表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/149

第11話 5匹目

本日は前に2話投稿しています。ご注意下さい。

 ギルドカードが完成したところで、タイミングを見計ったかのようにシーラ様と両親、それに支部長のアルフさんが応接室にやってきた。


「どうやら、無事に登録できたようですね。どれどれ、カードを見せてもらえますか?

 ……レベル22? ステータスが相当高そうな感じでしたので、もう少しレベルも高いかと思っていましたが、ステータスが高いのは、何かしら特殊なスキルですかね?

 まあ、神託でも女神様から詮索はするなと言われていますので、深くは聞きません。冒険者はレベル以外は親しい仲間達以外には能力を隠すものです」


 なるほど、シーラ様から冒険者の心得を聞くとは思わなかったけど、そう言うものなのか。


「ふふっ、私こう見えても若い頃に冒険者もやっていたんですよ? 巫女になったのは100歳を超えてからです」


 俺のギルドカードを見ながら、そんな話をしていたら【アナウンス】が頭の中に響いてきた。


《従魔ポチが取得した経験値の一部を獲得しました。

 レベルが上がりました。

 レベルが上がりました。

 レベルが124になりました。

 【ポーカーフェイス】のレベルが6に上がりました》


 それと同時に、ギルドカードの数字が24になる。あ、急にレベルが上がってシーンとしてしまった。


 昨日、一気に2レベル上がってから【アナウンス】が大人しいと思っていたら、これまた一気に来たな……。


《従魔ポチが取得した経験値の一部を獲得しました。

 レベルが上がりました。

 レベルが125になりました。

 【ポーカーフェイス】のレベルが7に上がりました》


 更に追い討ちがきた。ギルドカードの数字が25になった。静まりかえる室内。俺はレベルが上がった【ポーカーフェイス】を常時発動中だ。


「「「「…………」」」」


 沈黙が痛いよ。


「リョーマ君。レベルアップおめでとうございます?」


 シーラ様に祝福を頂く。


「あ、ありがとうございます?」


 もう、お互い疑問形である。


《従魔ポチが取得した経験値の一部を獲得しました。

 レベルが上がりました。

 レベルが126になりました》


 そしてギルドカードは26となる。また沈黙が部屋を支配する。


「えっと……、ギルドカードのレベルって自動更新なんですね?」


「あ、ああ、カードの登録者が持つと自動的に最新情報に更新される仕組みだ。凄いだろう?」


 沈黙に耐えきれず、苦し紛れに俺が発言すると、支部長が答えてくれた。


「凄いですね。どんなテクノロジーが使われているんですかね?」


「何でも大昔の賢者が開発したって話だが、仕組みはブラックボックスだ。ギルドカードを作る事ができる魔道具だけ大量に遺されている」


 どこの世界、どこの時代にも、天才っているんだなぁ。今回は裏目に出てるけど。


 自分で魔物を狩らなくてもレベルが上がるのが見られてしまった。


「確かリョーマ君は生まれながら【テイマー】スキルを授かったのですよね?

 【テイマー】スキルで従魔になった魔物からは経験値を取得できますが、微々たるもののはずです。レベル22が少しの間に26になるほどの経験値となると、従魔は一体何を倒したのでしょうか……? いえ、そもそも従魔契約なんていつの間に?」


 正確にはレベル122が126なんだけど。後、【テイマー】スキルは従魔から1%×スキルレベルの経験値が譲渡される。レベルが低いと微々たる量なのだ。


 さて、どこまで話したらいいかな。全部話すと大事(おおごと)になりそうなんだよね。今更な気もしなくもないけど。


 そもそも支部長もいるこの場で話しても、大丈夫なんだろうか?


 俺がシーラ様を見ると、無言で頷かれた。このまま話せって事かな?


「えっと……、まずお察しの通り、先程のレベルアップは従魔からの経験値譲渡によるものです。生まれながらにして、僕は1匹の従魔と契約した状態でした」


 よし、ここまでは嘘は吐いていない。良くファンタジー物の小説とかでは、嘘発見の魔道具みたいな物が出てくるから、出来るだけ嘘は吐かないようにしておきたい。


「成る程、それでリョーマは今まで魔物を倒したりした事ないのに、レベルが22もあったのね?」


「いやいや、それでもこの短時間でレベルが4も上がる何てありえないだろ? 従魔はどんな化け物と戦ってるんだって話だ」


 ええ、アルフさん。ごもっともです。寧ろ、俺の方がポチは何と戦ってたのか知りたいです。たった数分でレベル122から126、昨日から言えば120から126か……、そんなに経験値が貰える敵って何なんだ!?


「それは僕にも分からないんです。生まれてから従魔に会った事は無いですし、どこに居るのかも分かりません。

 ただ一つ言えるのは、僕が冒険者になりたいと言っていたのは、この従魔を探しに行きたいからです」


 このくらいまでなら、話しておけば、逆に旅に出やすくなるかな?


「お前が物心ついた時から、冒険者になりたいと言っていた理由がそれか。それで納得がいったぞ。

 女神様からスキルだけでなく、従魔も授かって生まれてきた訳か。素晴らしい!

 そう言う事なら、この父は応援しよう。まだ見ぬ恋人に会いに行くようなものだよな? 男のロマンだ」


 うん、恋人かどうかは分からないけど、会いたいし、止められても会いに行くつもりだ。

 でも、パパン肯定的で良かったよ。


「但し、さすがに今すぐとはいかないぞ? 最低でも12歳。学校を卒業してからだ」


 まあ、そうですよね。5歳が一人旅とか、いくら異世界でもあり得ないか。


 学校の話は、母にも聞いた事があるけど、このまま話を逸らしてしまおう! 俺の秘密は出来るだけスルー大作戦。


「学校……ですか?」


「ああ、来年からお前も学校に通う年だろう? この街の学校は6歳から12歳までで、一般常識や最低限の知識、それに最低限の戦い方を教えてくれる。

 その先、才能と金のあるものは王都の専門的な学校に進んでいくが、お前はそのまま冒険者になるといい」


 来年って、今日は正月だから丁度一年後か。この国の学校は1月始まりなんだよね。


「そうね、学校で最低限の知識を身につけ、その間にここを拠点に冒険者としての知識も身に付ける。そこまでしたら、母さんも少し安心だわ」


 母からもこう言われると、もう12歳までの学生ルートは確定かな? 最低あと7年はポチを探しに行けないのか……。まあ、その間は冒険者をしながら近場を探せばいいか。


「さて、リョーマ君。それで、何故あんなに短時間でレベルが上がったのか、ですが……」


 あ、華麗にスルー大作戦失敗!?


「深くは追求するなと女神様からの神託にもありますので、これ以上は聞きません。リョーマ君が話したいと思った時に、話せる範囲で教えて下さい」


 シーラ様良い人だ! まあ、女神の巫女様が神託に逆らうわけにもいかないか。その言葉で他の3人も納得してくれたみたいだ。


「さて、かなり横道に逸れた訳だが、本題にもどそう。依頼についてだ」


 支部長がそう言った時だった。


《従魔ポチを通じて、種族アークデーモンが従魔契約を申込みました。

 承認しますか?》


 ……。


 ポチは悪魔と戦ってた事が判明した。


「ん? どうした? 顔色が悪いが大丈夫か?」


 【ポーカーフェイス】さん出番です。


「あ、大丈夫です。話を続けて下さい」


 支部長に先を促し、その間に従魔契約を承認する。


《アークデーモンを従魔ポチを通じて、従魔にしました。

 名前を付けて下さい。

 尚、現時点の名前はパープルです》


 えっ!? 元々名前の付いている魔物は初めてだ。さすが悪魔って事なんだろうか?


 同じ名前ってのも芸がないから、何か考えないとな。


 ……よし!


《アークデーモンを従魔ポチを通じて、アクモンと命名しました。

 これにより、従魔アクモンは従魔ポチの配下となり、取得した経験値の一部が従魔ポチにも譲渡されます》


 悪魔のアクとデーモンのモンを取った完璧な名前だ! アークとも掛かっている。きっと満足してくれているだろう。アクモンゲットだぜ!


 久々にポチ直轄の配下ができたな。これでポチの直轄は5匹か。帰ったらメモっておかないと。従魔が増えて、名前を付けるのも、覚えるのも大変だ。


「おい、リョーマ、聞いてるか?」


 あ、すみません。聞いていませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ