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死んだらどうするか?自分もゾンビになればいい

マルス対デスラーの激闘の跡が色濃く残る、邪教聖地・マハバード。デスラーの禁術で全ての住民が死に、もぬけの殻状態。


そんな変わり果てた殺風景な場所となったそこに一人の男と一体の魔物がうろついていた。


「あれー?報告だとここいらって言ってたんすけどねー」


「マンモー、匂いは残ってるか?」


「ウモォォォォォーン」


と呻く、マンモーと呼ばれし魔物。


四足歩行で長い鼻に、茶色い毛皮の巨体をゆっさゆっさと揺らしながら歩く奇妙な生物だ。


「お、見つけたか?」


急に立ち止まったマンモーは、その長い鼻をズボッと地面へ突き刺し、地中を探っている様子だ。


そしてズボンッと何かを引っこ抜いた。


分断された頭部に胴に四股。


紛うことなきデスラーの死体である。


死体であるはずだが・・・急に閉じられていた瞼が開き、瞳に真っ赤な色彩が戻った。


「いっでー!エライ目にあったな、ったくよぉ・・・ぺっぺっ!口ん中ぁ砂だらけだぜ・・・」


マーモンの鼻に掴まれたデスラーの首が喋り、砂を吐き出した。


「あ疲れ様でっす!負けたんすか。いつ見てもびっくり人間っすよね、デスラーの旦那は。オイラも禁術使おっかな」


「あぁん?なんだとオウラル?邪神様に身も心も捧げてねぇ無神論者なんかに邪神様が応えるわけねぇだろ。てか、お前なんでこんなとこいんだよ?」


首だけのデスラーと目線を合わせるのはリターンズ幹部十焉星オウラル・フラッシーだ。


「アースガルズ王国に向かってる途中なんすよ。そんで報告が入ったんす。一旦寄って神器の確認だけしてから行けとクロースさんから。ほんっと人使いが荒いっすよね」


「クロースの人使いは今に始まったことじゃねぇだろ。気にするだけ無駄だぜ」


「んで、神器はどしたんすか?まさか、取られちゃいました?」


「はっ!俺がそんなヘマするわけねぇだろが!別の場所に移してあるぜ。ちょこまかと探ってた奴がいたからな、念の為だ」


体が繋がっていたらふんぞり返っていたであろう自信満々な表情。


「さっすがー。まじ尊敬っす!」


手を叩き賞賛するオウラルだが、その行為はデスラーの神経を逆撫でするだけであった。


「見え透いたお世辞なんざ要らねぇよ。とりあえず体くっつけてくれや」


首だけとなったデスラーは地面で放置される自分の体に視線を落とす。


オウラルは少し考え込む素振りを見せるとポケットの中をゴソゴソと漁り始めた。


「接着剤でいいっすか?」


「はぁ?はっ倒すぞ!」


「可愛い後輩の冗談じゃないっすかー。そこは笑い飛ばしてくださいよ」


「つまんねぇギャグかましてんなよ。たしか・・・お前の飼い慣らしてる魔物にいたろ?あの気持ち悪いイソギンチャクみてぇな」


「相変わらず美的センスが皆無っすね。可愛いじゃないっすか?」


ブツブツと文句を垂れるオウラルは、デスラーご所望の魔物を召喚する為の準備に入った。




「ふぅー、やっとくっついたぜ。サンキューな。そういやぁ、そろそろお前の本命が始まる頃だっけか?」


首を鳴らし肩関節も鳴らす。全身を大きく仰け反らせ太陽光を浴びるデスラーはオウラルに尋ねた。


「そうっす。年に一度の学院の祭典。アースガルズ魔法学院で開かれる魔闘祭の優勝賞品聖杖・クラスファーの奪取」


今回リターンズの主より指定されたのは聖杖・クラスファーと呼ばれる杖だ。


その昔、世界が闇に覆われ終焉への足音が迫っていた時に突如現れた聖者・ロンビン。


ロンビンが杖を一度振れば枯れた草木が新たに芽生えた。天にかざして魔法を唱えれば大地に潤いがもたらされた。最後に自身の命を引き換えに世界に光を取り戻した。と言い伝えられている。


「ついでだ、俺も乗っけてってくれや」


「いいっすけど、珍しいっすね。手伝ってくれるんすか?」


「勘違いすんな。誰がてめぇを手伝うかよ。俺はあの学院の生徒二人に用があんだよ」


「あー、言ってましたね。生徒会長に信徒を殺られて、エルバイスの跡取りに邪教壊滅。やりたい放題されましたね」


「ああ、借りはきっちり返さねぇとな・・・」


デスラーはマンモーの背に飛び乗った。


「んじゃ、行きますよ!マンモー、進め!」


「ウンモォォォォオォンン!!」


オウラルの指示にマンモーは咆哮で応えた。


のっそのっそと大きな足を踏み出し進む。


背中に揺られ景色を眺めるデスラーは苦々しい顔をした。


「遅ぇな、どうにかなんねぇの?」


「無理っす。これが限界なんで」


アースガルズ王国へとゆっくり迫る魔の手。


当然、学院の生徒及び教師陣は奴らの来訪を知らないが、王国内では知る者が─────三人だけいた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦いの表現が好み [一言] 起きている戦闘シーンが想像しやすい文章で引き込まれてしまいます。各キャラクターにも癖があり、推しを見つけたくなるような作品です!
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