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十三話 ひきづり村と学校




 木造でこそないが、古めかしい校舎だ。

 白かったはずの外装は所々はげて、黄ばんで、黒ずんでいる。

 だが、まぁ、小学生五名だけの学校にしては、立派過ぎると言わざるおえない。

 大きさも建築物も。


「ここに五名か」

「贅沢というか、無駄というか」

 そりゃあ、これを五人で使っていたら、廃校案もでるだろう。


 正門を通り、玄関口から入る。

 学校の大きさに見合った大きさの下駄箱だ。

 つまり、当然のように五人という数には見合わない。


「どこ、使ってんのかな」

「どうかな、探してみる?」

「そうしよう、右からお願い」

「おっけー、分かった」

 私とあぎとくんが左右に分かれ、下駄箱を探索する。

 大体の下駄箱は埃が積もっていて、使われた形跡はない。


 ちらりと振り返ると、高倉さんは何かを警戒するように辺りを見回している。

 私たちの方を気にしているわけではないようだが、一体何を警戒しているのだろう。



「・・・・・・昔は三桁まではいかんまでも、そこそこ子供も居たらしいんで、その名残ですわ」

「はぁ、この小さな村にですか」

 警戒し終わったのか、黙っていいるのも気まずいのか、高倉さんが学校の説明を始めた。

 それに下駄箱を見渡しながら、お座なりに答える。

 当然のように、あぎとくんからの返答はない。


「えぇ、昔は食品工場が村にあったらしくて、賑わっとんたらしいんですわ。村の人間は大概そこに勤めとったし、そこに勤めるために外からぎょうさん人も来おったみたいですからなぁ」

「食品工場?」

 こんな村に食品工場があったのか。

 交通が不便そうだ。

 いや、昔はそうでもなかったのだろうか。


「村の外れにまだ跡地が残っとりますよ」

「跡地ですか。取り壊していないんですね」

「えぇ、工場が撤退する際に、村からそうとうな反発があったらしくて、壊せんかったみたいです」

 確かに、村にある工場、しかも大概の村人が勤めていた工場がなくなる、というのは痛手だろう。

 それにしても、反発、か。

 反発。

 エグそうだなぁ、この村の反発。

 ほぼほぼ暴動だったんじゃないだろうか。



「まぁ、あんな事があったんなら仕方ないんですけどね」

 小さく呟く声だったが、だだっ広くて死んだように静かな学校の中では、嫌に反響して大きく聞こえた。


「・・・・・・あんな事?」

 それはどんな、と聞こうとして、止まる。




「・・・・・・あぎとくん、ありましたよ」




 下駄箱に入っている靴や上履きが見つかったわけではない。

 下駄箱には靴も上履きもなかった。

 自宅学習だとかの話があったし、恐らく、回収されて学校にはないのだろう。




 だから私が見つけたのはそう言うものではない。

 くしゃくしゃにされた紙、破かれた本、お菓子のパッケージ、潰れた紙パック、土と石、葉っぱに枯れた花。

 ゴミ箱に入れられるような物がそこには詰められていた。




 ネームプレートに書かれた名前は柴田結衣。

 人殺しと呼ばれていた少女の下駄箱だった。





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