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届かなくても

この作品は

私が実際に体験した話です。


なので

少し背景や名前は変えています。





私が

感じた思いを

感じながら読んでくれると嬉しいです。







プロローグ



人は

変わっていく

人間関係の中で

…何を

求めるんだろう?




あたしには

分からなかった



そぅ…

キミも―知らなかったよね…。




けど……



キミとの時間が

あたしに

ゆっくり

その意味を

教えてくれたね。






もしもあたしが

キミと

出会ってなかったら

その答えも

意味も

知るはずなんて

なかったんだ。






そう考えると

運命なんだな…

って

思うよ




けど…


そう考えてると

きりがないね…







あたし…いつも

考えてるよ。

ぉもってるよ。






キミが

あたしの―…

運命の人。

…だったのかな?

って……







その答えは

キミと

あたしだけが

知っているんだ。


だから

あたしは

信じてるよ


あたしとキミの

可能性…










第1話



桜



あたし

櫻井めいは

中1になった





クラス表を

親友の咲と沙織と

グループの人と見ていた






―!!!?


(°□°;)






さっきまで

笑顔だった

あたしの顔が

一瞬にして曇る






「…どぉしたの?」


「大丈夫?」



沙織と咲が心配そうに見て言う。




「え―……うん」








それを

聞いた咲と沙織が

ゆっくり

後ろを振りかえって

あたしが見ていた

クラス表を見る





そして同じように



「…ぇー…!!!!」




あたしは

その声に反応する。




「ちょっと。―めい…!!大丈夫なの???」


「―分かんない…」



「どぉすんの…木村とクラス一緒じゃん………」








木村は

あたしが

好きだった人で

あたしの男友達だった

しかも木村は

あたしの相談相手

告白したら

絶対……

上手くいくって

思ってた。







けど……



木村には

好きな人がいたんだ。



―でもね

あたしじゃ

なかったんだ。



あたしの親友の

ゆきなだった。







卒業式…

あたしはダメ元で

告白しようとしてた



けど…

木村は居なかった

先に

帰っちゃったんだ。

だから

言えなかった。






でも

春休みに

木村がゆきなに

告白したことを

親友のヒロから

聞いた





そして

好きじゃないのに

付き合っている

ゆきなの事も……




あたしはゆきなを

避けた






木村の思いを

踏みにじる

ゆきながイヤだった。



木村のキモチを

知らないゆきなが

うざかった。





それから

今日の入学式まで

二人とは

距離を置いていた









「―めい。つらかったら言って…??」






そんな優しい

咲と沙織の言葉に

あたしは

助けられたよ





そして

生徒が

クラス順に並んでいく






………木村の事は

もう

なんとも

思ってないから…

堂々としてたら

いいよね?






何回も

自分に言い聞かせる。






そうしていると

あたしの前を

すらっと背の高い

カッコいい

男の子が通り過ぎた








「……っ」



目が離せない。





その子はあたしの

斜め前に並んだ





キレイな瞳に

優しい表情…

少し焼けた肌。






――名前…

何ていうのかな?





ドキン




ドキン



あたしの胸が

リズムよく鳴りだす。






――カッコいい






いつのまにか

あたしの中は

その男の子で

いっぱいになって

いたんだ。







桜が咲くこの季節


あたしは

名前も知らない人に

恋をした

桜が風にふかれて

ハラハラと散っていく中で……



そう

最悪の恋をしたんだ。









しばらく

ボーっとしていると

誰かに

声をかけられた


「ねぇ…」


「―ぇっ?」




声の聞こえた方を見ると

そこには

カッコいい

女の子が

いたんだ。



でも

瞳が大きくて

すらっと背が高くて

笑ったら

可愛くて……

さっぱりしていて

どこか

優しそうだった



これが

美咲との

出会いだった。




「―名前…何て言うん?」



「―え…と櫻井めい…」


「めいか……」


「えっと…名前は?」



「あ…ウチ!!?ごめん。忘れてたウチは美咲。めいって呼んでいい?…あ。ウチは美咲でいいよ」




「うん…いいよよろしく美咲。



「美咲は部活どぉするん?」



「ウチはバスケかなミニバスやってたからめいは?」



「あたしは吹奏楽かな……」



あたしと美咲は

ずっと

しゃべっていた。







―でも

楽しいことは

長くは

続かなかったんだ。



あたしが……

美咲の夢を

壊しちゃったんだ。



ごめんね……


美咲。

あたしのこと

―恨んでいいよ…?



あたしが

全部受け止めるから。








写真撮影……

写真を

取っているとき

あたしの足元に

茶色く枯れた

花びらが

落ちていた…



あたしは

そんな花びらを

見ているのがイヤで

横に蹴った。



花びらは

ゆっくりと

宙に浮いてすぐに落ちていった




まるで

これからの

あたしのように―






写真撮影が

終わって

先生に

案内されて

教室に向かう。



教室の

プレートが見えてくる…




1年3組――


ここが

あたしの新しい

スタート地点



…ょぉし

頑張ろう





みんなが

紙に書いている

席順を見て

席に座っていく。






あたしの席は

窓側の一番後ろ


隣はいない。




だから

窓から

優しい風がふく。




斜め前は

あの男の子だ…



その隣は

美咲…





うらやましいな…




ちょっとだけど

美咲に

ヤキモチを焼いていた




先生が

出席を取っていく。







―次だ


次にあの男の子が

呼ばれるんだ…


あたしは

緊張しながら聞いていた…





「…岡本峻一」



「はい。」





峻一って言うんだ?

意外だったなぁ



声も聞けたんだ…



―嬉しいっ








声と名前…

少しだけど

俊一くんを

知れたことが…





峻一くんの声を聞けたことが…






それだけで

あたしは幸せでした








あたしの事も

知っていてくれたら いいのに……




知ってる

はずないよね…。




学校も

一緒じゃなかったし…



今日

初めて会ったんだから。


知ってたら

逆に怖いよ?







あたしは

一番後ろの

風が優しくふく

席で

風にふかれながら

眠った。







―どれだけ

時間がたっただろう?




まだ眠たい瞳を

開けると

あたしの目の前には

美咲がいたんだ。






「―っ?!!」


「お―めいおはよー」



「…あ。おはよ。」



美咲と話しながら

空を見上げる。


窓から

空を見ると

もぅ…

陽が落ち掛けていた。




…峻一。

帰っちゃったんだ。


話してみたかったなぁ…。





あたしは

しょんぼりして

美咲と帰る。





美咲と

別れてから

あたしは

小さな丘に向かった。


そこからは

ちょうど

夕日が見えて

すごくキレイだった。





―こぅいぅトコに

彼氏ができたら

一緒に行きたいな…





あたしは

ずっと

空を見上げていた




そして

家に帰って

ベッドに横たわる。





「…俊一と今日…会えて良かった。」




俊一の事を

考えていると

あたしは

いつのまにか

すやすやと

眠っていた






……あたしは

ドコにいる?―


真っ暗な世界に

あたしが一人

立っている


あたしの

目の前には

俊一がいたんだ。




あたしは

俊一に

話しかけてみる。





「…ねぇ?」



「……何?」

俊一が

振りかえって

あたしを見る。




俊一に

見つめられると

あたしの

鼓動が

早くなっていく。




「―っ。ぇっと…」


「何?」


俊一に急かされて

あたしは混乱する。





―どぉしよぅ…

―何を話したらいいの…?

p(´⌒`q)





「あたしの…」


「―ん?」


「あたしの名前…知ってる…?」



………っ!!!

―バカバカっ。

知ってるはずないじゃん―

はぁ。

聞かなきゃよかった…






「―知ってるけど?」


「ぇっ?」



…うそっ。




「…櫻井めいだろ?」


「うん!!…あたしの名前…知っててくれて…ありがとう。」




うれしすぎたのか

あたしは

ボロボロと

涙を流して

泣いていた。





そして…

そんなあたしを

俊一が

抱きしめていた。






しばらく

そんな状況が続いて

俊一が唇を開いた。




「…ごめん。俺…やっぱ―お前の事好きやねん…。」






うそ………?


「えっ?………あたしも…好きだよ?」



「…本当に?」

―ガラッ




扉が開く。

その音で

あたしたちの会話が引き裂かれる






―ドサッ…

何かが

落ちる音がした



あたしと俊一は

音のした方を見る




そこには……

美咲がいたんだ。





「……美咲?」


あたしは涙を拭いて

俊一から離れた。




「―何で?何でめいも………岡本の事が好きなの…??」




「…え?」



「あたしの方が…ずっと好きだったのに…!!」





―がばっ!!!!!

あたしは

目が覚めた。



…なに?

すごく…

リアルだった。

リアル過ぎて

怖かった。





けど…

『お前の事が好きだった』



あれって…?

何だったの??




『何で…?めいも岡本の事が好きなの?』


『あたしの方がずっと前から好きだったのに…!!』




美咲………


あたしは

どぅしたらいいんだろう?




朝から

あんな夢を

見てしまったからか

学校に行く

足取りが

重かった。






―ガラッ。


「―おはよ。」



昨日

友達になったばかりの

春とナナと

ひよりとあゆが

話しかけてきた。





「めいおはよ。」



「うんおはよ」




あたしは

みんなでバカばっかやって遊んだ。






キーンコーン………


「あ。やば!!チャイムなった。」


「んじゃまた後で」






席に着くと

美咲が視界に入る。




「…っ。」



美咲と目が合う。



「おはよ。めい。」



「………」




「…?あれ?めい…どぉしたん?」



「………えっ?別に。」




「そっか…。」





―よかった…

やっぱり夢じゃん!?



あの夢が

本当になるはずないじゃん………




―ばかだなぁ。

あたし…







けど

あたしの考えは

甘かったんだ。







「今日は班の係決めるからね~?」




道徳の

ざわざわとした

空気のなか

先生がみんなに話す。




「先生が帰って来るまでに決めてね?」



「え―っ!?」

「だるい――!!」



「それじゃ行ってくるからっ。ちゃんと決めてね?」




そう言うと

先生は

生徒の文句も聞かずに

走ってどこかに行ってしまった。

残された

あたしたちは

仕方なく係を決めた。




「めい―?係さぁ‥これでいい?」



「うん…。」



「なぁなぁ櫻井」


「ん?」


プ二っ。




「―っ?!」


「あははっ引っかかったっ」




あたしは

この目を疑った。


あたしの目の前には

笑顔で笑う

俊一がいたから…




「岡本…?何で?」


「なんかやってみた。」



「はぁ―?!なにソレ……」




「てか…めっちゃプ二プ二やん」




俊一に

ベタベタと触られる

ほっぺた。





体温が

少しずつ……

上がって行く。




「…ほめてないっ」



あたしは

ふてくされた

フリをして

俊一から離れた。




そんなあたしを

美咲が見ていた。




けど

あたしは

美咲が

見ていたことには

全く気付いていなかったんだ。






……早く。

気付いていれば

よかったね…。




早く気付いていれば…

あたしも

美咲も

こんなに

傷つくことなんて…

なかったのに。






「…ねぇ?めい。」


「何?美咲…」


「あのさ…あたし。岡本の事好きなんだ。」


「…えっ?」



「…めいも―好きなんやろ…?」



「…えっ?何で……」


「好きなんやろ?」


「…うん。」



「そっか…。」


「美咲…ごめん。」



「いいよ…あたし。今日コクるから。」





―えっ?

どういう意味…。

何で…


あたしは

何も考えられなくなった。


明日…?

何でいきなり……



しかも。

さっきの美咲の顔…

真剣だった。






あたしが

見た夢は間違いなく

現実になった。





あたしは怖くて

仕方なかった。





…美咲。

いつから知っていたの…?



入学してから

1ヶ月…


初めから美咲は

わかっていたの?

こうなる事を

わかっていて

友達になったの?






もぅ…

わかんないよ…










あたしは

授業中

前を見れなかった。



楽しそうに話す

美咲と俊一がいたから。


つらかった。

見たくなかった。






「櫻井も話そ?」

俊一の前の席の

タッキーがあたしを

誘ってくれた。




タッキー…。

タッキーのおかげで

会話に入ったあたし。




でもね…

気まずかったよ。


明日

俊一が美咲に

コクられるって

知ってるから

辛くて……



俊一の返事が

気になって―…





どうしていいのかわかんないよ…






もし。

あたしも俊一に

思いを伝えていたら

俊一は

どうしていたの?



そぅしたら

未来は変わってた?



けど…

この時のあたしは

弱くて

何にも

できなかったんだ。







帰り…

俊一に

呼び止められた。




「櫻井…」

「…何?」

「何で今日そんなに元気ないんだよ…。」

「別に…普通だよ?」

「なんか悩んでんの?」

「…何にもないよ!!」

「―嘘つくなよっ!?」


俊一の前を

通り過ぎようとすると

俊一に

腕をつかまれた。




俊一は

あたしの顔を

自分に向けた。






「―っ……。」


「―えっ?」




俊一は驚いていた。

俊一が

見つめているのは

あたし―…。



俊一の前には

涙を流す

あたしがいた。





「…………」


俊一は何も言わない。




あたしは

ただ…………

瞳から

暖かい涙を

流していた…。



「…俺が原因なの?」

「……………違…うよ?」

「…じゃぁ―理由…言って。」


「それは……」



「……………」



また

二人の間に

重い空気が流れる






「…俺と……木下の事……?」


あたしの

胸が騒ぎ出す。

あたしの瞳に

また

涙が勢いよく

流れる…。




「…そぉじゃないっ!!!!!」




あたしは

俊一の腕を振り払い

走っていった。




「…櫻井っ!」


「…………。」

あたしは

黙って走った。



けど……

20メートルぐらい

走って

あたしは

立ち止まった





「…岡本に……」


「…………」


「岡本にはあたしの気持ちなんて………」


「……」


「わかんないよっ…」


「…え」





そぉ言うと

あたしは

その場を去った。








家に着いてから

あたしは

泣き続けた。



俊一に……

伝えればよかった…



何度も

後悔したよ…






そして

とうとう……


運命の日は来た…





あたしは

わざと

咲と沙織と

遅刻していった



美咲に会いたくなかったから……

俊一にも

会いづらかったから。




あたしは

3時間目に来た




―ガラッ


「…………」



みんなの目が

あたしに向けられる。




「……見んなよ。」



あたしは

小声で言った。



美咲と目が合う。

美咲はあたしに

微笑んでくれている。




けど

あたしは

美咲に苛立ちを

覚えた。





―何で…笑ってられんの?

―何でそんなに余裕なの……?



意味

わかんない…


あたしは

美咲の事を

無視して

席に着いた。




席に着くと

美咲に


「なぁ?さっきの気付かんかった?」




「………別に。」



「どぉしたん?」


「…大丈夫。」


「本間に?」


「うん。」


「……めい。」


「何?」


「ごめんね…。」




―ブチっ。

あたしの頭の中の

何かが切れた。





「…は?美咲。何が言いたいの?どんだけ、あたしを苦しめんの……!!??あたしの気持ち…わかってんの!!?―…何も知らない癖に…!!!アイツの事も知らない癖にっ!!!!」






「…えっ?」


教室に静かで

重い空気が流れる。






視線を感じる。


視線を感じた方を

見てみると

俊一がいた。


俊一とあたしは

目が合った。




俊一は

目をそらさないで

あたしを見る。





「………っ。」





静かで重い空気…


あたしに

集まっている

クラスの視線…


美咲の

驚いている表情…


俊一の視線…







あたしは

そんな状況に

耐えられなくなって

教室を走り去った。








授業中で

静かな廊下に

あたしの足音だけが

響く。




その足音に

誰かの足音が加わる。




「めいっ!!!」



懐かしい声が聞こえる。



ゆっくり

振り返ると

小学校が一緒だった

鹿野慎太郎が

いたんだ。





「鹿野……?」




あたしの

瞳にたまっていた

涙が溢れ出す。




「めい…あのさ。どぉしたの……?」




「―っ…何にも……ないよ??」


あたしは

涙を拭いて

鹿野に小さく笑った





あたしが

また

走って行こうとした時

鹿野に呼び止められた





「…俊一の事?」


あたしは

ゆっくり鹿野の方に

振り向いた。

「何で……」





「―分かるから…」


鹿野は困ったような表情をしながらあたしに言った。




「…えっ。」



「めいの事ちゃんと…見てたから―」



鹿野が

真剣な表情になってあたしを見る。



あたしの体は

金縛りにあったかのように

動けなくなっていた。




まさか…

鹿野の

この言葉の中に

あたしの

運命を変えるような

意味があったなんて

あたしは

これっぽっちも

気付いてなかったんだ。







意味のよくわかってないあたしの様子を見た鹿野は


あたしの頭をゆっくり優しく撫でた。

そして

言った。





「とにかくなんか……あったら言えよ?相談してもいいから……いつでも相談していいし…」





「…うん。ありがと」





あたしの返事を聞くと鹿野は笑顔になった。





小学校も

一緒だったのに……

鹿野のこんな笑顔

見たことない…



あたしは

心からそぅ思った。





鹿野は

とびっきりの笑顔で

あたしに

手を降って

どこかに歩いて行った。




あたしは

しばらく

鹿野の背中を見ていた。





鹿野は

強い



人を励ます力が

あるから……

あたしは

鹿野の言葉に

すごく

勇気をもらったよ




…ありがとう。










…誰もいない

授業中の

静かな廊下で

あたしは

窓を見る。



「…あ。」



窓から

見下ろすと

桜の花びらが

もぅ…


茶色くなって

枯れかけていた…








そんな

景色を見て

あたしは

胸が痛くなった。






いつになったら…

また

キレイな花を

咲かせてくれるの?





もしかしたら…

もう―











第2話

思いをぶつけられた日





あれから

何日が

過ぎたんだろう…?



あたしは

いつの間にか…

自分の事が

よく分からなくなって

いたんだ。





俊一と

美咲とは

あの日以来…

しゃべっていない。





告白の返事を

聞いちゃったから…


俊一は

美咲と………

付き合ってるんだ。




そんな

事実だけが

あたしの心を

埋め尽す…





勝手に

溢れ出す涙を

必死にこらえて

あたしは

毎日を過ごしていた。





「…めい。」


あたしの前の席から

あたしのよく知っている声が

あたしを呼ぶ。


美咲だ。


「………」


当然のように

あたしは答えない。


「後でさぁ…話したいことあるから。屋上に来て?」



「…わかった。」



あたしの返事を聞くと

美咲はすぐに

前を向き直した。








―話って何……?


俊一の事?

そうだよね……

もしかして…別れたとか!!!???





あたしの頭の中に

いろんな考えが

駆け巡る。






そんな事を

しているうちに

時間きた。




あたしは

英語の授業を

抜け出して

屋上に向かった。





階段を一段一段と

上がって行く。


―ギィ。

屋上のドアを開けると

もう

美咲は来ていた。



「あ。」


2人の声が重なる。




「…待った?」


「ううん…全然。」



「美咲…話って何…?」



「……………」


2人の間に

重い空気が流れる。



「…知ってる?俊一から聞いたんだけどさぁ…めいの事好きなんだって…」



「えっ?」



「―あははっ…笑っちゃうよね!?」



「…美咲。」



「…あたしさぁ。俊一と付き合ってるけど。…俊一があまたしと付き合ってる理由は同情だよ?」



「………」



「―あははっ……………ホントむかつくんだよっ!!!!!!」



「……………」



美咲があたしの

胸ぐらを掴む。



「…なんか言えよ!!!!…何?ふざけてんの?」



「…美咲。」




「―何?あんたさぁ……ふざけてんの?」



「…ちがっ」




―パシッ


あたしの頬に

鈍い痛みがはしる。




「美咲。…気がすむまであたしを殴って……」



あたしの

言葉を聞くと

美咲は

何回も…

何回も

あたしの頬を

ひたすら……

泣きながら

殴っていた。




「…はぁ。はぁ。」



「これで……気がすんだ……?」



「…あははっ。まさか!」




もう一回

美咲が

あたしを

殴ろうとしたとき…

勢いよく

屋上のドアが開いた。



「……鹿野?」



ドアの前には

あたしと美咲を

見つめている

鹿野がいた。



「……なにしてんの?」



「―別に?鹿野…何でここにいんの?」



「特に意味はないけど?」



「……ふーん。」




「帰ってよ。邪魔だから!」



「お前のが邪魔だからっ。今からめいに大事な事言おうと思ってたのに……」



「は…?」



美咲は鋭い表情で

鹿野を睨んだ。



その瞬間……

鹿野は

美咲を

あたしから離して

床に押さえつけた。

美咲は

バタバタと抵抗する



「離せよっ!」



「誰が離すかよ。………ばーか」



「……鹿野。」



―ドスっ

鹿野は

美咲を気絶させると

あたしの方へ

駆け寄って来た。




「めい…大丈夫か?」


鹿野は

少し腫れた

あたしの頬を

優しく撫でる。




「……っ」


鹿野の優しさと

自分の弱さに

涙が出てきた。



鹿野はただ優しく

あたしを

抱きしめていた。




「……鹿野。あたし…どうしたらよかったんだろ?俊一の事…あたし。正しかったかな……?」



「わかんねえ……」



「……だよね。あたしもだよ…」



「…でもなぁ。これだけは覚えとけよ?自分がどの道を選んで、どうなるかなんてなぁ………誰にもわかんねぇんだよ。だから―めいは自分を信じて進めばいい。」




「鹿野……」





しばらくしてから

屋上のドアが

また

勢いよく開いた。




「―櫻井っ!!!」



「俊一……?」



「……鹿野。何でお前………ここにいんの?」



「……は?お前こそ…何で―」



あたしは

ゆっくりと

鹿野の胸から

顔を出す。




「岡本……?」



「櫻井っ。」



「何しに来たの……?」



「何って……」



「俺は…お前らが心配で―」



「嘘。」



「えっ?」



「…違うでしょ。あたし達が心配じゃない。―美咲でしょ…?わかってるから………」



「―櫻井………」



「だから……早く美咲を連れて帰ってっ」



「……でも」



「…早くっ」



「………………」



「―帰ってょっ!!!!」



「…ごめん。じゃ……」


俊一は美咲を

抱えると

すぐに屋上を出た。



―パタン。






静かで優しい

風があたしを

通り抜けていく。



その

風にあたしの

涙が乾かされる…。







「…大丈夫か?」




「……全然。」





涙が乾いても…

イヤな人が

居なくなっても…

悲しさは

全然減らないんだね。




バカみたいに

笑っていた

昔のあたしも

いまは……………

笑ってなんかない。




ただ

ひとつ満足してるのは

鹿野の温かさ。

ただ……

それだけだよっ。




この手の

温かさだけは

いつまでも……

いつまでも


あたしのそばで

見守っていてほしいよ…。






「…ごめんね。」



「えっ?」



「鹿野に迷惑かけて……」



「…そんな事。気にすんなよ………」



「でもっ………」



「いいからっ!―俺がいいっていってんのっ………!!!!」



「…あたしっ。鹿野には………迷惑とか…かけたくないよ―」



「櫻井……?」




あたし………

何いってんの……?





「櫻井………明日さぁ………この時間にまた来てくんない…?―話したい事あるからさ。」




「…うん。わかった。」



あたしは

ゆっくりと鹿野から

離れて頷いた。





「…絶対来いよ?」



「―わかってるよ。」



あたしの

返事を聞くと

鹿野は

優しく笑ってから

ドアを開けた。



「じゃなっ」



「うん…ばいばいっ」





―パタン



鹿野は

屋上を去った。





あたしは

鹿野が

去った後の

屋上のフェンスに

もたれて

空を見上げた。





透き通った青空。

ゆっくりと

流れていく白い雲




今更になって…

さっき

美咲に殴られた所が

痛くなる




さっき

痛くなかったのは

鹿野のおかげかな?






しばらくすると

足まで

震えだす………




何で………?

今更…




あたしは

震える足を

引きずりながら

階段を降りていった









ゆっくり階段を

降りていくと

下に咲がいた。





「あれ…?咲?」



「めい~。やっぱここだったの?」



「何で?」



「だってめいが授業中どっかいくの見えたからぁ…」



「あはは…そっか…。てか今も授業中だしっ…」



あたしは

咲とお互いの教室に

向かう。





………美咲―

居るんだろうな…


俊一も…





「はいんないの?」



「あたしは自分の教室もどるよ?」



「うん…ありがとう」





…ガラ



「さっき……何しに出て行ったんだ?」



数学の先生が

あたしを鋭い表情で

見る




「…別に。」



あたしは

先生をかわして

席についた




そんな

あたしを見て

先生は

あきれた表情を

していた。





そんな先生を

ムシして

髪の毛をいじっている

あたしの机に

小さな紙がのった。




「…は?」



唖然とするあたし。


前を見ると

俊一があたしを

見ていた。




…俊一からなの?






あたしはゆっくりと

手紙を開いていく。






あたしは

手紙に書いてあった

内容を疑った。




……明日。鹿野に告白されるで………






嘘…

でしょ???



何で……………



俊一は

真剣な顔で

あたしを見て頷いた。





―ホント?…

って聞いたら

何かが壊れそうで…

ホントって言われたら

怖くて。




聞けなかったんだ。





あたしは

紙を

ぐちゃぐちゃにして

窓に向かって

思いっきり投げた。




そのあとの事は

あんまり覚えてない。






「めいちゃぁんっ」



「…はいっ!」



あたしは

気がつくと部室にいた。



「どぅしたの?」



鹿野先輩が

あたしの顔を

心配そうに見つめる。





「…あ。鹿野先輩……大丈夫ですっ。」



「―そうかな?……あんまりムリしたらダメだよっ?」



「…はいっ」




鹿野先輩は

実は

鹿野の姉ちゃんなんだ。


あたしの部活は

吹奏楽で

鹿野先輩は

楽器の先輩なんだ。




あたしは鹿野先輩が

アルトサックスを

吹いている姿に

一目惚れして

入部したんだ。





鹿野先輩は

あたしの憧れで

…すごく優しくて

可愛くて

おもしろくて。

かっこいいんだ。







それに……

鹿野によく似てる。

やっぱ…

兄弟なんだな…






けど……

今日1日で

いろいろありすぎて

よくわかんないよ。






「め―いちゃぁん今日さぁ…みか休みなんだよねっ」



「そうなんですか?みか先輩…休みなんですか…」



「だからさっ一緒に帰ろっ」



「…あ。はいっ!」



「めいちゃぁんはさ?」



「何ですか?」



「………彼氏とかはいないの?」



「…いませんよ?」



「あははっ。そっか」



「鹿野先輩はいるんですか?」



「いないよ~。」



「……あれ?姉ちゃん?…めいもいんじゃん。」



「…鹿野?」



振り向くと

あたしの後ろに

鹿野がいた。





「あっ!!慎っ。陸部早く終わったの?」



「うん。先生の用事で」





鹿野は

部活のカバンを

重そうに持ち上げた。




そんな姿に

少し心が揺れる。

まだ

あの手紙を

信じている

あたしがいたから…




「そぅいえばさぁ。めいちゃんと慎って同い年だよね?」



「……はいっ。」



鹿野先輩は

ゆっくりとあたしを見る。



「鹿野先輩……?」



「つき合ったりとかは…ないの?」



「………えっ?」



いきなりの

先輩の質問に

心がさらに揺れる。



「…ねぇよ。」



あたしより先に

鹿野が言った。



「ふぅん。そっか」



「鹿野先輩……もし、鹿野と吹部の後輩がつき合ったらどうしますか……?」



鹿野が驚いた表情で

あたしを見る。


「…ちょ。めいっ!!何質問してんだよっ!!!」



「うーん。どぅなんだろうね。わかんないや………」



「あっ。あたし着いたんで帰ります。さようなら。」



「めいちゃぁんばいばい」





さっき

何で鹿野先輩に

あんな事

聞いたのか……

自分でも

分からなかった。

最近…

どうしたんだろ?

あたし―






「―慎…明日。言うんでしょ?」



「―てか何で姉ちゃんが知ってんの?」



「うん。見てたら分かるから♪」



「…はぁ。」



「がんばってね。まぁ。めいちゃぁんもいろいろあるみたいだけどね…わかってあげなさいよ?」



「―わかってるって」








「めいっ!早くっ遅刻するよっ!」



「えっ…もぅ朝なの?」



あたしはケータイを

ゆっくり開く。

画面を見ると

もぅ時間は

8時を過ぎていた



「…やば!」



あたしは

急いで用意をすませて

学校まで走った。

学校が見えかかった時

誰かがあたしを呼んだ。



「櫻井っ」



「……えっ?」



振り返ると

あたしに手をふっている人がいる。



「―岡本…?」



「よぉ。」



「うそっ!…何でいんの?てか、なにしてんの?あたしたち…余裕で遅刻だよっ?―行こうよ…」



「嫌だ。」



「は?何で―」



「―俺。櫻井をずっと……待ってたから…」



「そんな…何で?」



「…伝えたかったから」



「何を…?」



「櫻井は信じてないだろ?…俺が櫻井を好きって事…」


「…な。そんな事…信じるわけないじゃん。」



「………やっぱ信じてくんないんだな。」


少しずつ…

淋しい表情に変わっていく俊一の顔…

あたしは

俊一の顔が見てられなくなって

足元に視線を落とした。




「…ホントなの?」



「うん。―櫻井さ…今日。コクられるからさ…最後に伝えたかった。」



「岡本…あたしね…。入学してからずっと岡本の事好きだった。…あたしの事…心配してくれた時もすごく嬉しかった。これからもあたしはずっと岡本の事が好きなんだって思ってた…でも鹿野といるとあたし自身が分からなくなったの…」



「うん。わかってる。だから今コクったんだ。もぅ櫻井が迷わないように…」





………あたしたち…

ずっとすれ違っていただけだった。

もしも

あたしと俊一の

運命が交わっていたら

あたしたちは

毎日を幸せに過ごしていたのかな?

ホントは

あたしと俊一は

結ばれる運命だったのかも知れない。

…未来は

あたしが変えたんだ。





「うん。ありがとうっ」



「じゃ…行こっか?」



あたしたちは

学校に向かって走り出した。

授業中の廊下は

すごく静かで

少し不気味だ。




―ガラ

「遅い。遅刻だぞ!!」



「すいません。寝坊しました。」



「早く座れよ!!?」



「はぁい。」



あたしと俊一は

席に向かう。




美咲の視線を感じる。


視線の方を見ると

美咲が

鋭い表情で

あたしと俊一を睨む。




あたしは

勇気を振り絞って

美咲に話しかけた



「―お…おはよ」



「………てかさ。おはよじゃないしっ。―はゃく座れば?」



「…うん。」



あたしは

授業をちゃんとうけてたのかな?

あんまり

覚えてないや…。




「…あ。」

時計を見ると

鹿野との約束の時間が来ていた。

……どうしよ。

あたし…

行っていいよね?




―ガタンっ!

あたしの机が倒れる

…あたしは無意識に

立ち上がって

ドアの所に走って行っていた。




「櫻井っ!」



「岡本………」



俊一があたしを呼び止める。

クラスのみんなは

時間が

止まったかのように

静かで

ただあたしをじっと見ていた。




「…ホントにいくん?」



「…うん。約束したからっ」



「…そっか。わかった。行ってこいよ…。―てか俺…めっちゃ恥ずかしいじゃんっ!!!」



「―岡本……。ありがとうっ。



先生は

話の内容が

よく分からないのか

口をポカーンと

あけていた。

そして

いきなり

あいていた口を

閉めて

あたしを怒鳴った。



「―櫻井っ!!!おまえまた…抜けだす気か!!!」



「…先生っ。行かせて………今行かないと意味ないんです!!アイツが…待ってるんですっ!!」




「…はぁ。今日だけだぞ…」



「ありがとうございますっ!」




あたしは

廊下を必死に走った。




―パタン!

あたしが

屋上に着くと

鹿野が座って待っていた。




「…遅くなってごめん。



「ううん。俺も今来たとこだよっ?」



「…そっか。」



優しいそよ風が

あたしと鹿野を包む。



「話なんだけどさ…」



「…うん。」




あたしの鼓動が

ゆっくりと

加速していく…



「俺さ…めいが…好きなんだっ…!!!!」



「えっ……!!!?」


思わず下を向いてしまう。

あたしの体は

時間が

止まったかのように

動けないでいた。

指だって…

小刻みに震えていた




鹿野の視線が…

―あつい。

前…

向けないや……




「―…めいっ。こっち向いて?」




恐る恐る

…ゆっくりと

鹿野の方に向く

あたし。




「………」



「―…返事。早く聞かせて…?」




あたしが

一番………

大切にしたい人は

……誰?

一番……

好きな人は誰?




頭に浮かぶのは

あの人だけ。




あたし…

まだ…

あの人の事が

好きだった。









第4話

始まった時間







だから…

ちゃんと

伝えなきゃって…

ちゃんと

伝えようって

思ったよ…

この時の

あたしの気持ち…

キミに届いたかな?








「…ごめん。あたし…好きな人がいるから…」






「…それでもいいから…俺と付き合って?」



「でも……そうしたら……鹿野が傷つくから―」




あたしの

震える手が

鹿野の手によって

引っ張られる…。

抱き寄せられる体。

激しい鼓動…

あたしたちを

包む風…

優しい太陽の光







「…それでもいいっ!!!!」



「…………」



あたしは

何もいえなくて…

ただ

鹿野の胸の中に

頭を埋めていた。




「…めい?」



「…うん。それでもいいなら…付き合おぅ?」




「…マジ?」



「…うん。マジだよっ?」



鹿野があたしを

…抱きしめる力が

だんだん

強くなっていく。




「…ありがとめい…めっちゃ好きやで?」



「…うん。ありがと…」




この日…

あたしと鹿野は

始まった…

あたしたちの時間が

スタートしたんだ。




あたしたちは

これからも

同じ時間を

刻んでいくって

思ってた。







ゆっくりと

あたしたちの距離が

広がっていく…




「…どぅする?教室まで戻る?」



「…うん。」



あたしと鹿野は

ゆっくりと

屋上の階段を

降りていった。

廊下に響いていく…

足音が

2人しか居ない事を

証明する。





そして

すぐに教室の前までついてしまった。

…でも

一向に

教室に入ろうとしない

あたしを見て

鹿野が言った。




「…俺。手紙書くわ!!」



「…えっ?」



「なんかさ…。書きたいし。めいと手紙したいからっ!!!!」



「……っ。―うん。ありがとっ…。」



「じゃ…書くからっ。早く入れよ?」



「…うん。ばいばいっ」



「…じゃあな!!」





あたしは

しばらく鹿野の背中を見ていた。



…優しくて

いつも―

助けてくれた鹿野…

あたしは

鹿野を選んで

間違いじゃ、

なかったよね…?





あたしは

教室のドアを

勢いよく開けた。




「…………」



ただ

無言の空気が流れる。

席に着くと

真っ先に

横の列の

彩から手紙が

まわって来た。



「………ん?」




内容は……

さっきの抜けだした時何してたの…?



そういう内容が書いてあった。



さっきの事を

思い出して

ペンを

すらすら走らせる。

そして

彩の席に

手紙を投げた。

ふわりと浮かぶ手紙…

彩は

その手紙を見た後…

にやけて

あたしを見た。

それから

彩の事情聴取が

始まった。







今日が

あたしたちの

記念日…

あたし…

これからもずっと

鹿野のそばに

いたいよ…

ずっと…

一緒にいれるかな…?





あたしは

彩とずっとしゃべっていた。

彩は少し羨ましそうに

あたしの話を

聞いていた…。






あたし…

この日の事…

いまでも

ちゃんと

覚えてるよ…?

あたしは………

絶対に忘れないよ…

たとえ…

鹿野が

忘れたとしても…

あたしは

忘れないよ。



…キーンコーン


やっと

授業が終わった。

あたしは

春とナナと彩と千夏とあゆとしゃべっていた。



「櫻井っ。」



「…えっ?」



「―コレ鹿野ってぃから」



ホントに

かいてくれたんた?



「うん。わかった。」



「…てか。櫻井って鹿野ってぃと付き合ってんの?」



「…えっ。あ。うん…」



「…あっはやっぱり?―鹿野ってぃさ様子明らかに違うから分かりやすいんだよねっまぁ。がんばってよ?」



「…あはは。そうなんだ?上野ありがと」



「ん。じゃな」



上野が教室を出た後

自然とあたしに

視線が集まった。




「ねー何てかいてあんの?」



「うちも気になるっ」



みんなが

一斉に言った。




「…あ。待って?開けるから………」




あたしは丁寧に

手紙を開いていく。



開いていくと

うっすらうつる

鹿野の字。


『今日は無理やりみたいでごめん。また今度よかったら遊びに行きたいな』



『鹿野より』






「…………へぇ。」


「二組の鹿野って…見た目によらず優しいんだね…?なんかさ…意外だったし。」



あゆが

呟くように言った




「…うん。わかるもっと強引な人っていうイメージあったし…」



春もあゆの意見に

のった。






そんなに…

意外なのかな?

鹿野は

誰にでも優しいよ?

そりゃ

見た目は

ちょっとだけ……

チャラいと思うけど

けど

優しいよ…








「ってかそんな事よりさ…返事書かないの?」



彩が

春とあゆの間から

顔を出していう。





「…返事かぁ。」



あたしは

ゆっくりとペンを走らせる。





『別に無理やりじゃないよ?…うん。また今度遊びに行こ』


『めい』





「…これでいいかな?」



「いいと思う」



「ってかさ。」


みんなの視線が

千夏に集まる………




「―どうやって渡すの?」




「あっ!!」



―考えてなかった。

どうしょ?

さすがに

渡しに行くのは

恥ずかしいし…

わ―っ。

p(´⌒`q)





「じゃあさ。誰か男子に頼んじゃえば?」



あゆがあたしに

提案した。




「だってさ…。鹿野も上野に頼んだじゃん?」




あゆの意見に

みんな賛成した。





「じゃ…誰に頼む?」



「うーん…」



「あたしは岡本がいいと思うなぁ。」



ナナが

岡本の名前を上げた。




「何で…?」




「だってさ。岡本も陸部だし…仲良いかなって。」




「じゃ。岡本にしよっか。」



「…うん。」




―どうしょ。

こんな事…

岡本に頼んでいいのかなっ……?

岡本…

嫌な顔

―しないかな?






あたしたちは

岡本の席に移動する。

ちょうど

岡本が席のまわりで

しゃべっていた。



「…めいっ。がんばって」



「うん。」



「岡本…あのさコレ。鹿野に…………渡してくんない?」




「…えっ?鹿野に………?」




岡本は少し顔を曇らせながら

あたしを見て

一回笑ってから

手紙を持って走って行った。





「…岡本。」




あたしは

今日…………

自分の事しか

考えてなかったせいで

あたしの事を

大切に思ってくれた人を

あたしが………

傷つけてしまった。




あたしは

時々思うよ…。

どうして

人って…

人を裏切ってまで

欲しいものが

あるんだろ………?



どうして

自分の事しか

考えてないんだろ…





「―あ…あた…し」



「え?」



あたしに

クラスにいる人

全員の視線が

集まった。




「めいっ。大丈夫……?」



ナナが

岡本の席を

ただ見つめているだけの

あたしに駆け寄る。





「…どぅしょ…」



暖かい涙が

ゆっくりと

こぼれていく…




「…あたし……最低だ……………」





あたしの涙は

あたしから離れて

床に落ちた。



どんどん…

涙が床に消えていく

床には

涙の後が

うっすら残っていた。





「めい……」




「…あたし。ちょっと行って来るっ…!!!」



「ちょっ?」





…思わず

走り出していた

あたし。



瞳には

涙がたまって

視界がぼんやりとしていた。





あたしは鹿野の教室を覗きこんだ。




教室には鹿野と俊一はどこにもいなかった。




「…いない。」




「めいっどうしたのっ?」



「咲っ」



「鹿野ってぃ…と何かあった?」



「ううん…。ちょっと違うんだ…また今度話すね。―鹿野どこに行ったの…?」



「分かんないけど…さっき岡本と一緒にどっか行ってたよ?」



「…えっ!岡本…と?」



「うん。そうだよ?」



「わかった。ありがとう…」





咲と離れてからも

必死に

俊一と鹿野を探した。




…けど。

ドコにもいなかった。




あたしが諦めて

歩いていると

誰かの怒鳴り声が

聞こえてきた。





「何で…お前が持ってんだよっ!!!?」




「は…?俺はめいに頼まれてんだよ!!」




「羨ましいんだろ?」



「はぁ?」




「お前さ…言ってたよな?」



「何をだよ…」



鹿野と俊一の声に

人がどんどん

集まって来る。

そして

ザワザワと

にぎわい始める




あたしは

思わず

壁に隠れた。



だんだんと

鹿野と俊一の声が

大きくなっていた。

あたしは

壁から

顔を出して

様子を見ていた。




「―まだ諦めてないって……!!!!……雅人に諦めきれないって言ってたよな?」



「…………」



「どうなんだよ…!!!!」



「だったら…何だよ…!!!俺は…めいに協力したいだけなんだよっ…!!!!」




俊一が

肩を

大きく振りかぶって

鹿野を殴った。




…バシッ



鈍い音が

廊下に響く。





一気に静まる

まわりの声…





鹿野は

倒れ込んで

頬を抑えていた。




「きゃ――っ…」



またザワザワと

まわりが騒がしくなる






「…鹿野っ!!!」






あたしは

何をしている…?




気づくと

あたしは

鹿野のところまで

走り出していた。




「…っ!!?めいっ?」



「大丈夫…?」



「あぁ…」





「櫻井っ!!!!」



「…………」



「何で…鹿野を殴ったの?」



「…俺の気持ちは考えてくれないんだ………?」



「岡本………?」



「櫻井さぁ…鈍感すぎっ。そんなに…すぐにさ…お前の事………諦めれるワケないじゃんっ―」





「………………」



そう言うと

俊一は走り出して行った。






あたし…

また……………

傷つけてしまった。

ごめん…

ごめんね。

俊一には

何回謝っても

足りないくらい

悪い事をしたと

思ってるよ。


…ごめんね。







「あ…」


鹿野の手が優しく

あたしの手を握る。



「…ごめんな。あんなトコ見せて…俺……めいは誰にも渡したくないからさ―」



「ううん…鹿野は悪くないよ…」


「ありがと…めい。」



「いいよ。鹿野―」



あたしの手を握る

鹿野の手が

更に強くなる。




「―あのさ…俺の事鹿野って呼ぶのやめて…?」




「え………」



「俺の事…下の名前で呼んで……?」



「慎…?」




騒ぎだす鼓動。

赤く染まるほっぺた

…熱い。





「ありがと。これからはさ…慎でいいから」



「うん…」



まわりの

ザワザワとした

雰囲気が

ちょっとずつ

変わり始めた。






人ごみから

クラスの麻里奈ちゃんを見つけた。






「あっ。めいじゃん。何―付き合ってるの???」




「えっ…と」



あたしは

どうしていいのか

分からなくて

戸惑っていると

慎が……




「…付き合ってるよっ?」




麻里奈ちゃんに

返した。





唖然とするあたしとまわりの人ごみ…





麻里奈ちゃんは

あたしを見て

にやけている。



「っ…。」



あたしの

ほっぺたは

更に

赤く染まる。





そうしていると

いきなり

慎が立ち上がった。

そして

あたしの腕を掴む。




また早くなる鼓動。

いつもより

近くに

感じられる慎。




「…めい。行きたいトコあるんだけど…行こう?」



「―うん。」




ちょっと走ったら

後ろから

麻里奈ちゃんらしき人の声が

廊下に響きわたった。





「めいっ。先生には保健室にいるって言っとくね~っ」




麻里奈ちゃんは

あたしと慎に

大きく手を降って

叫んだ。



「うん!ありがとう」



あたしは

慎と廊下を

ひたすら走った。




あたしと慎の隙間を

風が通り抜ける。

風にのって

花の匂いが流れてくる






「慎…どこいくの?」



「…え?」




慎とあたしの

足取りが止まる。




「…さっき行きたいトコあるって言ってたから…」




「―あれ、嘘。」




「…えっ?」



あたしの頭が

一瞬…

真っ白になった。




「だって…俺さ?めいと2人になりたかったから……嘘ついてごめんっ。」




「…………」




あたしは

何も言えなかった。

ただ

慎が

あたしを好きな事を

知っていて

けど…

あたしには

好きな人がいて

それでも

形だけで

付き合ってる……

そんな

あたしには

純粋な慎の気持ちに

なんて言っていいのか

分からなかった。

あたしは

慎を騙している。

そんな

事実が頭を駆け巡る。

慎は………

あたしと居て…

辛くないのかな?

あたしと居たら

逆に

慎を傷つけてるんじゃないのかな……

あたし…

慎の優しさに

甘えすぎてた。

慎の気持ちも

考えてなかった。

慎は

我慢して

あたしのワガママも

聞いてくれたのに…

あたし

やっぱり―

自分の事しか

考えてなかった…





「めい?」



心配そうに

慎が

あたしの顔を

覗き込む。


「…あっ。」



「やっぱ…いや?」


「ううん…。」



「……本当に?」



「本当だよ…?」



あたしは少しだけ

笑って見せた。


「そっか‥。」



「うん」



「じゃぁさ?ベンチ座って喋ろうよ。」



慎は

近くにあったベンチを

指差しながら言う。



「いいよ。ちょうど座りたかったんだ。」



ベンチに2人が座る



あたしは

何を喋っていいのか

よく分からなかった。

慎の

気持ちを

踏みにじった

あたしには

楽しむ資格なんて

無いと思ったから

あたしは

ずっと

黙っていた…





先に口を開いたのは

慎だった。





「めいはさ?」



「…うん?」



「……最近何かあった?」



「…ううん。特に何にもないよ。」





―心配してくれてるの………?

最近

あたしの様子が

おかしいから?




「何で?……何でそんな事きくの?」



「……最近のめい…顔が疲れてるからさ…」



「…え」



「…俺。本気で心配してんだよっ?だからさ…何かあったらちゃんと言って欲しい。相談のるから…」



「……………。うん」



慎の言葉が

あたしの胸に

突き刺さる。


締め付けられているような心…



苦しい………



「めい…俺の事、信用できない?」



「……違うよっ。」



「じゃぁ。言ってよ…」



「それは………言えないから…」



慎の顔が

一気に曇る。

慎は

ベンチから

立ち上がって

あたしに言った。



「…めいはさ…まだ俊一の事忘れてないよな…?」



「えっ…」



「分かるから…めいの事見てたら。」



「………………」


あたしは

何も言えなくて

ただ下を向いていた。



「けど…俺はそれでもめいが好きって気持ちは変わらないから。だから…俺の事は気にすんな…。俺はめいて付き合える事だけで幸せだからっ。」



「あたし……慎には悪いって思ったから俊一の事……言わないって決めてた。―言わなくてごめんなさい。けど……あたし、慎の事好きになりたい………」



「無理しなくていいから…」




慎が

呟くように

あたしに言った。



「……無理なんか、してない。」



「え…」



「本当にそう思ってるんだよ……?」



「…嬉しいよ。」



「……………うん」



「俺、ずっと―待ってるから……」



「―うん。待ってて…」



「めい?」



慎が

あたしの腕を掴む。

次第に近づく

2人の距離………

慎は

ゆっくり

あたしを抱きしめた



あたしと

慎は

感情が

押さえきれなくなって

2人

抱きしめあいながら

泣いていた。

そんな

あたしと

慎の頭の上には

怪しい雲があって

ポツポツと

通り雨が降っていた

雨に濡れる髪

水が滴る慎の腕

濡れて重くなる制服






第3話

先輩の視線



どれくらい

たったんだろう?



気がつくと

あたしと慎は

まだ抱きしめあっていた





「…俺………辛いよ…めいが他の奴みてんのも…付き合えねぇのも……辛いよ?」



「…ごめんっ。」



「めいは謝らなくていいからっ…俺は、めいと付き合えるだけで幸せなんだから…」




「慎…」



あたしの中で

たまっていた物が

勢いよく…

溢れ出す。




溢れ出したら

止まらなくて…

あたしは

慎の胸に

あたしの顔を埋めた。


泣き続けていたあたしは

後悔していた。





自然と

溢れてくる涙。


慎の

優しい匂いが

あたしを

落ち着かせる。



慎…

あたし…

ちゃんと

慎との約束…

守れたよね?

ちゃんと…

守れたつもりだよ?

そして…

今も

気持ちは変わってないよ…。慎は…………

気持ち…

変わってない?

あたしは

―ずっと、

待っていたよ…

これからも

ずっと…







「慎…」



あたしが

慎の胸の中から

顔を出す




「うん?」



「こんな空気にしてごめんっ…あたし………」



「別にいいよ…こんな空気になったけど…お互いに、本音言えたじゃん?俺……嬉しいよ」



「慎。…うん。あたし、慎の不安もわかったから…」



「めい…記念にさ?プリクラとりにいかね?」



「…マジ?プリクラ?」



「………うん」


慎は

あたしから離れて

照れた顔で言う。




……かわいい。




「…あたし、プリクラめっちゃ好きなんだっ。」



「…そっか!!じゃ、今からいこっ」



「何で行くの?」



「俺、チャリ通だから…後ろ…乗る?」



「うん。」




あたしたちは

授業中の学校を

眺めながら

学校の

近くのコンビニに

来た。



「ここに止めてんの?」



「お―」



慎は鍵を取り出して

チャリの鍵を開ける。



カシャンっ

勢いよく鍵が開く。




慎がサドルに

腰を掛ける。



「乗って?」



「……うん」



ゆっくりと

後ろに乗るあたし…



「乗った?」



「うん…」




ゆっくりと進む

自転車。


………重くないかな?


「…重くないかな…?」



「うん。軽いよ?」



「良かったぁ。」



慎の言葉で

いっきに

不安が取り除かれる。



慎が

そんな

あたしの安心した顔を

見て笑った




そして

さっきみたいに

ちょっと笑顔で

自転車を

漕いで行った。




……背中…

やっぱり

あたしより大きいな…



そんな事を

考えながら

慎の背中に

もたれてみる…




一瞬だけ

慎が反応して

慎の体がビクっと動いた。


あたしは

慎の腰に手を回した。




「……めい?」



慎が少しだけ

振り返る。



「慎……」



「…………」




2人が無言になる。

聞こえるのは

慎が漕いでいる

自転車の音だけ…





「…あははっ」



あたしと慎は

笑いあった……




照れくさそうな

慎の表情…


あたしは

離れたくなくて

ずっと

慎にもたれていた。




しばらく

慎にもたれていると

目の前には

地元のショッピングモールがあった。


「めい。着いたぁ。」



「…うん。」



あたしは

もう少しだけ

このままで

いたかったけど

慎と

プリクラを撮るって

決めたから

仕方なく…

自転車から降りて

慎から離れた。


慎は

駐輪場に

自転車を止めて

あたしの手を握った。



「いこっ!!!」



慎が

あたしの手を優しく

握ったまま

走り出す。





「―えっ!!?」



唖然として

走らされるあたし。



「慎っ!!?…走らなくても………はぁ―はぁ………プリクラ撮れるよ…?」



「わかってるよ。」



「じゃあ…はぁ………何で走るの?」



あたしは

すぐ疲れて走るのを

止めてしまった。



「だって俺。楽しみだから。早く撮りたくて仕方ないし………」



「慎…」



「意外かも知んないけどさ…俺、彼女とプリクラなんて…初めてだし………とにかく。楽しみだから。」



「…あたしも初めてだしっ。彼氏とプリクラ撮るの…。」



「えっ!!意外っ」



「悪いっ?」



「ううん。てか…逆に嬉しい。」



「何で……?」



「だってさ…めいの初めてが俺だもん。嬉しいに決まってんじゃん!?」



………かわいい。

あたしは

だんだん……

いろんな

慎を見て

慎を好きになって

きていた。




「あ。」



そんな話を

しているうちに

いつの間にか

ゲーセンに

ついていたあたしたち




ゲーセンには

平日で

まだ

学校の時間だからか

人は全然いなかった。




「慎―。どれのプリ機で撮る?」



あたしは

たくさんある

プリ機を指差して

慎に言った。




「ん―。どれでもいいよ?…めいが決めて―。」



「ん……。あたしは…アレがいいっ。」



あたしは

慎と手を繋いだまま

プリ機のところまで

歩いて行った。



「…久しぶり何だけどっ………」




あたしと

慎は

お金を入れて

準備をした。




「慎…どんな感じで撮る?」



「ん。とりあえずピース?」





カメラの

フラッシュが

眩しいくらいに光る。




「あははっ。どこ見てんのコレっ。」



「…えーっ!?」





そんな感じで

プリクラを

撮っていると

ついに最後の一枚になっていた。



さっきみたいに

ピースをしている

あたしの肩を

慎がいきなり

抱き寄せた。




「…!!?」



慎の手によって

あたしの顔が

慎の顔の方に

向けられる。



「…………」




『3』



プリクラの音声が

響く。




『2』



ゆっくりと

近づく2人の距離。




『1』



…カシャ



シャッターと同時に

あたしは初めて

キスをした。




「…えっ?」



あんまりにも

突然過ぎて

何が何だか……

よく分からなくなる




「…いや…だった。よな………?」



慎が

申し訳なさそうに

言った。




「…ううん…。びっくりしただけだよ…!?」



「……そっか。なんかしたくなってさ……」



「…うん。…いいよ。」



あたしたちの間に

重い空気が流れる。



デコっている

あたしを

慎は

ずっと見つめていた。




「………」





初めてだった。

けど。

君だったから

あたしは嬉しかったんだよ…?





「…慎。あのさ…?」



あたしは

慎に

分かりかけてきた

この気持ちを

伝えようとした。




「何……?」



「あたしは…」



…カコン。



「あ…」




あたしが

伝えようとした瞬間

プリクラが

勢いよく出てきた。






「…あ。プリクラ出てきたねっ。切りにいこっか?」



「…おぅ。てかいま何言おうとしてたん?」



「ううん…やっぱりいいっ。」




慎は

不思議そうな顔をして

笑ってから

あたしの頭に

手を乗せて

クシャクシャと

撫でた。




「じゃぁ。また今度聞かしてな?」



「うん。いいよ?」



あたしたちは

また

手を繋いだ。




手を繋いで

近くのファミレスに入った。




あたしたちは

お互いに

向かい合って座る。




「ご注文は、お決まりでしょうか?」


定員が

営業スマイルで

あたしたちに

話し掛ける




「あたしは…ドリンクバーと………チョコレートパフェで」



「俺は…ドリンクバーと…ドリアで」



「はい。」



定員が

厨房に消えた後

あたしたちは

ジュースをのみながら

話していた。





「めい―っ?めっちゃ、気になるんだけどっ…」



「何が?」



「さっきめいが言おうとしてた事。」




「えっ。あ……アレねっ?」



「何言おうとしてたん?」



慎が真剣な表情で

あたしを

じっと見つめる。





あたしは

慎の視線に勝てず

下を向いた。





………決めた。

あたし言うよ?

例え………

伝えて…

あたしが

壊れてしまっても…

あたしは

キミに伝えたいって

思いました。

………あたしの

気持ち…

この時に

ちゃんと…

届いてたのかな?





「分かったからっ……言います!言う…言うからっ」




あたしは

覚悟を決めた。





「………あたしねっ?」




慎の視線が

更に強くなる




「気付いたら…あたし、…………慎の事好きになってた……」




「……………」




慎は

あたしを驚いた顔で

見つめていた。




あたしは

下を向いて

騒がしい鼓動を

落ち着かせようと

していた。


震えだすあたしの指




「めい?」



「……ん。」


「…俺……不安だった。めいが俺の事好きじゃないって分かってんのに…無理やり付き合わせて……いつか、めいが離れていきそうで……―俺、怖かった。けど。めいが俺の事好きになってくれて嬉しいよ。―ありがとう。」



「……慎。」



「今日が、本当の俺達の記念日だなっ。」





慎が

手で頭を掻いて

照れながら言った。



慎と目が合う。

笑い合うあたしたち。



「…6月…13日…今日があたしたちの記念日だね。」




あたしも

少し照れながら

慎に言った。




「めい。」



「うん?」



「これからもずっと一緒にいようなっ?」



「…うん。ずっと一緒だよ?」



「分かってるって」




あたしは

ジュースを

飲みながら

プリクラを切る。









この時のあたしは

これからの

―運命を予測していただろうか。


分かるはずもなかった。

今…

あたしは幸せ過ぎて

何も考えられなかったんだから…




「はい。プリクラ切れたよ」



あたしは慎に

切ったばかりの

プリクラを渡した。



「ありがと。」



「慎?プリクラさぁ……ケータイに貼ろ?」



「俺もそう言おうと思ってたっ」



慎が

あたしを見て笑う。


あたしは

その笑顔に

ときめいてしまう。




「貼ろうぜ」



「うん。」



あたしは

しばらくの間

どの

プリクラを貼ろうか

悩んでいた。



慎はすぐにプリクラを貼ってジュースを飲んでいた。




「……まだ決まんねーの?」



「うん…悩んじゃって………」



「コレでいいじゃん?」



慎は

一枚のプリクラを

あたしの

ケータイに貼った。



「どのプリクラ貼ったの?」



「見てみ」


あたしは自分のケータイを見る。



「ちょ。慎……コレ貼るのっ…!!?」


慎に

貼られたプリクラは

あたしがあえて避けていたCHU-プリだった。




「恥ずかしいよぉっ」



「大丈夫だって俺も同じの貼ってるから」



「…うん。」



あたし………

嬉しかったんだ。

キミと同じ物を

持っている事が…

けど…

素直に言えないよ…




「これからどうする?」



「どうしよぅっか」



「あ。」



「めい?」



「あたし…行きたい所ある!」



「ドコ?」



「すっごく景色がキレイなんだよっ!!!―いつか彼氏が出来たら……あたし、行ってみたいって思ってたんだ。」




「よっしゃ。いこっ!!」



慎は飲んでいたジュースを置いて

あたしの腕を掴んだ




「えっ。」



あたしたちは

店を出て

自転車に乗った。



「めいっ。方向どっち?」



「えっと………あたしん家の方向!!!」




「わかった。」



慎は自転車を

漕ぎ始める





この小説を読んでくれた皆さんへ




どうでしたか?

何かを感じましたか?



何かを感じて

恋をして見たいと

思ってくれたら

嬉しいです。




恋は

想いどうりには

なりません。



いくつもの

壁にぶつかって

成長して

やっと叶うものです。




だから

最後まで

諦めないことが

大切です。




私は

この事を

皆さんに

伝えたい想いで

私の体験を

小説を書きました。




皆さんは

叶わない恋だと

思って

諦めてませんか?




諦めている人は

諦めないで

最後まで

自分の力で

自分の気持ちを突き通してください。




諦めないで

自分を信じる人には

きっと……

良いことがありますよ(o^∀^o)





めい




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