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第24話 悪魔の王

 早朝にジョージの父親に起こされた俺たち。とりあえず話を聞くと、魔物の大群が街に向かっているとの事だった。この街には現在Bランク以下の冒険者しか居ないとの事で、現状、この街で1番ランクの高い俺に街を守って欲しいらしい。


 まあ、大群とはいっても確認されているのは100匹くらいと言う事なので、俺たちなら何とかなるだろう。とりあえずその話を聞いた後、冒険者の服装に着替えて準備する。


 全部が変異した魔物だったとしたら、この街に居ると言うBランク以下の冒険者では太刀打ちできないだろう。変異した最低ランクの魔物が相手でもBランク冒険者でほぼ互角と言ったところだ。それ以外の冒険者だと死者が続出すると思われる。とりあえず急いで冒険者ギルドに行って話を聞こう。


「俺は冒険者ギルドに向かう。ジョージはどうする?」


「お、俺も行くぞ! 今の俺なら少しは役に立てるはずだ。

 冒険者じゃないけど、いいかな?」


「分かった。そこは俺のパートナーとか言って付いてきたら大丈夫。これでもSランク冒険者だからね。

 ギルド長と同等の権限があるんだ」


 そう、先日急いでSランクになった理由の1つだ。こんな時に大きな権限を行使できる。


 そうと決まれば、急いで冒険者ギルドに……あれ? 何か忘れてるような?


「ちょっと! 私を置いて行かないでよね! 話は聞こえてたわ。一緒に行くわよ」


 あ、リーナさんを忘れていた。ちゃっかりこちらの会話を聞いて、準備していたようだ。


「も、もちろん今から呼びに行くところでしたよ。準備ができているなら話は早いです。冒険者ギルドに向かいましょう。僕はその前にひとっ飛び街の外を見てきます。2人は先に向かっていて下さい。

 何かあれば【念話】して下さいね」


 忘れてたなんて言えないよ。


「分かったわ。敵の強さと規模を確認するのね。私はジョージ君を連れて先に冒険者ギルドに行ってるわ」


 よし、上手くごまかせた! とりあえず魔物の群れを確認に行こうか。と思っていたら【サポーター】さんのメッセージが頭に響く。


《従魔ポチを通じて、種族デーモンキングが従魔契約を申込みました。

 承認しますか?》


 ……え? 今、このタイミングで? デーモンキング? 悪魔の王? デーモン閣下……は違うか。


 これまた、ポチは何と戦ってるんだ……。とりあえず承認するしかないよね。


「ん? リョーマどうしたの?」


「あ、いえ、ちょっと……」


「歯切れが悪いわね。何か問題が発生したの?」


 問題と言えば問題だけど、従魔が増えるのは日常と言えば日常だ。


「ちょっと従魔が増えただけなので、ご心配なく」


「あら、そうなのね。ポチも頑張ってるのね。

 それで、今回の従魔はどんな魔物なの?」


「デーモンキングです」


「「えっ、何!?」」


 リーナさんだけじゃなく、ジョージにも聞き返された。そうだよね。そうなるよね。


「デーモンキングです」


「……それってグレーターデーモンが進化すると言う、悪魔の王じゃないの? まさかあのダンジョンの奥にそんなのが眠ってたの? 悪魔の王。ある意味、魔王ね。リョーマのライバルかしら?」


 いやいや、俺は魔王になるつもりはないからね。まあ、既に魔物の王っぽい感じではあるけど自称するつもりはありません。


 あっと、ポチを待たせるのも何だから、とりあえず承認しよう。


《デーモンキングを従魔ポチを通じて、従魔にしました。

 名前を付けて下さい。尚、現在の名前はグリモールです》


 グリモールか。カッコいいからそのままでいいや。


《デーモンキングを従魔ポチを通じて、グリモールと命名しました。

 これにより、従魔グリモールは従魔ポチの配下となり、取得した経験値の一部が従魔ポチにも譲渡されます》


 ポチの直属7人目、7匹目? かな。悪魔の王なら6番が良かったのかも知れないけど、逆に7で縁起のいい数字になってしまった。まあ、そこは仕方ないか。


「無事に従魔になりました。デーモンキングのグリモールです」


「グリモール……。どこかで見た名前ね。どこだったかしら……」


 どうやら、リーナさんはグリモールを知ってるみたいだ。


「あっ! 王城に保管されていた建国以前の古文書で1度見たんだわ。建国以前の資料ってほとんど残ってないけど、たまたま残っていた古文書の1つね。

 その文献では、なんでも千年以上前に世界を破滅に導いた悪魔の中の悪魔、その名前が悪魔王グリモールとなっていたわ。

 過ぎた事で女神様の怒りに触れ、封印されたと記されていたけど、その悪魔と同一人物なのかしら……。封印されたのが王都のダンジョンだったのね。

 そういう意味では自称神様が言った、あのダンジョンに魔王が封印されているってのも、あながちウソではなかったのね」


 予想以上に大物でした。伝説の悪魔王か……。逆に言えば、そんなのを配下にしてしまうポチって一体……。


「そこはいつか本人に聞いてみるしかないわね。

 とりあえず、気を取り直して、今は目の前の問題を解決しましょう!」


 あっと、そうだった。封印されたダンジョンの中の事をここで考えていても、何もできないし何も分からないからね。まず迫ってくる魔物の大群を何とかしないと。


 そして、今度こそ俺は偵察に飛び立つのだった。

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