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第22話 女神再び

「まわりくどい事をして呼び出したりして、本当にすみません。

 私達女神から、地上に直接の関与は出来ませんので、幸運の女神の【神託】を利用させて頂きました」


 久々に見た女神様は、相変わらず形容もできないほどの美人で、髪の色もコロコロと変わっている。ホント不思議な感じだ。


「お久しぶりです女神様。転生の時に頂いたスキルの数々、本当に感謝しています。ありがとうございました」


「いえ、お役に立てたのなら幸いです。さすがに【従魔超強化】はやり過ぎたみたいで、あとで他の女神達に怒られましたけどね。てへっ」


 女神様のテヘペロ破壊力半端ない!


「そうですね。まだ5歳ですが、ぶっちぎりで人類最強な気がします……。それより、そろそろ起きて頂けませんか?」


 そう、女神様はずっと土下座の体制のままだ。


「ダメダメ、ダメです! 名前を違えるなんて、そんな簡単に許される事ではないと思っています。

 いえ、私は正しく伝えたはずなのに、運命の女神が【神託】の時に誤った、と言うかほぼ故意に間違えたらしく……。

 これが本当の運命の悪戯ってやつですね、とか言われた時は、さすがに殺意を覚えましたよ」


 運命のと言うか、運命の女神の悪戯(物理)ですね……。


「それより、本当に頭を上げて下さい。この名前も気に入ってますし、恨んでなんかいませんよ」


「そ、そうですか? そう言ってもらえると救われます」


 そう言いながら、女神様はやっと顔を上げてくれた。いや、女神様なんだから、救われると言うか、救う方では!?

 もしかしてそれを言うためだけに呼んだ、何て事はさすがにないよね? ……ないよね?


「ええ、さすがに謝るために来て頂くなんて、おこがましい事はできません。

 今回はどうしても、お伝えしておかないといけない事が有りましたので、ここまでご足労頂きました。

 貴方の転生した国は運命の女神を祀った神殿しかないので、ここに招待するには、私を祀っていた遺跡まで来て頂く必要がありました。本当にお手数をお掛けして、申し訳ありません。

 幸運の女神には、貴方の名前の件で貸しがありますから、この【神託】を出す事は2つ返事で受けてくれましたよ」


 ああ、あの遺跡は転生の女神様を祀った神殿の遺跡だったのか……。何気に謎に満ちていた遺跡の秘密が1つ明らかになるとか、歴史的発見じゃないだろうか?


「そうですね。その事実を公表するかどうかは、リョーマさんにお任せします。あ、リョーマさんとお呼びしてもよろしいでしょうか?」


「はい、寧ろその方が違和感がなくて助かります」


「すみません。ありがとうございます。

 では、改めてリョーマさん。早速ですが、貴方にお越し頂いた理由ですが……」


 何だろう? 思い当たるの事は特にないけど……。


「まず1つが、ポチさんに関する事です」


 えっ! ポチ!? もしかしてポチの居場所を教えて貰える?


「あ、えっと、期待させてしまって申し訳ありません。どちらかと言えば、逆です……」


「逆?」


「はい、貴方がこの世界に転生してから、私もポチさんを探して来ました。

 しかし、5年間経った今も見つかっていません」


 え? 女神様が探して発見出来ないなんてあるんだろうか? 俺なんて生まれたその日に発見されて【神託】までされてるのに。


「そうなんです。普通に考えるとあり得ない事です。

 そして、ここからは禁則事項を含むので、説明が曖昧になってしまうのですが、見つからないからこそ、消去法で居場所はほぼ分かっています。実際に確認は出来ないため、確定ではありませんが……」


「どこなんですか!?」


「禁則事項で正確な場所をお伝えできないのが、心苦しいのですが、ポチさんが居るのはダンジョンだと思われます。それも、封印された古代ダンジョンです」


 古代ダンジョン? そう言えば、この世界にはダンジョンもあるのか、その辺りは調べてなかったな。どんな仕様のダンジョンなのか、帰ったらまたギルドで調べないとな。


「私達女神の力が及ばない場所というのは、この世界に何ヶ所かあるのですが、その最たる場所が封印の中なのです。

 私達の力は及ばないのですが、魂の次元では繋がりが保てているらしく、従魔契約が有効だったのは不幸中の幸いでした。

 何が封印されているのか、何故封印されているのか、誰が封印したのか、何処に封印されているのかは、大変申し訳ありませんが、私の口からお伝えする事ができません……」


 そう言いながら、女神様は深々と頭を下げる。女神様なのに腰が低過ぎでしょう!


「私からこの世界への転生を勧めておいて、こんな事になり申し訳ないです。

 貴方が旅に出て、普通に世界中を探すだけでは絶対に見つからないので、少なくともこの事実だけは伝えさせて頂きたかったのです」


「なるほど……、状況は何となくですが理解出来ました。だけど、ポチと再会する為には一体どうしたらいいのでしょうか?」


「はい。そこからが2つ目にお伝えしたかった事になります。

 実はリョーマさんがこの世界に転生した後、何人かの転生や転移が確認されています。転生は正確には前世の記憶を取り戻した、と言った方が正解ですかね?」


 あー、それ何か1人心当たりがあるような……。


「過去から考えても、類を見ない勢いで増えていますので、私たちはその謎について調査をしていました。

 そして、その件に封印されたダンジョンが関与している事まで突き止めました。

 今までは封印の中からこちら側に干渉することは出来なかったのですが、貴方とポチさんの関係に気付き、その応用でダンジョン側から何らかの干渉が行われているのではないかと思われます」


 なるほど、話の情報量が多いので整理が大変だけど、何となくは理解できる。でも、それとポチに会うのと何か関係があるんだろうか?


「はい、ダンジョンからの干渉で転生者・転移者が増えているという事は、ダンジョン側に何らかの思惑があるからだと私たちは考えています」


「うーん。と言う事は、転生者や転移者を探し出して調べる事によって、何かが分かってくるのではないか、という事ですか?」


「ええ、その通りです。本当に貴方は理解が早くて助かります。

 封印されたダンジョンについてお話する事は出来ませんが、転生者・転移者についてはある程度お話できますので」


 多分、師匠は転生者で確定として、他の人たちはどこに行けば会えるのか、そこが問題かな。


「それにつきましては、もう少し情報があります。

 実はデグモ国の王都、つまり貴方の住んでいる国の王都に転生者・転移者が集まりつつあるのです。

 今後も増える事が予想されます。理由は分かりませんが、何らかの動きがあるのは間違いないと考えています」


 また突拍子もない話だな……。もしかして師匠も何か知ってるのかな?


 でも、王都か……。いつか行きたいとは思っていたけど、転生者や転移者を調べようと思ったら、長期滞在する必要があるし。どうしたもんかな。


「それと、もう1つだけ」


「何でしょう?」


「今回の件には、悪魔と呼ばれる魔物が絡んでいます。詳しい説明は出来ませんが、悪魔には注意して下さい」


 あー、それも何か1人? 1匹? 心当たりがあるような……。ポチはどうやって配下にしたんだろう? その辺りにもヒントがあるんだろうか?


《従魔アクモンを通じて、種族アークデーモンが従魔契約を申込みました。

 承認しますか?》


 あー、心当たりが増えました。


《従魔アクモンを通じて、種族アークデーモンが従魔契約を申込みました。

 承認しますか?》


《従魔アクモンを通じて、種族アークデーモンが従魔契約を申込みました。

 承認しますか?》


《従魔アクモンを通じて、種族アークデーモンが従魔契約を申込みました。

 承認しますか?》


 しかも、4匹……。

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