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きみに想う ~王の妃~  作者: 間宮沙紀
寵姫として
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「何?なにか欲しいものあった?どれ?」


懐から財布を取り出す翡翠


「私、今お金持ってないの」

「いいよ。どれが欲しいの?」

「違う!買ってもらいたいんじゃない」


店の前でお金がないという不信な女と払おうとする男

店主には変なカップルに見えるだろう

はじめニコニコしていた店主も奥のほうに引っ込んでしまっている


「私、お金持ってないから。城に帰ったら仕事を紹介してほしいの

仕事で得た給金で必ず返すから、今借金をしてもいい?」


真剣な表情で翡翠を見ると

ぽかんとした顔を一瞬浮かべ


「その流れは、普通買ってくれっておねだりするところでしょ?

借金って・・城で働いて返すって・・」


翡翠は何故か笑いのツボに入った様子で笑い転げる勢いでいる

そんな変なことを言ったつもりのない葵は

真剣に物をみて、ひとつの黒いペンを手に取る


「これがいい」

「自分用?女性が持つには渋すぎない?」

「華原に渡そうと思って・・」

「華原に・・?」


なんか面白くないという顔をする翡翠

翡翠と一緒にいることで分かってきたことがある

普段、王として威厳を保っている顔は仕事用で

本来の彼はまだ年相応の少年でしかないこと


「今までの感謝の気持ちよ。私がここにいられるのは華原のおかげでもあるから」


翡翠にお金を借りて支払いを済ませる


「ありがとう。翡翠

これから紹介してもらう仕事がうまくいったら、その給金で翡翠にもお礼しなきゃだね」

「それは、楽しみだな」

「今日はありがとう、楽しかった」

「笑った顔初めてみた」

「そう?」

「デート大成功かな?」

「デートだったんだ」

「この次は華原じゃなくて俺の事もみてよ」

「そうだね・・」


葵と翡翠が打ち解けあい

楽しそうに歩いていると

城からの使者らしき人物が慌てて翡翠に話し掛ける


「すぐに戻ろう」


使者からの言葉に少年の顔はなく

王としての顔つきになる


「ごめん、芙蓉。すぐに城に戻る」


葵はうなづいて翡翠について行った



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