表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お題シリーズ4

やまない槍と皆の様子

作者: リィズ・ブランディシュカ



 魔法弾がとうとう弾切れを起こしたようだ。


 轟音がなりやんだ。


 だから俺達は隠れていた場所から出る。


 今が撤退時だった。


 再装填までに距離をかせがなければ。


 生きるために、走り続ける。


 火でやけこげた戦場にあぶられながら、走り続ける。


 この戦いは俺達の意思ではじめたわけじゃないのに。


 命をかけなければならないのが、酷く腹立たしい。


「槍が来るぞ」


 敵が特殊な機械で槍を飛ばしたらしい。


 見上げれば、弓矢より凶悪なものが空一面に見えた。


 死の雨がふってこようとしている。


「はしれーーーーっ!」


 ここは戦場。


 一秒先には命を落とす。


 生きながら地獄が見える、そんな場所。


 怪我をした人間を抱えて逃げる暇がない。


「いかないでくれ!」


「おいてかないで!」


 耳をふさぐひまもない。


 心の中で謝りながら、必死で走る。


 兵士達は、命を大事にかかえながら、命を粗末に扱う。


 戦場は、そんな矛盾が堂々としている場所。


 上司も部下も関係ない。


 死ぬ時は死んで、生きる時は生きる。それだけだ。


 善人も悪人も関係ない。


 ただの偶然で死んでしまい、ただの偶然で生き残るだけ。


 空から何かが降ってくる。


 多くの武器が降ってくる。


 人を殺す武器が。あの世が見える。


 目を凝らす前に、かけぬけろ。


 ここにいる皆、何人が、一体どれほど生き残れるだろう。


 それは生き残ってみないと分からない。


 はしる自分達の目の前には、真っ赤な炎。


 どこまで燃え広がっているのか分からない。


 けれど、躊躇するようなものは、ここまで生き残ってはきていない。


 魔法弾で焼け焦げた火の海にとびこんでいった。


 普通の火ならとっくに消えているのに。


 魔法の火は長く残る。


「つっこめ!」


 みんな、飛び込んでいく。


 死に物狂いの様子で。


 その先に炎の終わりがあって、再び走り続ける事ができるよう、願いながら。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ