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新下宿先・ラウンズ武具店!

なんやかんやあってようやく下宿先やらへと辿り着いた俺たち四人。そのうち半数は怪我を負いながらの到着となった。


シャーレットが立ち止まったのは周囲の建物よりは一回り大きめな一軒家。立てかけられた看板には『ラウンズ武具店』と記されている。


唐突に武具店へと立ち寄ったシャーレットを不思議に思う。


彼女は彼女で既に剣を持ってるし、フレイも腰に携えている。


アテーネはそもそもの話、剣を使わない。彼女は女神界から拝借してきた杖を使用している。


そんでもって俺はチート剣一本と父さんから貰ったのを一本。計二本持ってるから尚更だ。


俺の疑問に答えるかのようにシャーレットが口を開いた。


「ここが今日からあなたたち二人がお世話になる下宿先よ」


「武器屋だけど?」


「武器屋ですが?」


俺とアテーネの声が重なる。


「馬鹿ね。ここに住まわせてもらうのよ」


うん馬鹿ね、は絶対に余計だね。


「へぇー、ここなんですね」


フレイが呟く。きたことあるのかな?


なんて思っているとシャーレットが動き出した。


「ラウンズおじさーん、メーガンおばさーん。連れてきたわ」


ノックもせずにいきなり扉を開けるシャーレット。


もう一度言いますけど王様、あなたの娘さんは後戻りできないレベルで道を踏み外してますよ。


「おお、シャーレット。入学式は終わったんだな。試験はどうだったんだ?」


髪をオールバックに纏め、無精髭が印象に残る大男が店の奥から顔を出した。


「おお、その子たちが例の件の。一人増えてるみたいたが、まあいいさ。それとフレイはどうしたんだ?剣に問題でもあったか?」


ラウンズさんは俺とアテーネの顔を交互に見ると、豪快な笑顔で出迎えてくれた。


どうやらフレイとも顔見知りのようだ。


フレイが一歩前に出た。


「はい、先日はどうもありがとうございました。今日は学友の付き添いです。ラウンズさんの武具に問題なんてあったらこの世の武具全てゴミ同然です」


「ガッハッハッ、嬉しいこと言ってくれるじゃねえか。またいつでも言ってくれよ。まけとくからさ」


「フレイ、知ってるのか?」


「はい、一昨日にこの店に武器の新調にきたのです。このラウンズ武具店はわたくしたちエルフ族の領土にもその名が知れ渡るほど有名なお店ですからね」


俺の質問にフレイはにこやかな表情で答えた。


よっぽどこの店の武器が気に入ったらしい。


なんて談笑していると、再び店の奥の暖簾が揺れた。


「あらー、シャーレットいらっしゃい。後ろの子たちが話してた子たち?」


出てきたのはめちゃくちゃ綺麗なお姉さん。スタイル抜群で、特に目を引くのは、男のロマンが詰まっている豊かな双方の膨らみ。


目尻にちょこんと居座る泣きぼくろが大人の色気を醸し出す。


「メーガンおばさん。今日も相変わらずお美しいことで」


「あらあら、シャーレット。お世辞を言っても何も出ないわよ?」


「あたしはお世辞を言わないタイプよ」


うん、だろうね。知ってる。


「まあ、とりあえず自己紹介からいこうや。俺の名前はラウンズ・バーンだ。んで、こっちが俺の嫁メーガン・バーン。俺の自慢の嫁だからな、間違っても惚れるなよ?」


ラウンズさんが茶化すように言う。


「あははは、大丈夫ですよ」


ダウト。


実はちょっとだけぐらついていた。


「なに言ってるのよあなた。こんなおばさんをマルスくんみたいな若い子が好きになるはずないでしょ?言わせないでちょうだい!」


真っ赤になって夫に文句を言うメーガンさん。照れてる姿に加虐心が刺激される。


俺はもしかしたらSよりなのかも。


まあ、童貞の戯言だ。


「いえ、メーガンさんはまだまだ若くてお綺麗ですよ!」


これはガチ。


俺の言葉にも力が入る。


しかし、そんな時。


背後から放たれる威圧感が二つ。


恐怖で全身を駆け巡るほどに寒気を感じた。


これは爆発させたらやばいやつ。慎重に言葉選びを心掛けなければ、イーセカイよりも先に、俺に厄災が降りかかるだろう。


俺はすぐに思いつく対処を実行。


「え、えーと、マルス・エルバイスです。今日からお世話になります」


名付けて、強引に話を進めちゃえば忘れてくれないかな?作戦。


「わたしはアテーネです。突然で申し訳ないですが、わたしも一緒によろしくお願いします」


ぺこりとお辞儀をするアテーネ。


彼女を見たメーガンさんは目をキラキラとさせて言った。


「わぁー!可愛い子ね!アテーネちゃん、あなたは料理はできるの?」


「は、はい、一応は。マルス様のご飯を作ってましたので」


「そうなの!偉いわねぇ。おいで、キッチンの説明をするわ。これからは一緒にお料理しましょうね!」


「はい!頑張ります!」


メーガンさんに案内されてキッチンへと向かうアテーネ。


俺を置いていかないでほしい。


頼むから俺も連れてってくれ。


取り残されたら俺の命が危うい。


「ぼ、坊主。俺たちは部屋でも見てくるか?」


俺の心情を察してくれたラウンズさんが気を使って部屋案内に誘ってくれた。俺はラウンズさんと同じ男としてのなにかが通じた気がした。


この救いの手、受け取らないわけがない。


「ぜひお願いし」


「マールースー?ちょっと話があるわ。着いてきなさい。ラウンズおじさん、それあたしたちが帰った後でもいいわよね?」


俺の言葉を意図的に遮ったシャーレットはニコニコ笑顔。


でも目は笑ってない。


「わたくしもご一緒させていただきますね。ラウンズさん、しばしマルスくんをお借りします」


ラウンズさんに冷たい視線を向けるフレイ。


彼女のそれは年長者に、ましてやお世話になったお店の店主に向けるものではない。


「そうだな・・・後でも問題ないよな・・・」


彼は自分の命を選んだ。


懸命な判断だ、俺でもそうする。


「じゃあ、行きましょうか」


仕事を終えて愛する家族が待つ我が家へと帰宅する大人。友達に別れを告げ温かいご飯が待つ家に帰る子供で住宅街が賑わう、そんな夕暮れ時。


本日二度目の少年の断末魔が辺りに響いたとさ。

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