3-1
次の日からは、だんだんと体じゅうのいたみもおさまって、ふとんから動きだせるようにもなってきた。
「レイさん、どうもありがとうございました。めいわくをかけてごめんなさい」
「こまったときはおたがいさま、ですよ。私だって、人にはたくさんめいわくかけちゃうし。それはだれだって同じです」
「でも、わたし・・・ろくにおれいもできそうにないし・・・」
「ええっ、それはこまりましたね。おれいしてくれる気があるなら、たっぷりいただこうと思ってたのに」
「ええっ」
「冗談です」
目をまるくしたわたしを見て、レイさんはふふっと笑う。
「もう、いじわる・・・。本気でどきっとしちゃったじゃないですか」
ちょっとだけ、ほおがぷくっとなっちゃった。
「はは、ごめんなさい。サナさん、ここに来てからずっとなにか考えごとをしてる様子ですから。ちょっとした気晴らしになるかと思って。そうだ、せっかくだから、家を出て村を見てみますか?」
「え・・・人間の村を・・・」
「あなたのみかけなら、なんとかごまかせないこともないと思いますよ」
(人間の村を、見る・・・)
いつになく、心臓が静かにはげしくどきどきとしていた。