光の街
いつもの街には電飾が施されていた。
空は暗いのだが、電飾から発される色鮮やかな光で地上は奇麗に輝いている。
青年のいる場所は大きな円状になっている広場。その周りには様々な店が連なっていた。
石畳で敷き詰められた広場の真ん中にはベンチが一つ寂しげに置かれている。そしてその隣には寄り添うかのように一本の葉を落とした小さな木。
昨日雪が降ったせいか、地面は濡れていて少し滑る。広場や道の隅には雪掻きをされて未だに残っている雪の塊。
その塊の近くには暖かそうなコートに身を包んだ幼い双子と思われる兄妹が小さな雪だるまを作っていた。二人とも金髪で、滑らかな白い肌、そしてビー玉のように丸い碧眼を持っていた。
あんな事をして何が楽しいのかな、と青年は思いつつ、ベンチに座り込んだ。息を吐けば白い気体が口から出てくる。
青年にとって今日は一段と寒かった。ちゃんと防寒対策はしたものの、それでも寒さで身体が沁みる。北風が吹くと彼は身を縮ませた。今しばらくの我慢だ、これさえ乗り越えられれば温かい紅茶でも飲む事が出来る。
青年はふともう一度遊んでいる双子の方に目を向けた。
自分があのくらいの頃は何をしていたかな、と考える。
確か遊ぶ事で精一杯だったと思う。遊びを遮るものがあれば、それに対して憤りまでも覚えた。あの双子とは違って、一人っ子だったから兄弟という存在がどんなものか今でもいまいちわからない。
そこで青年は考え事を中断して双子から目を反らした。彼らの母親がやってきたからだ。不審者と間違われたら一溜まりもない。
どれほどの時間が経っただろうか。双子と母親の姿が消えてからの事だ。
彼はコートの袖口をめくり、腕時計を見た。時間は午後七時三十分を回ったところ。広場に来てから十五分弱の時間が経っていた。
青年は「んー……」と小さく唸り、肘置きを利用して頬杖をついた。
「あ、ごめん。待った? 寒いからお店の中に入ればよかったのに」
突如として聞こえた女性の声。青年は立ちあがり、声のした方へ身体を向けた。
マフラーと白いロングコート、そして毛糸の手袋が眼中に入る。亜麻色の長髪は風に揺られていた。
「さっき来たばかりだから大丈夫だよ。それと、あまり店に上がるのも悪いかと思って……」
「そんな気使わなくていいのに」
二人は茫然と立ち尽くす。お互い向き合ったまま、何を話そうか言葉が出てこないのだろう。
「あの、その……。手繋ごうか……」
先に声を発したのは青年だった。彼はすっと手を差し伸べると、それに答えるように彼女は青年の腕を優しく掴む。
そして二人はイルミネーションの光の中へと消えていった。
後書きという名の言い訳。
お久しぶりの方も、お前誰?の方も、こんにちは。時丘江之介です。
クリスマスにこの小説を投稿したかったのですが無理でした。
「小説書こう!」と思いついたのがクリスマス当日の午後六時頃でして、親や姉に小説を書いているのをバレないようにコソコソしてたら見事に無理でした。
え? クリスマスにそんな事しかしてないのか、とな……?
いや、そのね、あの……。
に、しても小説を書いたのは約四ヵ月ぶりです。
小説の基本作法すら記憶から少し欠落してました。ブランク、恐ろしいや。
しかも何をしたかったのかよくわからないオチ無し作品となりました。
いつか再度修正をしたいと思います。
時丘江之介でした。