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レベル1の最強賢者 ~ 呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れて最強に ~  作者: 木塚 麻弥
第三章 エルフの王国

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祝宴

 

 ティナと結婚した。


 式は挙げてないが、この世界では精霊が認めたら正式に結婚したとみなされるらしい。特に俺とティナの結婚を認めたのは精霊王のひとりだ。その効果は大きい。


 エルフ王も祝福してくれると言った。

 ちょっと顔が緩むのが止まらない。


 今、俺の隣にいる美女エルフが俺の奥さんになるというのだから仕方ない。ティナを見ると顔が赤かった。


「ハルト、作戦通りだね!」


 シルフが飛んできて、俺とティナにしか聞こえない声で話しかけてきた。


「し、シルフ様、作戦とはなんのことでしょうか?」


 ティナは俺がシルフと契約していることを知らない。シルフが俺に気さくに話しかけてきたので驚いているようだ。


「ハルトが大会で優勝しても貴族たちがそれを認めないんじゃないかって、ハルトは予測してたんだ。だから、ハルトへの不満が高まってきたところで、僕が登場してハルトを認めちゃうって作戦だったの。殺気振りまいたのは僕のアドリブだけどね」


「結構、本気で殺気出したでしょ」


「もちろん! 世界樹の化身で精霊王の僕と交わした約束を、簡単に反故にするなんて許せるわけないじゃん」


 もっともな話だ。


「あの、もしかしてハルト様はシルフ様と契約を?」

「うん、契約したよ」


「黙っててごめん。実は昨日、召喚契約を結んだんだ」


 そう言ってティナに、懐に入れていた世界樹の葉を見せる。


「そ、それは!?」


 ティナは全てを理解した。


「なるほど、()()でしたか。では、私がハルト様に勝てる訳などなかったのですね」


 執事が話しかけてきた。


「あれ? もしかして僕の声聞こえてる?」


「えぇ、私はリファ様ほどではありませんが、風のマナに好かれているようでして……シルフ様の存在を他のエルフ達より強く感じられるのです」


 ハッキリとではないが、シルフが何を言っているか聞こえていたらしい。


「そっか、できればハルトと僕が繋がってることは貴族や大臣達には黙っといてくれない?」


 もし貴族達が知れば様々な言いがかりを付けてくるかもしれない。シルフがあれだけ脅していたので、可能性は低いと思うが……


「私はティナ様の幸せを願う者です。そのようなことは致しません」

「サリオン、ありがとう」


 ティナがお礼を言う。

 執事はサリオンという名前らしい。


 対戦表にも書かれていたが、エルフ文字だったため、俺は対戦相手の名前が誰一人分からなかった。


「ティナ様、ご結婚おめでとうございます。改めて祝福させていただきます。そしてハルト様、ティナ様をどうかよろしくお願いします」


「うん。幸せにします」


 後からティナに聞いた話では、サリオンは元々貴族に仕える執事だった。サリオンが仕えていた家に生まれた娘がティナだ。


 サリオンは教育係として、ティナの世話をしてきた。その後、色々あってティナは勇者と共に旅をすることになり、サリオンはその能力を買われエルフ王に仕えることになったらしい。


 ティナの両親は既に他界している。だから育ての親とも言える人に結婚を祝福されて嬉しくなった。


「それでは、私はこれで。今晩、おふたりの結婚祝賀会を王城で行いますので、私はその準備に行きます」


 いつの間にそんなことが決まったのだろう?


「主催は陛下です。陛下はハルト様が優勝なさるとお考えだったようで、既に色々と用意をされていましたよ?」


「そ、そうなんですか」


 この人はそれを知っていながら俺と戦っていたのか。やりづらくなかっただろうか?


 エルフ王が、自分が負けることを前提に色々用意をしている状況で、俺と全力で戦えたのだろうか?


 俺は全力のサリオンと戦って勝ち、ティナとの結婚を認めてほしかった。


「ちなみに私は本気で戦いました」


 俺の表情を読み、考えを見抜いたらしい。

 一礼して、サリオンは去っていった。



 ──***──


 ティナの手を引いて闘技台を降りると、ルークたちクラスの仲間が迎えてくれた。


「ハルト、優勝おめでとう!そんでティナ先生との結婚もおめでとう!!」


 ルークが祝福してくれる。


「精霊王に認められたので、ふたりは正式に結婚したってことですよね?」

「えぇ、少なくともここ、アルヘイムではそうなります」


 ルナの質問にリファが答える。

 リファの回答を聞いて、実感が湧く。


 ちなみにこの世界では、男女がそれぞれ何歳であっても結婚できる。常に死と隣合わせの世界ならではのルール。結ばれる相手が見つかれば、いつでも一緒になれるのだ。


「まさか同級生が先生と結婚するとはな」

「リューシン、茶化さない!ハルトさん、ティナ先生、おめでとうございます」


「リュカ、ありがと」

「リュカさん、ありがとうございます」


「主様、我も心から祝福する」

「「ハルト様、おめでとうございます!」」


「みんな、ありがとう」

「ありがとうございます」


 ティナとふたりでみんなに一礼する。


 俺達はその後、王城仕えのメイドに案内され、王城へと足を運んだ。



 ──***───


「あの、これいつの間に用意したんですか?」


 俺は身体にピッタリフィットするタキシードを着せられていた。


「執事たるもの、このくらいできて当然です」


 タキシードを用意してくれたのはエルフ王の執事のサリオンだ。王命で事前に俺用のタキシードを作っていたんだとか。


 いや、俺、身体を計られたりしてないんだけど!?


 サリオンは服の上から体型を見ただけで、ジャストフィットする洋服を準備できる能力があるようだ。ちなみにスキルとかではないらしい。


 この人有能過ぎない!?


「ハルト、似合ってるよ」


 シルフが褒めてくれた。大会後、何故かシルフは顕現したままだった。


「ご馳走がでるんでしょ!? 僕もハルトとティナのお祝いの宴に出る!」


 ──との事。

 精霊って人間のご飯食べるのか?


 まぁ、精霊王が祝ってくれるのならこれ以上のことは無いので、出席してもらおう。


 ちなみにこの着付け室には俺とサリオン、シルフしか居ないので、シルフは普通に俺やサリオンに話しかけてくる。その後、サリオンに髪をセットしてもらい、準備が完了した。


「ハルトかっこいいー!」

「ふむ、我ながら完璧です」


 鏡を見るとイケメンがいた。

 えっ、これ俺!?


 エルフ族のメイクとヘアセット技術恐るべし。


「さぁ、時間です。行きましょうか」

「はい」


 俺はサリオンにつれられ、結婚祝賀会の会場へと向かう。



 ──***──


 今、俺は会場に入る前室でひとり、待たされている。結婚式が無いので、ここでティナと対面し、シルフに改めて祝福してもらってから会場に入るという流れらしい。


 会場に続く扉とは別の扉が開いた。


 純白のドレスに身を包んだティナが立っていた。


 言葉が出ない。

 すごく綺麗だ。


「ほら、入って入って!」


 シルフがティナの手を引いて俺の前まで連れてくる。


「……」

「……」


 ティナと無言で見つめ合う。

 言葉をかけたいが、何も言えない。


「ハルト、ティナをその身が滅ぶまで愛すると誓いますか?」


 シルフが神父っぽいことをしてくれる。

 多分、本人は楽しんでやってる。


 それでも嬉しい。


「誓います!」


「ティナは?」


「わ、私も誓います!」


「はい、じゃチューして!」


 もうちょい粘れよと思ったが、シルフは飽きてきたらしい。ここまでやってくれたことに感謝しよう。


「ティナ、愛してる」

「ハルト様……」


 ティナとキスする。


 さっきも闘技台の上でしたけど、ウエディングドレスを着たティナとするのはまた違う。


 本当にティナと結婚したんだ。


 そんなことを思いながら再びティナと見つめあっていると。


「終わった? じゃ、宴会行こう! レッツゴー!」


「ちょ、引っ張るな!」

「きゃぁ!?」


 シルフに手を引かれ俺とティナは結婚祝賀会の会場へと飛び込んでいった。


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