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ボールペンを回収するまでな

作者: 孤独

ちょっと昨日起こった仕事のお話である。

配達のお仕事をしている自分である。


「こちら、栄田さかえださんのお宅で大丈夫でしょうか?」

『そーですけど』

「お荷物を届けに来ました」


電話でも、インターフォン越しでも、相手の顔が見えないってのは……良いんだが。その雰囲気と態度が一致するなっていうお客様は、あんまり相手をしたくない。


今回のお客様はなんていうか、とても酷い言い方はするけど。


”頭は良いと思ってるけど、実際は馬鹿でしょ”


と思ってしまうタイプの人。

”自分ならできる”と思い込んでいるタイプというのは、組織にいる奴でも、客としても相手にしたくないものだ。

自分の評価よりも他人の評価の方が的確だったりする。

それを真に受けるも、知らんふりするのも、自由な話である。

あくまで”仕事”じゃないならな。


ガチャッ


「どーも、こちらのお荷物なんですけど……」


配達をする際には住所の確認や受取様のお名前を確認するもの。慣れて来たり、急いでたりすると、こーいうのは省くものだ。

荷物を見せながら、お客様にボールペンを渡して、フルネームのサインを求める。


「……あー、俺ですよ」


ちゃんとご確認して頂いて、荷物をお渡しする。なんて事のない話。

普通ならな。

このお荷物は再配達であり、


「あのさぁ。これ午前配で頼んでるんだよ!!なんで11時に届けに来るの!?」

「あーーっ、すんません」


こーいう時間に五月蠅いお客様もいるというモノだ。

なるたけ、11時前に行きたいもんだが。そーいうのは最近無理だ。お客様が在宅しておらず、不在になる事に自分があまり怒れない理由でもある。お客様にも都合あるわな。


「1回来てるんでしょ!!分かるでしょ!!」

「自分、担当じゃなかったんで」


このお荷物を1回目に届けた担当じゃなかったからな。

それでもお客様としては、1回ここに来てるんだから、すぐに分かるだろうって頭になるんだろう。ただ、この仕事から言ったら”そうはならんやろ”って。1回目に届けにきた配達員が、このお客様の事を理解してたから配慮したんだなって、対面でお客様に会った時に感じたものだ。これは怒るな。

そんな処理をするんじゃねぇって、一度怒るのは確かだ。

ただ、怒るのは場違いだろって冷めるんだが。


「なんでできなかったんですか!?」


”再配達の数が多いんですよ”って普段なら応えるモノである。

実際にこーいう事を言うお客様には事実を言って応えた事もある。


『午前希望だけでも49件あるので、可能な限りとなりますね』


こーいう感じな事実を言うと、大体、お客様は黙ってくれるモノである。

こんなに少なかったらいいんだけどさ……。

しかし、今日のケースは違っていた。正直に言うが、


「そりゃあ、お客様が”ちゃんと住所”をご記入されてないですからね。それは最後にしますよ」


荷物に住所は書かれているんだが、その住所がデタラメで……。荷物に記載されている住所で該当しているところは、送電塔になってるんだよな。鉄塔に住んでるのか?ジョジョの鋼田一さんかよって。

住所が不明なところを探すより、住所に間違いがないところから配っていく方が、他のお客様に迷惑がいかないんでね。


「ふぅんっ!!」


バタァンと強く扉を閉めるお客様。鼻息が荒い。

……1回目の配達に来てないのに、自分がここに来れたかというと、前の担当の方がちゃんとした正当な住所をメモしてくれたからである。とはいえ、こっちとしては住所が間違っていたら疑うモノだし、万が一間違ってたら、責任を問われるのは荷物を渡した自分になるのでね。

分かってませんから~っていう表情じゃないんで。

どっちかというと、間違えたらヤベェの表情。


住所もロクに書けないのに(通販の商品)怒り出すとは困ったお客様なこと。

ようやく、午前配の全てを回り切って一段落したが


「あ」


さっきのお客様にボールペンを盗まれてると気付いた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 配達のお仕事、大変ですね。お疲れ様です。 にしても、住所を適当に書くとは! なかなかやりますね……
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