飛行機の隣の席に全裸の男が乗ってきたと思ったら、まさかの問題の狸で、その後否応なしに化かし合い合戦に巻き込まれたのだ。
それを勝手に首を突っ込んだみたいに、上から叱られたのは本当に納得ができない。
最悪。
本当に最悪。
いくら避けてもあちらからトラブルの方がやってくる。
これが終わったら厄除けに行かなくてはいけない。
そうだ、折角なら京都の有名な神社に行こう。
それで、念入りにご祈祷してもらって、美味しいモノを食べて・・・・・・。
パシンと飛びかけた意識を自身の顔を叩いて戻す。
そして、深呼吸。
今はそれどころではない。
とにかく、呪いだ。
呪いについて考えなくてはいけない。
「この村、滅ぼしたら解かれるタイプの呪いでしょうか?」
「恐らく、呪いをかけた人間が死んでも続くタイプとみた」
「フアク!!」
私は高らかに叫んだ。
廃神社の外で音に驚いたか何かした鳥が飛び立つ音がした。
ギャアギャアと怒り狂った鳥の鳴き声が響く。
私も怒り狂って叫びたかった。




