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「さすがですわ。……おかげで決心出来ました。風見楓李、微力ではございますが……私を探偵部に入部させていただけませんか?」
ため息を落としている華澄とは対照的に、にこにこと微笑んでいた楓李さんがそう切り出す。
……え、入部? 勧誘しておいて言うのもなんだけど、本気なのか……?
隣に座っている彼女の方を恐る恐る覗き見る。目が合ってしまった……楓李さんはどこか楽しそうにも見えた。
「……いけ好かない女だが、貴様のか……知識はきっと必要になるだろうな」
「今金って言おうとしたぞ」
“挑戦代だ”などと言いながら、さりげなく華澄が会計伝票を楓李さんに差し出している。
慌てることもなくそれを受け取ってしまうと、楓李さんは二つ返事で了承してしまったのだった。
「と、いうことで真琴君、君はもう帰っていいぞ。君の仕事は終わった」
「扱い! あ、いや、おう……そう、そうだな?」
お茶を飲み干すと、華澄はさっさと席を立って行ってしまう。……個人的には、こういうお店はゆっくりと内装とか、見たいんだけど……そうはいっていられない。
戸惑いながらも華澄の後を追いかけていった真琴に続き、楓李さんも席を立つ。
「あ……ふ、じゃなくて風見さん」
……最後に、どうしても確かめないといけない事が残っていた。先ほどと違い、今度は思ったよりも声が出たらしい。振り向いた楓李さんの顔は少し驚いている様子だった。
「……本当に、僕たちを試した、だけ? ……本当は、何か悩み事とか、隠して、ない……?」
――警察を名乗る若い男の事もそう。だけど、あえて人の目につきやすい、流行ったお店の店内で僕たちを待っていた事に意味がある気がした。本当は何かから逃げて、身を守ろうとしているのではないか、と。
「司君、ありがとう」
だけど、そう微笑んだだけでそれ以上の言葉は返ってこなかった。




