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きみに想う ~王の妃~  作者: 間宮沙紀
実家編
33/42

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西の自由自治区


乾いた風が吹き布で隠していた顔が見えてしまう


「姉ちゃん達、"ネムリム"か?」

「はっ?」


西の服を着た男2人に力づくで菖蒲が腕を引っ張られる


「違います!妹の手を離して下さい」

「姉ちゃん達、キレイな顔してるから案内人だろ?」

「離せよ!」


小柄な菖蒲は大人の男2人がかりで抑えられ、抵抗するももがいているだけで意味をなしていない


「違うのか?まぁいいや違うならば・・あの女将に差し出すには丁度いい、2人とも連れて行こう」

「きゃっ」


葵までも捕らえられ、昨日の娼屋と同じ通りの別な建物に連れてこられた

建物に入ると赤を基調とした妖しくも豪華な部屋に通され、男たちによって縛られ自由の効かないまま誰かと会うようだ


「まずいでしょう。これは芹兄さんが大暴れ確定!」

「何呑気なこと言ってんの?どうするのこれ」


コソコソと葵と菖蒲が話していると奥の扉が開き"女将"と呼ばれるまだ若い肌の露出が多い

妖艶な女の人が出てきた


「まだ若く可愛い顔…よし採用!直ぐに仕事を与えて!」


ハキハキと裏の人達に指示を出すのと

ここまで連れてきた男達にも女将と言葉を交わす会話が聞こえる


「褒美は女将との1晩で…へへっ」


男の1人とチュッとリップ音を出してキスをする女将


「お相手は正規な手続きで…まぁ若い娘2人連れてきたお礼は…しましょう」


女将も男も部屋からいなくなると入れ替わりで誰かが来る

その一瞬の隙に菖蒲は素早い動きで自分の拘束をとき、葵の拘束も解く


「逃げたぞー!」


菖蒲と葵は手を繋ぎなんとか

追ってを振りまいて逃げだすことに成功した

オアシスの道までたどり着き、2人は息切れをしていた


「どうしようかと思った…」

「逃げれたは良いものの、これから僕は芹兄さんに呼び出しだ!ほら…迎えが来てる」


家に続く広めの道に芹が仁王立ちで待っていた


「何をしてるんだお前達は!こら菖蒲!こっちだ!」


逃げようとした菖蒲が芹によって捕まる


「芹兄さん、お願い私も連れてって、今日菖蒲を連れ出したのは私なの、怒られるなら私も責任がある、それに聞きたいことあるの」

「分かった、ここで話すよりはとりあえず中に入ろう」


さわさわと庭の木が揺れる

葵はそれを見逃さずに、後ろを振り返る

振り返った先には何も無かった


芹兄の部屋は大きくて、窓からは町の灯りがキレイに見えた


「芹兄さん、ネムリムが何か知ってる?」

「なんでその言葉を知ってる?」


芹の顔は怖い、向かい合わせに机を挟んで座る葵と菖蒲の前で腕を組んでいる


「この地方の古い言葉で"夢"という意味だ」


葵は街で見て来たことと、思っている疑問を芹に話す


「あの娼屋明らかにおかしいよ。それに王都の人間が増えてる、それにさっきのは人身売買・・」

「お前がそれを心配するな、それをどうにかするのは親父や俺の仕事だ」

「でも・・」

「でもじゃない!!危険なことに自分から首をつっこむな!当分外出禁止!!」


芹兄から解放され、部屋に戻ろうとする菖蒲を捕まえる


「ちょっと何すんの?痛いって」


自分の部屋まで手首を掴んで連れて来た葵に不満気な表情の菖蒲


「何かおかしい気がするの、あの女将って娼屋の人よね?」

「おかしいって言ったって、どうすることも出来ないよ、今外出禁止令でたばっかりでしょ?

外には行けないよ!!あの芹兄さんの様子じゃ、無理!僕も協力できない!危ない目にあったの忘れたの??」



ドンと響くような音が外からなる音の方を菖蒲が見ると


「え?」


目を丸くさせてびっくりしている


「ほら、掛かった」


葵が嬉しそうに笑ってソレ見ているのを見て菖蒲は引いていた


外の木には人型の黒いものが引っかかるようにして

というよりはわざと絡めとられたように枝や葉にくっついているという表現がピッタリくるような状態で

何かがいる


「え?何これ?」


菖蒲の顔がイヤそうによくわからない物体を見ている


「ずっと私たちをつけていた実体のない追跡者の正体、庭の木たちに協力して貰ったから上手く捕らえらたみたい」


手を伸ばしてその物体を引き寄せようとする葵に信じられないという顔をしている


「あんた、怖くないの?僕どっかというとなんでもない顔で、いやちょっと面白がって

ソレを掴んていいる芙蓉のほうが怖いと思ってきた」


手にはその得体の知れない黒い物体を抱えている葵に菖蒲は顔を引きつらせていた


「まだ自分の力をコントロール出来てないし、これをどうにか出来る程の知識はないんだよね」

「魔力持ちなんだ・・・」

「そうみたい・・ここにきてから調子いいみたいなのよ」

「ソレ。明らかにいいものじゃないよね」

「うん」

「僕触りたくないから、薺兄さん呼んでくるから待ってて!」


芙蓉の家族に魔力持ちはいない

ただそういった類に強いのは薺だったので

捕まえた具現化されたその黒い物を呼ばれて走ってきた薺に引き渡した


「これは・・西の魔女に渡すしかないか?」

「魔女??」

「こういった魔法関連は俺達にはどうすることもできないから

魔女にお願いすることになっているんだ」

「へー」


黒の物体を魔力封じが施された特殊な袋に薺が入れるのを葵も手伝う


「いいか、芙蓉!魔力持ちでも危ないことはするなよ!」

「はぁい」


葵は気の抜けた返事をする

大人しくしている気なんてさらさらなかった






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