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最近見た映画のはなし

作者: 時透

 

 私は映画を見ることが好きである。映画について語れるほど詳しくはないし、趣味で映画鑑賞をあげられるほどの自信もないが、それでも良い映画を見た後の満足感や幸福感は他の事ではなかなか味わえないと感じている。そしてその満足感を得るために、映画館へと足を運ぶのである。


 先月は、宮崎駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」を見に行った。見る人によって解釈や評価のわかれる作品だという前評判は耳にしていたが、それ以外の情報はほとんど知らず、ジブリ好きの友達と2人でテスト後に学校から少し離れた映画館まで足を運んだ。宮崎駿監督の作品は、いくつか金曜ロードショーで見たことがあるが、映画館で見るのは初めてだったので、映画館の大スクリーンや洗練された音響で楽しめることも楽しみのひとつだった。

 

 そんな大きな期待を抱えながら指定された席に座ったものの、見終わった後の正直な感想は「よくわからない」という気持ちが大きかった。一緒に行った友達も、「過去のジブリ作品を連想させる描写が出てきて嬉しかった。」とは言っていたものの、2回目はないかなぁと言っていて、私たちの間では満足度はあまり高くなかった。

 

 私の中であの作品の評価が変わったのは、帰りのバスの中でのことだった。友達と別れてもなお映画のことが頭から離れなかった私は、ツイッター(現在のエックス)で同じ映画を見た見ず知らずの人の感想を検索していた。その中である有名なアーティストがこの映画の感想をつづったブログのリンクを貼って、拡散しているのを見て、私は思わずそのブログを開いていた。


 あの映画は、宮崎監督の頭の中をそのまま表現した映画なのではないか。

 

 ブログでその一文を見た時、私の中で、映画のすべてが腑に落ちたと同時に、宮崎駿監督の異常なまでの才能を見せつけられた気がした。私はたまに趣味で小説を書いているが、私はまずテーマを決め、そこから構成を考え、展開を調整し、をある意味非常に打算的に小説を作っている。だけど宮崎監督は違うのだ、監督の頭の中には常に現実とは異なる表現できる世界が広がっている。そして、その世界を忠実に再現した映画こそが「君たちはどう生きるのか」という作品なのではないか。

 

 これは私の持論だが、この映画は宮崎駿監督の頭の中、つまり人生そのものであり、監督の人生を見せつけられた後、我々はそのうえでどう生きるのかを問われているのではないかと考えた。

 

 最初はよくわからないと感じた映画だったが、監督の頭の中という絶対に普通に生きていたら絶対に体験できない非日常を2000円弱で映画を通じて経験できたのなら、とても貴重な体験をさせてもらったというべきなのではないか。この映画をまだ観たことがないという人がいたら、一度見に行ってみることを心からおすすめする。もしこのつたないエッセイを読んで、この映画の魅力に気が付いてくれる人が1人でも増えたのならとても嬉しいことである。


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