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葵が目が醒めると
見たことない天井が見えた
光明に彫られた龍モチーフ?の造り
それは、木ではなく石っぽい
何これ…この凝った高そうな天井は
どこ??
そんなことを考えながら
起き上がろうとすると、人の気配が感じられた
「あっ、起きた!華原さまー!
姫が目を覚ましました!」
姫?誰のこと?
小さな女の子が人を呼びに行ったのだろう
ぱたぱたと部屋を出ていく音がする
誰だろう?
姫って誰??
「3日も眠り続けてたんですよ」
呼ばれて来たらしいその人物は
背の高い男の人で、年は私よりも上だろうか
黒の短髪に、通った鼻筋
薄い形のよい唇の整った知的な顔
それに、落ちついた雰囲気
そう、例えるなら執事とかしてそう
服が…デザイン変わってる
黒を主体とした
アジアン民族衣装に近い
しいて言うなら、アラビア風?
セパレートだが、上下そろっている
上着は丈が短めでズボンは幅が広く
サルエル型だ
それが、また似合っているのがすごい
さっきの小さな女の子も民族衣装っぽいことに気づいた
「あの〜ここはどこでしょう?
私の荷物は?車は?」
「ここは私の部屋です」
「はぁ…3日眠っていたって
どうして?あれ?あたしあの時どうしたんだっけ?
ドンと音がして光って…」
葵が思い出す最後の風景
「あれ?もしかして私死んだの?ここはあの世?
あの世ってアラビアン風だっけ?」
今の自分が置かれている現状が整理がつかない
思ったことを口にしていると
執事風な男が口を開く
「あなた…やはり、違うか…」
悲しそうに執事風男は、ため息まじりに小さくそんな言葉を呟いた
その後、葵が余計混乱することを言い出した
「あなたが何者でも構わない、我らの姫の代わりになって欲しい」
とても綺麗なお辞儀だった
それに思わず見とれてしまう
「はっ?えっ??」
「私の仕えている姫、芙蓉さまが
数日前から行方不明なのです。誘拐なども考えられますが、数日の間に要求はなく
手掛かりもまるで無い、姿だけか忽然と消えた為、我らが全力で探している中にあなたが
道に倒れているのを見つけ、保護をしました。
王にもまだ貴方の存在はバレてない
だから、しばしの間だけでも貴方に芙蓉姫の身代わりを頼みたい」
姫?王?
一体何の話をしているの??
「やっぱり私どうかしたんでしょうか?
あなたの言っていることがさっぱり理解できないんです
王とか姫とか、そんなファンタジーの話を真剣な顔でされても…」
「あなたが倒れてたのは
王都から離れた森へ入る獣道
貴方はどこ出身です?田舎でもこの国の王の存在は知っているでしょう?」
「出身は東北ですが、日本に王はいませんよね?」
「ニホン?トウホク?
あなたはこの国の人ではないのですか?」
男は眉間にシワを寄せる
「あなたが何者でも構わないと言いましたが…
しかし国が違うとなると色々と問題が」
「外国?なんで?車で事故にあって目が覚めたら外国ってありえないでしょ?ここはどこなの?」
「ここはローレインブルー王国です」
「え?ローレイン????」
地図には詳しくないけど
全く聞いたことない
というか、そんな国地球にあった?
事故にあって目が覚めたら
ファンタジー香る異世界でした!
とかありえなすぎる
え?流行りの異世界転生とか?????
葵は自分の手や足を確かめる
小さくなったり、見慣れない体ではないようだ
「あの、鏡なんてありますか?」
「鏡ですか?」
男は先ほどの小さな女の子に指示をだし
手鏡を持ってこさせた
葵はゆっくりと目を開いて
おそるおそる鏡に映る自分の姿を確認した
「わあ~!!ちょっと期待したのに自分の顔だ~」
異世界転生?
よくあるのは金髪美女だったとか
幼女になっていたとかだけど
鏡に映るのは、いつも見慣れている自分の顔でしかないことに
少し葵はがっかりとするのだった