葡萄前進
リンゴ、ミカン、梨などなど、たくさんの果樹園がある中、葡萄の果樹園だけが異様な存在になっていた。
それは、果樹園になっている葡萄の全てが地面に落ちて、その一粒一粒たちが、固まって出口を探しているようだった。
濡れた大地をゆっくりと前進していき、まるで芋虫のような動きであり、そして、奇妙に脈を打ちながら前進していた。
脈を打つとき、葡萄たちの薄皮に亀裂が入り、甘い汁をプシャープシャーと撒き散らしていた。
葡萄の果樹園から、出よう出ようとしている葡萄たちの姿は、まるで芋虫型のエイリアンが、匍匐前進しているような姿に見えたという。