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Vermilion noon ,indigo sunset  火星コロニー「リトプス1」の日常  作者: 蘭鍾馗
〈火星の日常 その4〉

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46.スターゲイザー(マセオ サラザールの寄稿)

 マセオ サラザールです。調査部で天文観測その他を担当しています。



 わざわざ火星から星見てどうするの?っていう疑問、あると思います。

 火星から天体観測をする理由は、大きく2つあります。


 ひとつは、大気の薄い火星からは、星が良く見えるということ。天体観測には割と都合の良い場所です。あと木星が近いので、地球の1.5倍くらいの大きさに見えます。それと小惑星帯の観測ですね。これも地球より近いので、詳細な観測ができます。

 ただし、火星の天体観測は季節に左右されます。火星の春から始まる砂嵐は天文観測の大敵。この時期は観測がほぼできなくなります。なので、そのうちオリンポスの中腹、ブルーローズの近くに望遠鏡を据えて、ブルーローズのケーブル経由でデータをとれるように出来たらいいなと思っていますが、今の所実現の優先度は割と後ろの方なので、順番待ちをしている所ですね。


 もうひとつは、星や太陽の観測から、火星自身の自転や公転の動きを詳細に把握するため。このデータは土橋さんが作ってくれたダリアン暦の改良に使われます。暦をスタートさせる「火星の0時」もこの観測結果から決めたものです。あとは自転や公転の周期や変動を正確に把握して、暦に反映させます。こうして、「改良ダリアン暦」はその都度修正を加えながら運用されているのです。


 ◇


 とは言いながら、火星での生活に直接役立っているのは暦ぐらいですかね。まあ、もともと天文学って生活に密着した学問じゃありませんから、皆さんの生活の役には、あまり立ってないかも知れません。

 でも、星空には、宇宙の過去が写っています。そして、様々な観測結果からは、地球や火星の未来を覗き見ることも出来ます。そもそも、我々はなぜ火星まで来て、コロニーを作って居住しようとするのか。その問いに答えるためには、こうして星を見ることがその一助になるのではないかと私は思っています。


 でも、これだけでは、私が火星にいる意味はそんなにありません。

 以前誰かが書いていたように、皆、自分の専門以外の周辺分野も担当します。私の場合のそれは惑星地質学。火星の地形や地質がどう分布していて、それはどうやって出来たのか。過去の火星はどんな環境だったのか。そんなことを考える学問です。


 あ、やっぱり生活の役には立ってないかも知れません(笑)。


 でも、フローレス先生の調査に同行させてもらったりして、火星の地形・地質の成り立ちを研究したりしています。時には、その成果が資源探査の役に立つことも……まあ、ないこともないかな。この間の金鉱脈発見には、私が立てた仮説が多少役に立ったみたいですし。まあでもそんな程度。


 役立たずですみません。


 でも、いいんです。Stargazer(星を見る者)はそういう者。いまここの事象ではなく、その先の未来を見つめるのが仕事です。いまここでは役立たずかも知れませんが、そのうち、夜空の向こうに、我々の未来につながる何かを見つけることが出来るかも知れません。


 ……本当かな(笑)。


 ◇


 今、アリシアさんやフローレス先生たちと共同で、火星の生命の痕跡を探すプロジェクトを検討中です。私の天文学の立場から言うと、生命の元になる物質が「オールトの雲」で生まれて、そこから彗星によって太陽系内にばらまかれたという「パンスペルミア説」の検証ができたらいいな、などと考えていますが、そんなにうまくいくかどうか。


 そんなことを色々考えながら、今日も私は空を観測します。


 

 次ですね。

 テオドーロ君達が掘ってくる鉱石なんかから、役に立つ物を取り出して精錬する火星の錬金術師(笑)、パヴァンさんに。




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