21.え、もう来るの?(ダニエル ハーマンの寄稿)
アリシアさんの指名で書きます。ダニエル ハーマンです。無機系の化学がらみを担当しています。もちろん、他にも色々やるんですけど。
レゴリスのロケット燃料の話、本当です。ただ、人を載せられるような大きなロケットを飛ばすためじゃありません。小さな人工衛星を打ち上げたいんです。これがあると、通信や調査の便利な道具になりますからね。機械や発電の動力源としても検討してますが、扱いが難しすぎて、今の所思うようにはいきませんね。
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アリシアさんごめん。無機化学の話はこれでお終いです。
なんでって?ほら、この間機構から気になり過ぎるメールが来たじゃないですか。
「フライホイール蓄電機の追加分と、太陽光発電施設を一式送った。45日後に着く。」って。一瞬目を疑いましたよ。だって、地球から火星までは片道200日かかる筈でしょう。
で、続きを読んだら、なんと「核融合船が完成したから、これで急いで送る。そうしないと次の砂嵐の季節に間に合わないだろ?」みたいな事が書いてある。
ついに実用化できたんだ!
でも、ちょっと待った。フライホイールが幾つ来るのか知らないけど、これだけでは「明けない夜」対策としては心許ない。あんまり大量に送られても、設置場所の建設から始めないといけなくなる。今の人数では手に負えない。それは機構も十分わかってるはず。
それに、「太陽光発電施設を一式送る」って書いてあるけど。「設備」じゃなくて「施設」?
とりあえず、続きを読む。
「砂嵐の届かないオリンポス山の中腹に太陽光発電施設を敷設する。そのための特別な作業船として、敷設当日『フライング・ボビン』が君たちの頭上を通過するからよろしく。」
待って待って。「フライング・ボビン」って何?
あと、太陽光発電施設を「敷設」するってどういうこと?普通「建設」じゃないのか?
大アルバートに守護天使様、検討会に出てたんでしょ?説明して。
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はい、すぐに説明がありましたね。オオタさんからでしたけど。
砂嵐はある程度以上の高度には届かない。じゃあ、そこに太陽光パネルと変圧装置を設置すればいい、という考え方。それはいいんだけど、その高度に達するには、このリトプス1から100kmくらい行かなきゃいけない。
オリンポスに登って。
だが、我々が資材を担いで登る必要はない。なぜなら「フライング・ボビン」が発電施設とケーブルを、飛びながら敷設してくれるからだ。
拍手!なんというロケット工学の先端技術。
でも、ケーブルの固定と接続、設備の据え付けと調整なんかは、結局人力でやる以外に方法がないらしい。なんということだ。先端技術万歳!
というわけで、僕らはどうやら登らなきゃいけないらしい。
太陽系最高峰、オリンポス山に。中腹までだけど。
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では、次は外構建設の責任者、アンヘルさんに。




