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男のロマン、それは・・・

式典が終了し、場所を城内のパーティー専用ルームへと移して開催されたアースガルズ王国主催の晩餐会は想像以上に豪華だった。


テーブルに並ぶ目にも鮮やかな数々の料理は王国屈指の各分野を得意とする料理人たちが腕によりをかけて作った品だ


お上品な料理から、貴族の跡取りたちをターゲットとする子供向けの味付け仕様なものに好んで食べる揚げ物類。


そして女性が好む甘いスイーツや香りを楽しむを目的としたハーブなどをふんだんに使用した焼き菓子。


目で鼻で舌で満たす最高の品々に、遥々他国より足を運んだ来賓は大満足。国内の貴族たちも目を輝かせてパーティーを楽しんでいた。


有り余る金を惜しみなく美容に投資する女性に鼻の下を伸ばす男性陣。


既婚者とか関係ない。美人は眺める、それだけだ。


俺の視線も若い娘から大人チックな夫人まで大忙し。


幅広い年齢層の美女の顔から、徐々に下へと移動し、大胆に露出された胸元をロックオン。


そこら中にわんさかと美女が立っているので視線を動かすだけでも疲れる。


独自の子は好物件な男性探しに必死。夫人や婚約者持ちは、普段触れ合う機械のない貴族同士の会話に夢中な様子。


だから俺の胸部観察もおかげさまで捗るってもんよ。


今の胸はCカップ?いや、Dか・・・


俺は真面目な顔で測定を行う。


D、C、B、D、D、C・・・


良いもん食ってるだけあって発育が良いな。


顎に手を当て深く考え込む俺。


「ッ・・・!?」


じっくりと観察して正確な測定結果を導き出す俺は、視線を隣の女性からそのまた隣へと移していく内に、自分の近くに立っていた女の子の胸で釘付けとなった。


「こ、こいつは・・・Gカップだと!?」


男の夢、それはGカップ。


この持ち主は腰もくびれており、ただ太った肥満型巨乳じゃない、正真正銘の巨乳だ。


肌色や良し、見た感じの張り具合も良し、形も良し。


俺の目の前には、俺の理想とする胸が存在していたのだ。


俺は顔を上げて、女の子の顔を確認する。


好みだったらナンパしてみよう。


「そこのGカップの。じゃなかった。綺麗なお嬢さん、良かったら俺とお茶しない?」


顔を上げたつもりが、無意識で目線だけは彼女の胸元で固定されていた。


「あら、騎士様。このあたしをナンパしようとする勇気、褒めてあげるわ。けどね、目を血走って見境なく女性に発情しているあなたにはお仕置が必要ね。・・・マルス」


「え」


聞き馴染みのある声に名前を呼ばれた俺は一気に現実に引き戻された。


そこにいたのはシャーレットであった。


「パーティーが始まった傍から随分熱心に女性たちのむ・ね、を眺めてたわね。どう?お好みのむ・ね、とは出会えたかしら?」


やたら胸というワードを強調するシャーレット。


腕を組むことで圧縮される谷間を見て。


人生の最後はこんな谷間に落ちて死にたいな、と考えながら俺は言った。


「ああ、たった今見つけたところだ。シャーレット・・・いつ見ても、おっぱいが大き・・・ごほん。君は世界で一番美しい女性だ。上品な振る舞いに、俺を気遣ってくれる優しい心を持つ君に・・・俺は常に魅力されているんだ。俺と一緒にいてくれてありがとう」


我武者羅に褒めちぎってご機嫌取りを図った。


シャーレットには少なからず効果があったらしい。彼女はちょっぴり頬を染めると。


「は、八十点ってとこかしら?マルスにしては上出来よ。胸の件は水に流すわ。ただ、これからはもっとあたしを見なさい。いいわね?」


上目遣いで照れ隠しをする彼女は特に可愛い。


最近になってデレのぶふを披露してくる彼女に俺の心は満たされる。


てな具合に甘い空気を漂わせていると、いつメンが集まってきた。


「シャーレット、それは聞き捨てなりませんね。わたくしたちを、ですよね?約束したではありませんか」


「そうよ。わたしたちだって色々と我慢してるのに。シャーレットだけずるい」


みんなは皿に自分の食べたい料理を乗せてパーティーを満喫しているようだ。


「マルス様は相変わらず軽薄な男ですね~。いつか痛い目にあいますよ?」


アテーネが俺にだけ聞こえる声で言う


「ほぅ、お前に今痛い目にあわせてやってもいいんだけどな」


さすがに公衆の面前でやる度胸は俺にない。


咳払いをして、俺は話題を変える。


「ところで誰か先生見なかった?叙勲式の時のお礼を言っときたいんだけど」


胸を拝むついでに探していたのだが、どれだけ見渡しても先生のイケメンフェイスは見当たらなかった。


「いっつも、ヘルメースヘルメースって・・・むかつくわね。あんな奴少し剣と魔法が上手いだけだわ。いい気になりやがって」


少し(人間族最強)。


さすがに本人の前では辛うじてなりを潜めているが、裏では罵詈雑言の嵐だ。


「まーた始まっちゃいましたね。シャーレットのヘルメースアレルギー」


フレイが溜め息を吐く。


「本人には絶対に聞かせられないね。日を追う事に言動が過激になっている気が・・・」


ナリータも同調して言うが、それフラグだよな。


「やあ、みんな元気かい?マルスくんもおめでとう」


お決まりのパターンで登場した先生。


うん、知ってた。


「先生、式の時はありがとうございました。先生が言ってくださったおかげで、俺の昇進に反発する奴らが減りましたよ」


俺が礼を言うと先生は爽やかに笑った。


「気にしないでくれたまえ。あれは小生もイラッときてたからね。小生は正論を言ったつもりだ、君はなに一つとして間違ってないよ。小生はそれを君に伝えたかったんだ」


あかん、男でも惚れてまう・・・


俺が感激していると、隣でわざとらしく大き目の舌打ちが鳴った。


彼女は先生に親でも殺されたのか?他者にそう思わせる程にシャーレットは先生を嫌っている。


「そこのあなた、グラスを六つ頂戴。ノンアルコールでお願いね」


シャーレットが近くを通りかかったメイドさんに指示すると、メイドさんは手際良くグラスの準備を始めた。


「マルス、乾杯しましょ」


俺は頷いて賛同する。


「みんなー、グラスは行き渡った?」


「ええ」


「「バッチリ」」


三人は準備万端。


「おやおや小生もかい?」


グラスを手渡す俺に先生が意外そうに尋ねた。


「当然です。俺が先生を除け者にするわけないじゃないっすか。それにきっちり人数分用意させたのはシャーレットっすよ」


「王女様、今日は素直なんだね。マルスくん効果かい?」


「ふん!今日だけはマルスに免じて許すのよ。今日だけはね!」


そっぽを向く彼女に俺と先生は苦笑した。


「もう、仲良くしてくださいな。王女様、乾杯の音頭はお任せしますよ?王女らしくビシッと決めちゃってくださいね」


フレイが茶化すと。


「任せなさい」


シャーレットはグラスを前に差し出す。


注がれた葡萄ジュースの甘い香りが


「では、皆様グラスを────」


俺を囲む美少女たち、尊敬する先生。


俺を祝福してくれるみんなの気持ちに、心がじんわりと暖かくなる。


ああ・・・転生して良かった。


馬鹿にされながらも耐え抜いて修行に捧げた五年間がようやく実った俺は感涙するのであった。

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