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「ちょっといいかしら?お話をしてもいい?」
雫も部屋にいたが、雫も部屋を出て母と2人っきりになる
葵が椅子から立ち上がると座るように促され
向かい合わせに座ることになる
「さっきは、ごめんね。うちの男達・・血の気が多くてびっくりしたわよね?」
いいえと首を振る葵
「ごめんなさい。私…」
「違うわ。私は貴方を責めに来た訳じゃない、話してみたかっただけなの」
「話しを…?」
「芙蓉は、一目惚れをした男の子を追い掛けてて、自ら城に乗り込んで、それっきり知らせの1つもくれないような娘なの。あなたは芙蓉にそっくり…そんな子がどんな人なのか気になってね」
「私は、頑固で思ったことを後先考えずに口にするので、さっきだって正直に言ったせいで、翡翠が…」
母はそっと葵の手に自分の手を重ねる
「あなたのお名前は?そんなに気にしないでいいのよ」
母としての優しい目で、優しく話す口調が葵の中の何かのスイッチを押したのか、葵の目から涙が流れる
「葵と言います。ごめんなさい。私が身代わりとなったせいで華原が…芙蓉姫だって」
「あなたのせいではないわ。そんなに気を負わないで・・・・
華原のために泣いてくれたのでしょう?ありがとう」
母は泣き出した葵を優しく包むように抱きしめて一緒に泣いていた
「一緒に来て欲しいところがあるの…」
葵の手を優しく取りながら母は立ち上がり部屋を出る
葵は手を引かれるまま母に黙ってついていった
連れて行かれた先は廊下と階段を繋ぐ大きなスペースとなっているところだった
「これは…」
葵は思わず声が漏れていた
壁に掛かっているのは笑顔で映る家族写真
両親、そして兄達に囲われるようにして
真ん中に座り、微笑みを浮かべているのは
芙蓉
長い髪をふわりとゆるく巻いて下ろし
茶色の大きな目
葵よりもやや若い姿ではあるが
自分でも見間違う程似ている
「私、娘が欲しくてね…3人目で蘭が生まれた時もちろん嬉しかったけど、また男の子ってがっかりしたの、女の子を産むまではって執念に近い想いで願掛けやらなにやらで…芙蓉が生まれてきてくれた嬉しさは今でも忘れられない」
なぜ芙蓉母は私をこの前に連れて来たのだろう
家族の絵を見ながら話す母の表情は葵には読み取れなかった
「こんなに似てるのよ?他人とは思えないわ。もちろんうちの男たちもそう思っていると思う
葵ちゃんはここでゆっくりとしてればいいわ
王の命令だからじゃない。私が貴方を預かりたいから預かるの。自分の家だと思って気を張らないで・・ね・・??大変な目にあったのでしょう?ここにいれば王都よりは安全なはずよ」
覚悟をして来たはずなのに
自分で芙蓉になると決めたのに
母として接してくれる優しさに甘えてしまいそうになる
翡翠も…
私に対しての優しさは…
芙蓉に似てるからなの?
芙蓉失踪の罪悪感を埋めようとしてるの?
私はこれから一体どうしたらいいのか
わからないよ…
母に手を引かれて用意してもらった部屋へと入る
母はゆっくりやすみなさいと部屋を出ていった




