お札の勇者
額から血を流し、力なく横たわっていた女の上体を抱き起こすと、女は無事な方の腕で弱々しく黒檀のような木札を俺に差し出してきた。木札から微かに脈打つような波動を感じる。
女は息も絶え絶えに力を振り絞るようにして俺に話しかけてきた。
「どうやらあなたはお札に選ばれたみたい。私にはもう時間が残されていない……私の代わりに皆を護って」
言い終えて女は大役を終えたように安らかに目を閉じると、俺の腕の中でぶるっと身震いしてそれきり動かなくなった。
お札は欲望や生命などといった何かを犠牲にして超人的な力を使用者に授けるらしい。俺はお札の力を使うと超音速で行動できるようになった。彼女の「皆を護って」という遺言に従い、俺はこの力を使ってひそかに街の皆を助けていたが、やがて彼女の言った意味が分かる時が来る。お札は俺の持つもの以外に存在し、その力を利用して悪事を奴らがいて彼女はそいつらと戦っていたのだ。
だが逆に彼女の様にそいつらと戦っている奴らもいて、俺はそいつらと協力して戦っていく。挫折、別れ、裏切りといった様々な試練を乗り越え、やがお札が生まれた経緯と真の敵を知った。お札の真の力を目覚めさせ、俺に残された時間のすべてをかけても俺は最後まで戦い続ける。