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イーセカイとは

俺の転生した世界、イーセカイについて改めて説明しよう。


ヘルメース先生の語るところによれば、この世界には四種族が表面上での平和を守り共存しているが、本来ならば七種族が存在していたらしい。


人間族、獣人族、エルフ族、亜人族、巨人族、犬獣族、蛇族の計七種族だ。


戦争・侵略好きの巨人族、犬獣族、蛇族は度々お互いに戦争を仕掛けたり他種族の領地に攻め入ったりと好戦的な種族であった。


頻繁に小競り合いはあったものの、世界中を巻き込むような大規模な戦争までには発展しなかったので、他の種族は自国を守る為に応戦するが相手を壊滅に追い込むまで徹底的に戦おうとはせず、不安定ながらも世界の均衡は保たれていた。


しかし、その均衡は一人の男の出現によって崩されてしまう。


突如として現れた【悪神ロキ】と呼ばれる者がある提案を持ちかけたのだ。


ロキが勧誘相手に定めたのは血の気の多い巨人族、犬獣族、蛇族。加えて自らを悪亜人族と名乗る武装集団。


悪亜人族とは、ロキが目を付けた亜人族内で対立していた武闘派だ。


ロキは彼らに恩を売るべく武器の提供から始めると、最終的には直接ロキが戦闘に介入し独立の導きまでを手助けした。そして彼らはロキの従順な駒となったのである。


ロキは族の長を世界の果てにあるとされる【終界の神殿】に一堂を集わせ、三日三晩に及ぶ談義を執り行った。


ロキに頭の上がらない悪亜人族は、彼の提案を拒めないので形として談義に参加しただけだが、それ以外の巨人族、犬獣族、蛇族の長はロキの巧みな話術にまんまと乗せられ、彼の口から語られた常軌を逸した思想に心酔し、賛同。彼らはまとめ上げられ大規模な四種族連合を組んだのである。


その知らせは世界中を震撼させ、人々を恐怖のどん底に突き落とした。


この強大な力に対抗する方法は限られている。


残りの種族は急遽会談を行うと、互いの手を取り合い、悪に立ち向かうことを決心したのだ。


このようにして世界は二分化され血みどろの争いが始まったのであった。


善神軍には人間族、エルフ族、獣人族、穏健派の善亜人族。


悪神軍にはロキ、巨人族、犬獣族、蛇族、悪亜人族。


平和を望む者たち。


血に飢え、世の中に異を唱える者たち。


正反対な思想を掲げる両者がぶつかり合った、後世に語り継がれる世界の終焉を架けた大戦。


両軍の力は拮抗し、争いは激化の一途を辿る。


草木は燃え大地は焦土と化す。海は荒れ狂い海洋生物の大半が死滅に追い込まれた。


誰もが絶望を身近に感じ、世界が闇に包まれるか、という瀬戸際。


やはり最後に勝つのは正義たる所以か、颯爽と現れた人間族が二人、エルフ族が一人、獣人族が一人の計四人の手によってロキを筆頭とする悪神軍は打ち倒され、彼らには四つの封印が施された。


念願の平和が訪れた世界で英雄となった四人は全ての生命から感謝され、導勝の四英傑と呼ばれたのである。


そして五千年が経過した今も尚、世界中で広くその名は轟き威厳を保っている。


しかし、四人の中で一人だけ無能がいると言われ続けてきたのだ。


名はヘイルダム・エルバイス。


彼がしでかした具体的な失敗エピソードは誰も答えられないが、逆にどのようにして勝利に貢献したかも誰も知らないのだ。


他の英雄はなになにの戦いで大活躍しただの、敵に支配されかけた国を救っただの輝かしい功績をそれだけで優に一晩は語り明かせるくらい残している。


数々の伝説は子供たちが喜ぶ昔話になったり、サーカス団が劇として演じる。


アテーネ曰くご先祖さまは俺と同じ氷魔法の使い手だったらしいけど、氷魔法なんて御伽話に出てくるもはや空想上の属性魔法だ。


氷魔法使える!なんて口走った日には、大人から子供までの幅広い年代の者に嘘つき認定され、笑い者になるのがオチだろう。


敗戦したわけでもないのに五千年の果てしなく長い間ずっと戦犯扱いを受けるって、いったいなにをしたらそうなるのか心底不思議である。


子孫が生きやすい立ち回りをしてくれなかったご先祖さまを恨むくらいは許してくれよな。


誰かに不満をぶつけなきゃこちとらやってられないんでね!

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