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トントンと護衛が前にいる翡翠の部屋の扉をノックする
扉が開き、奥へと案内する翡翠の顔を見ると
疲れか緊張なのか美少年顔からは悲壮感が出ている
丸い小さな椅子を引き
芙蓉の母に着席を促す翡翠
「どうぞ」
「ありがとう」
芙蓉の母は椅子に着席し
じっと翡翠を見つめる
「王とは大変なものなのね、美少年が台無しよ…」
翡翠は苦笑いをする
「華原を襲ったのは誰なの?あの子がやられるなんて・・何が起きてるの?」
「黒魔術を使って人を操作する・・組織的で高い魔力。それだと思います」
「芙蓉は・・?無事なの?」
「・・・人質としてとらえれているか、あるいはもう・・」
視線をそらして下を向く翡翠に
母は大きく目を開く
「葵ちゃんは何者?どうしたいの?あの子を」
「俺は王位を継げる立場じゃなかった
それが今はこうして王として生きている
平民として生きて来たからこそ
みんなが平等な生活を送れる国にしたい。
王も貴族も平民も関係ない世界に…
それなのに、身近な人間を危険にして
守ることも出来きない…」
「その気持ちは立派だわ・・それを成し遂げたらあなたは歴史に名を刻む名君となるでしょうね」
ぱぁんと乾いた音が部屋中に響き渡る
母は翡翠の頬を思いっきり平手内をした
「一人の人間を犠牲にしてみんなの幸せを作る?・・それに私の娘の命を使ったというの?身近な人を守る自信もないのにそんな大層な夢を実現できると思う??」
翡翠は何も答えられなかった
頬の痛みも感じない
「あの子・・葵ちゃんはうちで面倒をみます。王都へは戻さない」
母は部屋を出ていった
赤く腫れた頬をそのままに、翡翠は座ったままその場を動かなかった




