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きみに想う ~王の妃~  作者: 間宮沙紀
魔力、そして始まり
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外は夜の暗さが増して

より漆黒のような色に淀んだ雲がある


お茶を飲むと

すっと胸が軽くなるような感覚に襲われた


「このお茶は、私の故郷の特別なお茶なんですよ」

「独特な香り、すっきりして美味しい」


雫はにこっと笑う


「精神を安定させるにはぴったりでしょ?」


確かに、さっきまで冷たかった手が徐々に温かさが戻ってきているような気がする


「このお茶は、私がはじめて戦闘に出たときに帰ってきて飲んだ特別なものなんです」

「戦闘?」

「私はタヤル族です。生まれてこの方、殺されるか殺すかの世界で生きてきましま

芙蓉さまの出身では見たことないでしょう?この赤い髪。

私のこの手は血で汚れてるんです…まるでこの髪のように」


綺麗な赤い髪のタヤル族


華原の教育の中であった

魔力の強い、古からの民族

確か、忌み嫌われ疎外されてたって


ふっと悲しそうな目をする雫


「戦闘から帰えり、おかしくなった私に出してくれたお茶がこれです。なんてことない方法で乾燥し加工したものですが、これには魔力が少々込められてます。その想い…帰ってくる場所がある、それは私の心の支えでした」


お茶を飲み干し

雫の話しを聞いたためか

葵の目からは静かに涙が溢れ落ちる


「わ、わたし…ひっ

芙蓉姫じゃないの…」


話したいのに

涙が溢れてきて上手く話せない


「私は違う世界からこの世界にきた時に

芙蓉姫に似てるって華原に拾われた…

私が、芙蓉姫じゃないって知っている華原が死んだら、どうすればいいの?

華原は…華原が死んだら私のせいだ。立場も何も分かってないで、ただ城で身代わりをして…それが理由で狙われたとしたら?

華原はこの世界での…私の家族よ!それを失ったら…怖い」


一気に話して

涙がとまらなくなり、声をあげて葵は泣いた

雫は何も言わずに優しく葵を抱きしめ

呪文を唱え

眠らせてベットに連れていった


話し声がする

いつの間にか眠っていたようで

うっすらと目を開けて声のほうを見ると

赤い髪のポニーテールの雫と

扉入ってすぐのところに立つ

引き締まった体に青の制服を着た黒髪の騎士の姿がある


「…ということだ。

俺も忙しくなる、実千花(ミチカ)は珠留さんが預かってくれるって」

「華原さんは?」

「あぁ、やっぱりダメだった…

検死も済んだから、部屋に移されてる」


「華原が死んだ…?」


薄着の裸足姿で青白い顔をして

話しを聞いていた葵


ばんっと突風のようなものが起きて

部屋の大きな窓に風がうちつける


雫は手をかざし呪文を唱えると

突風は収まるが、外の風は強く吹いている


「私を華原のとこへ連れて行って下さい」


雫の服をぎっと握りしめる葵に

雫と雫の夫である青の制服を聞いた海斗はうなづいた


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