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二十五話 ひきづり村と異変




「俺が必ず犯人をぶっ殺してやる」

 加山さんが私達にそう宣誓した。

 胸を張って、仁王立ちの堂々たる選手宣誓である。

 そこはいい。

 勝手にすればいい。

 私たちには関係のないことである。


 だが、そのまま私達と共に高倉さんの自宅に泊まると言い出すとは思わなかった。

 さっきから、高倉さんが一ヶ月程文明のない土地に放り出されることになった女子高生みたいな顔をしている。


「帰ってください・・・・・・」

「馬鹿野郎! 家になんて帰ってられるか! 俺はコイツらに引っ付いて、カイワレだかレンコンだかをぶっ殺してやらねぇといけねぇんだからよぉ!!」

「いや、本当に帰ってください・・・・・・」

 加山さんは瓶ビールを呷ろうとして止まった。

 そして、そのまま瓶ビールを床に置く。

 恐らく癖で飲酒しそうになったのだろう。

 だが、犯人を、いや【鬼】をぶちのめすためには、酔っているわけにはいかない、と思い直して飲むのをやめたといったところか。

 むしろ、こちらとしては、飲んでくれた方がさっさと寝入ってくれそうで助かる。

 まぁ、そうなった場合、高倉さんの家に、酔っぱらった加山さんを放置し、私たちはさっさと調査に赴くことになるだろう。

 そうすれば、困るのは高倉さんだけだ。

 とっても平和なルートである。

 その後は知ったことではない。



「・・・・・・寝させてほしいんだが! 午前五時だぞ五時! もう、ほぼほぼ朝じゃねぇか!!」

 耐えかねたらしいあぎとくんが叫んだ。

「そんなんじゃ、倒せるもんも倒せねぇよ!!」


「というか、加山さんは本当に出て行ってくれませんかね・・・・・・」

 高倉さんが眼鏡を外して、眉間を揉みながら溜め息を吐く。

 手の下のその顔は、くしゃくしゃに歪められた。

 いっそ、哀れみさえ覚えるほどである。

 よほど苛立っているのか、もはやハンカチなど使わず、かいた汗を乱暴に袖で拭い始めた。

「もう、私は事件に事情聴取にで、あっちこっちに引っ張り出されて疲れてしもたんですわ。それにスペースもないし」

「テメェは黙ってろ高倉! 大体テメェがしっかり調べねぇせいで、事がこれだけデッカくなってんだろうが!!」

「は!? いえいえ、違いますからね!! なんで私のせいになるんですか!! あんたときたら野蛮で全く嫌になりますわ!!」

 ついに高倉さんと加山さんの言い合いが始まった。

 取っ組み合いまではいかないまでも、お互いに至近距離で顔をつき合わせて唾を飛ばしている。

 二人揃って朝方間近のテンションではない。

 まるで飲み屋の中にいるかのようだ。

 いや、恐らく、寝不足のせいで、怒りやすくなっているのだろう。



 それをあぎとくんがブラックホールのような瞳で見ている。

 今にも二人を呪い殺しそうだ。

 チラリとその瞳が流し台の方を振り返った。

 流し台、いや、その下の・・・・・・。

 うん、これは、凶器の位置を確認しているな。


「・・・・・・なんか、まだ眠れそうにないし、恋話でもする?」

「は? 僕以外に好きな人ができたって事? その場合わをんちゃんを殺して僕も死ぬけど?」

「ん~、太宰~」

「ちょっと、包丁取ってくるから待ってて」

「いやいやいやいや、私の好きな人だぁれだ? 正解はあぎとくんっていう、お馬鹿カップルムーブしたかっただけなんで、許してください、ホント」

 気を惹くことには成功したが、殺意まで此方に向けてしまったらしい。

 とんでもないことになった。





 爆音。



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