スライム王女
エルフの王国、アルヘイム。
世界樹を囲む森にて。
「あ、いた」
「いたね」
スイたちが遠くを指さしている。
その先には水辺で髪を洗う美女がいた。
「パパ、あの人だよ」
「じょおうさま」
「おぉ。綺麗だね」
半透明の身体。
足元まで伸びた髪。
明らかにヒトではないが、それでも美しいと感じてしまうものがあった。
「何者だ?」
「あっ。す、すみません。覗くつもりじゃなかったんです」
意図してやったわけじゃないけど、水浴びを覗いてしまった。普通に会話もできるみたいだし、気を悪くさせてしまうのは不味い。
「別に見られるのは構わん。服など普段から着ないしな。しかし……なんだ、その潜在魔力量は。お前、ヒトの形をした悪魔か? もしくは神の類いか?」
「普通の人族ですよ」
転生してこの世界に来てますが。
あと邪神に呪われてるけど。
「普通の人族です」
とりあえず2回言っておく。
「私たちのパパなの」
「強いんだよ」
「じょおうさまこんにちわ」
「はじめまして〜」
「おぉ! なんと可愛らしい。お前たちはスライムだな。我が力を与えていない人化済みのスライムがおるとは驚きだ」
スライムの女王が近づいてきて、スイたちの前に膝をつき目線を合わせていた。
「パパにやってもらったの」
「うん」
「わたしたち」
「ヒトになれるの」
「そうかそうか。お前たちの父はただの人族だとふざけたことを言うが、アレは神族級の力を持っておる。なるべく近くで過ごして力を受け取り、お前たちも強くなるのだぞ」
「「「「はーい」」」」
特に魔力を放出したりしてないのに、俺の力に気づいちゃうんだ。そーゆースキルでもあるのかな?
「さて。我が一族を人化させてしまうような者が、この我に何か用かな? 今後もこやつらをそばに置いてくれると言うなら、おおよその望みは聞いてやろう」
それ、俺にはメリットしかないね。
だってスイたちはもう俺の家族だし。
「分かりました。今後も彼女らと一緒に過ごします」
「わーい!」
「パパだいすき」
「ずっといっしょ!」
「やくそくだよ?」
「うん。約束ね」
スイたちが抱きついてきた。
可愛い。
「では望みを申せ。こんな場所まで尋ねてきたのだ。我の涙でも求めてきたのか?」
スライム王女の涙が貴重な薬の材料になるってのは事前に調べてきた。でも今回の目的はそれじゃない。
「いえ。ちょっと言い難いんですが、スライムを増やしてその身体を素材として使いたいなーと。あの、こんなことをスライムの王女様に相談するのもどうかと思うんですけど……。やっちゃってもいいですか?」
悩んだけど、もう直球で聞くことにした。
「構わんぞ」
「えっ。そ、そんなにあっさり?」
「人化しなければスライムに意思などない。どんな使われ方をしようが、我も同族も気にはせん」
基本的に女王が気に入った特殊個体を人化させることでしか意思を持ったスライムは生まれないらしい。
「それから意思を持った同族は貴重だ。たまにで良い。その子らをここまで連れてきてほしい」
「わかりました!」
スライムの女王様からもOKを貰えたので、これで気にすることなくオムツ工場を作れる。
素材はなんとかなった。
次は作り方の開発だ。
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