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第2話 4人目の異邦人

「まさか、こんなに近くに居たなんてね。

 全く気付かなかったよ」


 そう言えば、初めてジョージに会った時は基本情報を【鑑定】した時にスキルを使った事に気付かれて、詳細を確認しなかったからな。


 あの場でスキルまで【鑑定】していたらもっと早く分かってたのかも。


「そうだろ? 俺も出来るだけバレないように振る舞ってたからな。

 それで、そう返してきたって事はお仲間なんだろ? コードネームは何だ?」


「ううん、残念だけど僕はコードネームを持ってないよ。前世の記憶はあるけどね。

 君たち7人とは別口かな。だけど、お仲間さんなら心当たりはあるよ」


 そう言いつつ、ジョージの顔を見ると、俺の顔をみて頷き、


「ああ、知ってる。リーナ王女だろ?」


 会心のドヤ顔で言い放った。


「あ、うん。なんだ知ってたんだね」


「ふふ、初歩的な事だよ。ワトソン君」


 ドヤ顔を出来るだけスルーで流したのに、更にドヤ顔で某名探偵の台詞を口にするジョージ。


「いや、ワトソン君は君の方でしょ! と言うか、それ言いたかっただけだよね?」


「そうそう。折角ワトソン家に生まれたのにこのネタを分かる人が居なくてね。いつか言いたかったんだ。

 ちなみに、なぜ気付いたのかって、お前と仲良くしてるのもそうだし、生徒会で催すイベントが前世で見たことあるようなヤツなんだよ。

 秋にやった文化祭とか、こっちの世界にはなかったし」


 あ、そうなんだ? 普通に楽しんだんだけど、今まではなかったのか。


「なるほどね。全く気にしてなかったよ」


 リーナさんの事だから、狙って前世のイベントを取り入れたのかもね。俺と同じで、異邦人を釣るために。一言相談してくれたら良いのに。


「ところでワトソン君はいつ記憶を取り戻したのかな?」


「そのワトソンネタはもう良いよ。

 俺は2年くらい前かな? ダンジョンでパワーレベリングしてる時にちょっと死にそうになってね。気付いたら真っ黒な空間に居て……」


「そこで自称神様に会った……と」


 途中から言葉を引き継ぐ。


「まあ、そう言う事だ。

 って言うか、胡散臭い感じだったけど、なるほど自称神様か。中々良いネーミングだな!

 それで、そう言うリョーマどうなんだ?」


「うん。僕の場合は最初から前世の記憶があるんだよ。

 交通事故で死んで、気付いたら白い空間に居たんだ。そこで女神様に出会った」


「ええ? 女神様って神殿で祀られてる?」


「ああ、えっと僕が出会ったのは神殿に祀られている運命の女神様じゃなくて、転生の女神様なんだ。

 まあ女神様同士、知り合いではあるっぽいけどね。

 ちなみに、僕の本当の名前はリューマなんだけど、運命の (女神様の)悪戯でリョーマになったんだ」


 そう言って女神様が【神託】を使って名前を伝えてくれたのはいいけど、運命の女神様が故意に間違えて伝えて事を話したら、ジョージは腹を抱えて笑い転げた。ヒドイ!


「はぁっ、笑った笑った。笑い死ぬところだったぜ。

 運命の女神様も中々やるな!」


「中々やるな! じゃないよ。お陰で僕は転生の女神様に土下座で謝られて、なだめるのが大変だったんだから」


「女神様に土下座されるとか、また数奇な運命を辿ってるんだな……。

 でもまあ、とにかくその女神様に色々とスキルをもらったんだろ? お菓子を作るスキルもそうなのか?」


「いや、お菓子を作ってるスキルは女神様に貰った訳じゃ無く、従魔の【スキル共有】の効果だよ。

 【万物創造】って言うレジェンドスキルで製作系スキルが全て使えるみたいな?」


 折角の機会なので、その他もこの世界に転生した理由や女神様に貰ったスキルは【テイマー】で従魔が沢山いる事などを説明した。ジョージなら話しても大丈夫だろう。


「何て言うか……チートだなおい! 完全に主人公補正入ってるだろ。何だよ従魔300体って! 従魔の王……、従魔王か!?

 ああそうか、実力テストの時に急にレベルが上がったのは従魔からの経験値だったんだな。謎が1つ解けたぞ」


 従魔王、また新しいな。リーナさんに聞かれたらまた喜んでしまうから秘密にしておこう。


「でも愛犬を追ってこの世界に転生か……。何か凄いな。

 俺はペットを飼ってなかったからよく分からないけど、俺に力になれることがあったら言ってくれよ」


 普段はおちゃらけキャラなのに、たまにこんな風に真面目にされるとギャップに萌え……たりはしないけど、素直に嬉しいな。


「しかしリョーマは戦闘スキルも色々持っていて羨ましい限りだ。俺なんて貰ったスキルは戦闘スキルゼロなんだぜ!」


「そうだ、ジョージはどんなレジェンドスキルを手に入れたの? 戦闘スキルじゃなくてもレジェンドスキルなんだからそれなりでしょ?」


「そうだな……俺が手に入れたレジェンドスキルは【最善選択】って言うんだ。

 読んで字の如く、最善を選択する事ができるスキルだ」


 最善を選択って何だろう? いや、何となくは分かるんだけど……。


「どんなスキルなのか謎って顔だな? まあ、簡単に言えば重要な選択が必要な場面でどちらを選べばより良い結果になるのか教えてくれる。そんなスキルだな」


 なるほど、つまりテストで不正し放題ってことだ!


「お前が何を考えているか分かるぞ? 俺も最初同じことを考えたからな。

 残念ながら、テストでは使えなかった。重要な選択の時にしか発動しないんだ。使い勝手が悪いだろ?」


 確かに、ちょっと使い勝手は悪いかもしれないけど、何でもかんでも選択の度にスキルが発動してたらそれはそれでやっかいだしね。


「でも重要な選択を間違える事はないって事なら凄いじゃないか」


「そうだな。はっきり言って、商人として成功する為にはこれ以上無いほど素晴らしいと思うよ。

 ぶっちゃけ、学園初日でお前に会えたのもこのスキルのお陰だしな。なぜかお前に話しかける以外の選択肢がなかったんだ。今思えば、これ以上無いほど最高の選択肢だったと思う。お前と出会えて良かったよ」


「あ、ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」


 何かそう面と向かって言われると照れるな……。よし、話題を変えよう。


「そうそう、自称神様が集める7人なんだけど、ジョージ。君で4人目なんだよ」


「え? リーナ王女だけじゃないのか!?」


「そうなんだ。あと2人居る。新学期王都に戻ったら紹介させてもらうよ。

 それと、いつも7人の内の1人とか言ってて大変だったから、呼び名も付けたんだ。

 仲間内では異邦人(ストレンジャー)って呼ぶことにしてる」


異邦人(ストレンジャー)か。カッコいいな!」


───コンコン。


 そこまで話したところで、部屋をノックする音が聞こえた。あ、ちなみに部屋の外には声が漏れないように防音の魔法は使ってたからご心配なく。

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