43.暦が必要だ!(土橋 一彦の寄稿)
セルジュさんの指名で書かせていただきます。土橋です。
土木建設部の内構担当がなんで暦を作るの?しかも火星の?
疑問はごもっとも。
でもね、考えてみてくださいよ。
地球と火星は一日の長さも違えば一年の長さも当然違う。そもそも一日が始まるタイミングが違うわけで、そんな中で業務を進めていくにあたって、地球と同じ暦で動くことは、できないことはないけれども、昼夜のタイミングがずれているし、そのずれは段々大きくなる。季節に至っては地球のほぼ倍の長さがあるから、地球の暦を使うことは、地球とのやりとりには便利でも、火星で暮らす我々の仕事や生活の目安としては全く役に立たない。
そこで思ったわけです。火星の現地時間を設定しよう。というかもう暦を作ってシステムに入れてしまおうと。でもゼロから作るのはもちろん大変。
でも、実はすでにいるんです。火星の暦を作った人。
トーマス・ガンゲールという人です。この人が作った「ダリアン暦」というものがありました。なので、基本はこれ。後は、実用上の不都合がある部分を修正すればいい。
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まず第一は、時間の単位ですね。
本来であれば、火星の一日から計算して時間や分、秒といった時間の単位ができるわけですが、それをやるのは大変。それ以前に、時間の単位がダブルスタンダードになると地球とのやりとりがややこしくなる。時間の基準はやっぱり地球に合わせるしかない。
ダリアン暦もそこは考慮してありました。火星の一日は「1ソル」と言うのですが、1ソルは24時39分35.244秒。無理に火星の時間単位を作らなかった。この方針は私も賛成です。調査部に頼んで天体観測の結果をもらって微修正はかけましたけど。
なので、私が作った暦のプログラムでは、火星の一日(1ソル)は24時39分35.244秒で、24時を過ぎてから余りの39分35.244秒が経過した後、次の日が始まります。
で、ダリアン暦の月や年はどうなっているか。基本はこんな感じ。
ダリアン暦の1年(1火星年)は668ソル。うるう年があってその年は1ソル増えます。
1火星年は24火星月。1火星月は28ソルですが、6の倍数の月だけ27日。うるう年は最後の月に1日足します。ダリアン暦にも1週間はあるんですが、地球の暦と違って毎火星月の1日にリセットされます。でもこれだと週単位での生活サイクルもリセットされてしまうので、ここだけは地球と同じで、ずれたまま曜日が続いていく形にしました。
あとは、スタート時の決定。これは、やっぱり調査部に頼んでデータをもらい、スタートの0時を設定しました。
で、これをプログラムに落として、コロニー内のいろんなシステムが、地球時間と火星時間の両方で計時できるようにしたんです。
残る問題は、曜日や月の名前。曜日は地球暦と同じで問題なし。ただし、曜日名の頭に「sol」をつけます。これはダリアン暦をそのまま採用。
でも火星月の名前はそうもいかない。地球暦の倍の数ありますからね。ダリアン暦に1~24月までの名前が提案されてるんですが、でも覚えるのは大変。なので、これについては単純に数字だけで行くことにしました。
でも、そうすると地球暦との呼び名の混同と言う問題が出て来る。どうするか。
これ、月数を3桁にして無理やり解決しました。
1火星月=101月です。そう、百の位に1を足すだけ。あんまりロマンティックなやり方じゃありませんが、実用上はこれが一番かなと。
こんな感じになりました。
これ、昨日から各システム内で稼働を始めています。画面の地球暦の表示の横に出てますよ。
よろしくお願いしますね。
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では、次ですね。
土木建設部の内構関係がまだあんまり出てきてないみたいなので、次も内構担当でいいですか?
エドワード君、よろしくお願いします。




