賢者と九尾の母娘
次の日、ヨウコがやってきた。
「我は多少、激しくされても大丈夫なのじゃ!」
俺の部屋に来て早々、彼女がそう宣言した。
ヨウコもメルディやエルミアから、色々と聞かされていたそうだ。
ほかの妻と違うのは、ヨウコがそれを楽しみにしてるってこと。
激しいのをお望みなら、シてあげよう。
ちなみに多少って、どこまで?
通常魔法の分身と、神属性魔法の分身の合わせ技とか、やってもいいかな?
昨日、マイとメイと、神属性魔法の分身ふたりでヤッたのは、かなり凄かった。
ふたり分の快楽が、同時にくるのはヤバい。
でも今日の相手は、ヨウコひとりだ。
さすがに神属性魔法の分身を使った二対一は、止めておこう。
そのうちそーゆーのもヤッてみたいけど、最初からはマズいよね?
「激しく……か。なら、これは?」
通常魔法の分身を、二体作ってみた。
「ま、まさか──」
「「「三人で相手してあげる」」」
さすがのヨウコも、少しひいていた。
「え、えっと……初めては、その、主様ひとりがいいのじゃが──」
「大丈夫。するのは、俺だけ」
そう言って俺は、狼狽えるヨウコを抱き上げベッドに運ぶ。
「「俺たちは、ヨウコを気持ち良くさせるサポートだけだから」」
ベッドにヨウコを寝させると、分身二体が逃げ場をなくすように、ヨウコの両サイドにやってきた。
ちなみにこの分身たちは、俺と同じように読心術が使える。
他者を洗脳する能力を持った九尾狐のヨウコは、読心術ってスキルに耐性を持つけど、俺の読心術はスキルじゃない。
だから九尾狐を相手にしても、効果がある。
どこがいいか、どうしてほしいか。
ヨウコの思考が、手に取るようにわかる。
「まっ、待つのじゃ! むり、むりじゃ!! 三人同時は──」
三人がかりで、ヨウコが身動きできなくなるまで相手した。
──***──
「妾は、ハルト様おひとりでお相手していただきたいのです。よろしいですね?」
翌日、キキョウが俺の部屋に来て開口一番で、分身を使うなと言ってきた。
「あの子、今日は食事当番なのに、ハルト様のせいで未だに起き上がれなくなっております。そのせいで妾は、食事当番をひとりでやらねばなりませんでした」
ちょっと言葉に、トゲがあった。
キキョウは、料理があまり得意ではない。
「でも今日の晩御飯、おいしかったよ」
「まぁ! 本当ですか!?」
「うん」
「ありがとうございます! これからも、がんばりますね」
ふははは、チョロいな。
「ハルト様。今、妾のことを、チョロいと?」
おっと、キキョウはデフォルトで他人の思考が読めるのを忘れていた。
「ごめんね。でも、晩御飯がおいしかったのはほんとだよ」
おいしかったよ。
お肉が、ちょっと焦げてたけど。
「……いいでしょう。今後はもっと腕を上げてハルト様を、妾の食事の虜にしてみせます」
ほう。それは楽しみだ。
ティナの料理で舌の肥えた俺を楽しませられるよう、是非とも頑張ってほしい。
「それじゃ、寝ようか」
ベッドにキキョウを誘う。
「…………」
「どうしたの?」
「ハルト様。妾はやはり、貴方様と子は成せません」
「……ヨウコの、お父さんがいるから?」
「はい」
「それならそれでいいよ」
二百年経っているが、いざそういうことをしようとしたら、気が引けてしまったらしい。
数万年の時を生きる九尾狐のキキョウにとって、二百年はそこまで長い期間ではない。
「どうする? いつもみたいに、一緒に寝るのもやめとく?」
「それはします!!」
キキョウが、ベッドに飛びこんできた。
彼女が一緒に寝る日は、朝まで俺に抱きついて、吸えるだけ俺の魔力を吸っていく。
「邪神の所へいくのですよね? なにがあるかわかりません。ですから──」
「うん。できるだけ魔力をあげとくね。キキョウが吸うのと、俺が送り込むの。どっちがいい?」
キキョウが俺の魔力を吸うと、彼女の魔力量の限界までしか魔力が入らない。
しかし彼女は、この世界最強クラスの魔族である九尾狐だ。
俺が強引に送り込めば、その限界を超えて魔力を受け入れることができる。
「妾は、その……ハルト様に、入れていただきたい、です」
顔を真っ赤にしながら、そう訴えてきた。
ヤバい。
ちょっとキキョウを、襲いたくなった。
おちつけ。
俺のハルトよ、鎮まれ。鎮まるのだ。
「ハ、ハルト様。大丈夫ですか?」
大丈夫じゃ、ない。
「え、えっと。その──」
だいたいキキョウは、子がいるなんて思えないくらい美人すぎるんだよ。
「ひゃ、ひゃう!?」
我慢できなくなったので、全力でキキョウを抱きしめ、彼女に魔力を送り込み始めた。
あー。
もしかして俺、キキョウに魅了されてる?
「そ、そんな!? 妾の魔法は、ハルト様には効かないはず」
でも、現にこうしてキキョウがいつもより魅力的に見えてるし。
「妾は、本当になにも──」
まぁ、実を言うと、今日まで毎日みんなと寝てきて、突然お預けくらって、我慢できるか!
──って、ことなんだよね。
「それでは。ま、まさか!?」
「あっ。それは、大丈夫。嫌がってるキキョウを、無理やり襲うことはしないから」
襲いはしない。
でも少し、発散を手伝ってもらおう。
魔力って、一度に大量に放出すると、なかなか爽快感がある。ちょっと、男のアレに近い。
そして俺の腕の中には、膨大な魔力を受け入れられる器がいる。
ちなみに俺の言う『大量』って、百万単位なんだけど。
「む、ムリです! ハルト様、その量は──」
大丈夫、大丈夫。
イケるって!
「ひっ!? う、うそ……やめっ──」
その後、朝までかけて何度も、百万の魔力をキキョウの中に注ぎ込んだ。