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レベル1の最強賢者 ~ 呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れて最強に ~  作者: 木塚 麻弥
後日談など(詰め合わせ)

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最強クラン決定戦 本戦(5/10)


 決勝開始の合図を出したリバスの姿が消えた。闘技台の中心に現れた時とは逆で、ハルトの転移魔法により司会者ブースまで飛ばされたのだ。


 それと同時に巨大なクランハウスが動き始める。


『とりあえずアンタら、下まで堕ちてこいにゃ!!』


 まず動いたのは獣人とドワーフの連合クランである牙技団がぎだん。その巨大な右手を上空にいるファミリアに向けると、その拳が勢いよく放出した。


 ステータスに恵まれた獣人が肉体強化魔法を使って増強された力を、ドワーフの技師が開発した滑車とてこの原理による増幅機構で更に何倍にも高める。そうすることでこの巨躯を稼働させ、岩をも砕く勢いで拳を発射できる。


 そうして高速射出された牙技団の拳だが、ファミリアに到達することはなかった。


 見えない壁に阻まれ、鈍い音を響かせた後に落下してきた。全く効果が無いとは思っていなかった牙技団は、この様子を見て唖然とする。


『えっ、マジかにゃ……』


 ファミリアのクランハウスの周囲にはハルトとシトリー、アカリというこの世界三強の魔力にて幾重にも魔法障壁が展開されているのだ。


『どうやら強力な魔法障壁で守られている様子。まずはそれを剝がさねば』


 人族クランのマジックナイツが右手に持つ剣を構えると、その周囲に雷属性の魔力が纏わりついていく。


『儂らの天空砲の出番じゃな』


 蒸気機関で駆動するギアロット。その右肩後方から巨大な砲身が姿を見せた。


『空飛ぶ竜を落とす秘剣を見せてやろう』


 四本腕のうち二本に刀を持った御庭番衆のクランハウスは、刀を持つ腕を躯体の前で交差させた。構えられた刀には高密度の魔力が充填されていく。



 これはバトルロイヤルであり、本来彼らは敵同士だ。しかし今は共通の敵としてファミリアに集中砲火しようとしていた。


 殴り合い大戦で、勝ち残る条件は闘技台の上に残っていること。このまま乱雑に殴り合いを始めてしまえば、上空にいるファミリアは必然的に攻撃を受ける割合が減る。どうしても彼らを始めに狙うしかないのだ。


 とはいえ、こうなることはハルトも予測していた。



『貫け、アークサンダー!!』

『天空砲ぉぉおお、放てぇぇぇええ!』

『飛空斬!!!』


 マジックナイツの大剣からいかづちが放たれ、ギアロットの天空砲から城門を一撃で破壊する砲撃が、御庭番衆の二本の刀から斬撃が飛んだ。


 それぞれがAランクの魔物の群れを屠るだけの威力を備えている。


 三つのクランハウスから放たれた攻撃がほぼ同時にファミリアへと到達し、ぶつかり合って爆炎をあげた。


 その煙が晴れた時──


『な、なん…じゃと……』

『おい、なんで』

『む、無傷? は? アレを受けて、無傷?』


 変わらず滞空するファミリアの姿があった。


 あれだけの攻撃を受けても悠然と空に浮かぶ巨大なクランハウスを見て、観客たちは沸き上がった。



 その頃、ファミリア内部。


「ふむ。主様とシトリー、そしてアカリが本気で展開した魔法障壁の強度は流石の

ものじゃ。しかしこれでは、ちとつまらんの」


 不満げな声を漏らすヨウコ。そう思うのは彼女だけではないようだ。


「確かにな。このままなら普通に勝てると思うけど、最強クラン決定戦なのにこんなので良いのか?」


「俺もヨウコやリューシンと同じだな。もっとしっかり戦いたい」


 リューシンやルークも不満げだった。


「そう言う人もいると思って、《《対巨人戦闘用ゴーレム》》を四体造っておいたよ。下に降りて戦うことになるから当然ここにいるより危険だけど、行きたい人いる? ゴーレムの操作は簡単にできるようにしてある」


「我が行くのじゃ!」

「では、わらわはヨウコと共に行きましょう」


「おっけー。ヨウコとキキョウは三番機ね。ふたりにぴったりの機体を用意してあるんだ」


 ニヤリと笑みを見せたハルト。彼はこの空飛ぶクランハウスにヒトが搭乗可能な巨大ゴーレムを四体も仕込んだのだが、実はその四体は全て同じ形状ではなかった。


「俺はもちろん行くぜ」

「リューシン様、お供します」


「リューシンとヒナタは一番機。ヒナタは乗り物酔いを防止する補助魔法をルナにかけてもらってから搭乗してね」


「ルークも行きたいんでしょ?」

「う、うん」

「じゃあ私も一緒に行く」


「ルークとリエルは二番機かな。普通のヒト型で安定性が他の機体より悪いから、操作に気を付けて」


「ハル(にぃ)! 私も戦いたい!」

「ではアカリさんには私が同行します。魔法障壁の維持はハルト様おひとりでも問題ないでしょうし」


「うん、大丈夫。アカリをよろしくね、シトリー」


 この会話がされていた間も、闘技台の上に立つクランハウスから激しい攻撃は続いていた。しかしこの中央制御室には攻撃された振動すら伝わって来ていない。それほどまでに展開された魔法障壁は完璧だった。


 鉄壁の防御が展開されたファミリアは、ただ浮いていれば最強クラン決定戦で優勝することができたのだ。


 しかしそれではつまらない。


 攻撃面でも優れた能力があることを示すため、最強賢者は仲間を闘技台へと送り出すことを決めた。


「じゃあ、みんな。がんばってね!!」


 ヨウコたちがゴーレムに搭乗したことを確認したハルトは、中央制御室にあるコントロールパネルを操作し、浮遊するクランハウスから四体の巨大ゴーレムを射出した。


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