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しんどい興信所の超常探偵  作者: 赤羽道夫
ネトゲの旅人
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ラッキーアイテム

 三条はリーダーの指示のとおり、ガイコツの左側に回り込んだ。剣士二人が左右から攻撃をかけ、モンスターの対応に隙ができるのを狙って魔法使いが離れたところから攻撃魔法を唱えるのだ。

 一撃では倒せないが、小さな打撃を間断なく与え続けてヒットポイントを稼ぐ闘い方だ。

 画面上部に表示されているモンスターのライフゲージが徐々に減っていく。

(この調子なら倒せそう──)

 たとえ戦闘中にガイコツからダメージをもらっても、すかさず後方に退いてヒーラーに治療してもらう。ダメージが浅いと回復も早い。すぐに戦闘に復帰できる。

 攻撃を受けるばかりのガイコツが、突如反撃を開始した。

 火炎放射器のように、口から炎がまっすぐに放たれ、安全な距離をとっていたはずのヒーラーと魔法使いを直撃した。その一撃で二人は炎上し、あっという間に黒焦げになって煙を残して蒸発する。画面上部に表示されていた仲間のライフゲージが一瞬で消滅した。

 唖然とするリーダーの動きが止まる。無慈悲なまでの圧倒的なパワーの差を見せつけられ、思考が停止した。

 一気に戦力の半分を失って、もはやこのまま戦い続けても勝てる見込みはなかった。逃げても、ゲームを継続したいならパーティーを組み直さなければならないから、わざわざ大阪城まで戻る必要がある。リセットして最初からやり直すのが早い。死んだ仲間もたぶんコンティニューして道頓堀にいるだろう。もたもたしていたら他のパーティーに組み込まれてしまうかもしれない。さいわい今日はまだ最初の戦闘で、失う経験値はほぼ皆無だ。

 それを計算してか、リーダーが捨て身の戦いを仕かけてガイコツの懐に飛び込んでいった。最初から死ぬ気の戦法だ。せめてガイコツの武器や技ぐらい見られたら今後役立つだろうという意図もあって。

 同調してもよいかな、と三条は思ったが、リーダーの思い切った攻撃で、ガイコツに隙ができていることに気づいた。火炎を吐いたばかりで、エネルギーチャージに時間がかかっているのかもしれない。

 三条は素早くマウスを操作する。ガイコツの背後に回り込んだ。力をためてジャンプし、落ちる勢いをつけて、レベル10にアップしたときに手に入れたロングソードをそのうなじにたたき込んだ。

 リーダーがガイコツの拳で叩きつぶされた直後、三条の剣によってその首が切り落とされた。ハリウッド級の派手なエフェクトで大爆発し、四散するガイコツ。

 ファンファーレとともに得られる経験値が表示された。と同時にアイテムも獲得。三条以外のパーティーメンバーが死んだので独り占めだ。

「スペシャルボーナスアイテムを獲得しました」というメッセージ。「レベルが大幅アップされます」

 どうやら幸運にもスーパーアイテムをゲットしたらしい。三条は「装備しますか?」の問いにYESボタンをクリックした。三条のアバターが虹色に光り輝いた。何事が起こったのかと眼を細めていると、テロップが表示される。

「ナミ子のレベルが60に上がりました」

 想像をはるかに超えるビッグアイテムの出現だった。

 レベル10からいっぺんに50もアップ!

 信じられないほどのラッキーぶりである。

 レベル60というプレイヤーがゲーム内にどれだけの数存在するのかわからないが、相当長くプレーしていないと到達できないだろうから、かれらに接触できればレアな情報にも触れられるだろう。

 三条は思いがけない出来事に気分が高揚しているのを自覚した。この依頼が解決しても、仕事抜きでまた遊び続けてしまいそうな気がした。


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