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従話 ポチの冒険(2)

 ご主人がこの世界に転生したお陰で、九死に一生を得た我輩は、何とか我が家 (生まれた部屋)に帰ってきた。


 一気にレベルが上がった影響か、体は軽いけど、とてもお腹が空いてるのだ。母上、早く食料を獲ってくるのだ!


 だけど、暫く待っても母親は帰って来ない。そう言えば、別の用事も済ませてくるとか言ってたのだ。うー、さっきのカマキリを食べておけば良かった。


 よし! とりあえずさっきのカマキリのところに戻るのだ。急いで戻りたい衝動に駆られるけど、さっきみたいに急に天井から敵が降って来たら大変なので、慎重に進むのだ。我輩は周りの気配に気を付けながら進んでいく。


《【気配察知】スキルを取得しました》


 すると、暫く進んだところで新しいスキルを覚えた。これはきっと、女神様に貰った【スキル早熟】のお陰なのだ。レベルが上がりやすくなるだけではなく、取得も早くなるとの事だったのだ。


 レベル1なので、探知できる範囲はそこまで広くないけど、この辺りは天井まで数mしかないし、道の幅も同じくらいなので、困らない。多少ある凹凸の影に魔物が隠れていないか、確認するには十分なのだ。


 程なくして、先程カマキリと戦闘をしたところに辿り着いた。そこで我輩は驚愕した。


 さっき倒したカマキリの死体がないのだ……。


 我が家 (生まれた部屋)に戻っている小一時間の間に、他の魔物に食べられてしまったようなのだ。カマキリの体液の跡しか残っていない。


 我輩はショボーンとしながら、更に先に進む。少し進んだら、T字路にぶち当たった。


 右を見ると緩やかに左に曲がりながら登って行く道。左を見ると緩やかに右に曲がりながら下って行く道なのだ。


 我輩は少し迷った後、左に進む事にした。何となく、野生の勘でこちらに食べ物がある気がするのだ。


 野生の勘は当たっていたようで、少し歩くとカーブの向こうに気配を感じた。【気配察知】は優秀なのだ。


 そこで我輩は一つ思い付いた事を実行してみる。【気配察知】で発見した気配に【鑑定】するのだ。


・基本情報

 種族:オオトカゲ

 ランク:D

 レベル:8


 ふふふ、上手くいったのだ。そして、さっきのカマキリに比べると雑魚なのだ。我輩の食料になってもらうのだ。


 我輩はカーブで死角になっている壁の影から飛び出すと、一気に爪で引き裂く。その一撃でトカゲは真っ二つなのだ。


《オオトカゲを倒して経験値を獲得しました。

 マスターのスキル効果により追加で経験値を獲得しました。

 従魔契約により、経験値の一部をマスターに譲渡しました。

 レベルが上がりました。

 レベルが11になりました》


 今回はさっくり倒せたのだ。でもレベルは1しか上がらなかった。残念なのだ。


 それでも、食料は手に入った。頂きますなのだ。うまうま。


 ☆


 ごちそうさまなのだ。このトカゲは思った以上に美味しかったのだ。食べている間に思いついたけど、いっぱい狩って【収納】スキルで保管しておけば、お腹空いた時にいつでも食べられるのだ! もう少し進んで、トカゲを乱獲なのだ!


 トカゲー! トカゲー! 出ておいでーなのだ。


《【気配察知】のスキルレベルが2に上がりました》


 気配を探りまくってたら【気配察知】のレベルが上がったのだ。ステキなのだ。むむっ、壁の向こうにトカゲの群れを発見! 少しあちらが低くなっているようだけど、どこから入れるのだ!?


 うーん。壁に沿って歩いたけど、入口が見つからないのだ……。壁の向こうに御馳走がある事が分かってるのに、手が出せない何て拷問なのだ。そう思いながら壁をペタペタ触る。


 ガコン!


 あ、我輩何かのスイッチを押してしまったのだ。


 ……? 数秒経ったけど、何も起きないのだ?


 ゴゴゴ……


 と思ったら、どこからか重低音が聞こえてくるのだ。


 ゴゴゴゴゴ!


 音が大きくなって来たのだ!


 ガシャン!


 あ、地面が無くなったのだ……。急に地面に穴が空き、我輩は転がり落ちる。幸いにも、垂直落下ではなく、傾斜が付いてるみたいなのだ。


 隣の部屋の方向に転がって……


 トカゲの群れにダイブした。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 



 トカゲの群れにダイブしてから、3日経った。因みにトカゲは問題なく全て倒したのだ。倒して【収納】にしまってある。


 問題は、この部屋に出口がない事なのだ。幸いにも、食べ物はふんだんにあるので飢える事はないのだ。しかもどんな仕掛けなのか、不定期で我輩が落ちた穴が開き、オオトカゲが落ちてくる。供給過多なのだ。


 でもお陰で、我輩のレベルは28まで上がった。後は何とかしてここを抜け出したら、解決なのだ。母上も心配してると思うのだ。


 さっき部屋に出口が無いと言ったが、本当は無いわけでは無い。部屋の反対側は何も無い(・・・・)のだ。


 穴がポッカリ空いていて、上も下も前も、どこまでも深淵が広がっている。ここは崖のど真ん中にくり抜かれた部屋、そんな感じなのだ。


 部屋の大きさは10m四方くらいで、そこそこ大きいけど、三方は壁で一方が深淵になっていて、抜け出せないのだ。トカゲが落ちてくる穴も調べたが、途中で行き止まりになっている。八方塞がりなのだ。一方は空いてるけど。


 そんな感じで困りつつ、かれこれ3日。深淵にダイブしたら流石にまずいかな?


 ゴゴゴゴゴ……


 そんな事を考えていたら、急に地面が揺れ始めたのだ! 地震なのだ! 逃げるのだ! 逃げ道なかったのだ……。


 我輩がアワアワしていると、暫く揺れた後に足元の地面が盛り上がり始めた。【気配探知】がビンビンに反応しているのだ。我輩はとっさに飛び退く。


 バコッ!


 そんな音を立てて、地面が割れて2mくらいの茶色い塊が飛び出して来た。すかさず【鑑定】なのだ!


・基本情報

 種族:リトルアースドラゴン

 ランク:B

 レベル:32


 ……ツッコミ所満載なのが出てきたのだ。ドラゴン! ランクB! レベル高っ!


 我輩は直ぐに臨戦態勢をとる。少し待つとドラゴンも立ち上がった。


「腹が減ったでござる……」


 その一言と共に、へたり込んでしまった。またツッコミ所満載なのだ……。喋った! ござる!?  何なのだ? ござるってなんなのだ!?


 そのまま少し経ったが、ドラゴンが動く気配はないのだ。喋るという事は、意志の疎通ができそうだし、こちらから急に攻撃するのもどうかと思うのだ。


「な、何か食べるものを……」


 また喋ったのだ。どうやら食べ物が欲しいらしいので、大量に【収納】に入っているトカゲを出してみるのだ。ん? ドラゴンにトカゲってありなのだ? とりあえずトカゲを1匹出してみる。


「う、うまいでござる!」


 我輩のそんな心配を他所に、ドラゴンは物凄い勢いでトカゲを食べているのだ。ドラゴン≠トカゲなのだ。


「お、おかわりは頂けるでござろうか?」


 体が大きいだけの事はあり、おかわりの要求がきたのだ。結局、更におかわりして合計5匹ほど食べ切ったところで、やっと満足してくれたみたいなのだ。


「助かったでござる。拙者、土に潜ったものの、洞窟内に出られなくなりかれこれ3日程、土中を彷徨っていたでござる。貴殿は命の恩人でござる」


 ここに辿り着いたという事は、我輩がいなくても少ししたらトカゲが降ってきて飢えを凌げたかも知らないが、空腹で動けなかったみたいなので倒せない可能性もあったのだ。そう言う意味では我輩、命の恩人かも知れないのだ。


 これが、将来に渡り我輩を支え、共にご主人に仕える事になるアースドラゴンのアドランとの出会いであったのだ。


 追伸、この後アドランに壁を掘って貰い、サクッとこの部屋を脱出したのを追記しておくのだ。

次話より1日1回更新の予定です。稀に2回になるかも知れません。

また、アルファポリス様にて先行中です。(投稿時点で約120話)

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