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レベル1の最強賢者 ~ 呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れて最強に ~  作者: 木塚 麻弥
最終章 とりあえず一発、殴っていい?

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式神のお土産


最終章です。


あと少し、最後までお付き合いお願いします。


 

「おじさーん、これも食べたいです!」


 目の下あたりまで前髪を伸ばした黒髪の少女が、お祭りの屋台で買い食いしていた。


「はいよ。お嬢ちゃん、うまそうに食ってくれるねぇ」


「だって、すっごく美味しいんだもん!」


「そうかい。それじゃ、こいつはサービスだ」


 屋台のオヤジが、少女の手に小さめカレーパンを持たせる。


「いいんですか?」


「おぅ! そいつもうちの人気商品だからよ。ぜひ食べてくれ」


「わかりました。ありがとうございます!」




「えへへー。サービスされちゃいました。この国の人族、優しいですね」


 屋台から離れた少女がつぶやきながら、もらったカレーパンに手を付ける。


「うん、うん! このパンもおいしー!! あの屋台はあたりですね。存続決定です」


 懐から紙とペンを取り出し、少女がなにかをメモっていた。


「グレンデール、王都、屋台のカレーパンが美味、滅ぼすのは、最後──っと」


 メモを取り終えた少女は紙とペンをしまうと、再び祭りでごった返す人混みの中を進み始めた。



「んー。邪神様へのお土産、なにがいいかな?」


 少女は、邪神に仕える式神だった。

 邪神はまだ眠っている。


 仕えるべき神がずっと寝ているので、暇になった式神がこうして人間界に遊びに来たのだ。 



「おぉ! す、すごい……」


 王都の中央広場に設置された巨大な氷のモニュメントに、式神が目を奪われる。


 これは水の精霊王ウンディーネが、風の精霊王シルフと協力して作り上げたもの。


 この国グレンデールは、ウンディーネの加護により豊作が約束されている。国民が彼女への感謝を示すため年に四回、こうして祭りが開催されていた。


 今年はウンディーネがこの国に加護を与えて五十年となる年であったため、彼女が氷のモニュメントをこの国に贈ったのだ。


 それに目を奪われ、式神は前を見ていなかった。



「──あっ!」

「おっ?」


 黒髪青目の青年の背中に、ぶつかってしまった。


「す、すみません。私、前を見ていなくて──」


 整った顔の青年に、式神は思わず見惚れる。


「俺は大丈夫ですよ。でも、この先も混んでますから、気を付けてくださいね」


「は、はい! ほんとに、すみませんでした」


 これ以上会話すると、もっと青年が気になってしまいそうだったので、背を向けて早急にその場を離れようとした。


「あっ、ちょっと待ってください。背中にゴミがついてますから、取りますね……はい。これで大丈夫です」


 式神の背中に付いた葉っぱを、青年が取ってくれたようだ。


 葉っぱを見せてくる彼の笑顔がまぶしくて、式神は自分の顔が赤くなっているのがわかった。


「それじゃ、俺はこれで。お祭り、たのしんで!」


 そう言って青年は、式神の前から去っていく。


 式神は彼の姿が見えなくなるまで、その背中を目で追っていた。



 ──***──


「あっ、しまった。邪神様へのお土産、買ってない……」


 神界に帰ってきた式神が気付いた。


「まぁ。邪神様はまだ寝てるから、別にいいよね」


「ほう? なにがいいのだ?」

「──っ!?」


 突然後ろから声をかけられ、式神が驚いて振り返る。


「邪神様! お、お目覚めになられたのですか!?」


 そこには、まだ眠そうな表情の邪神が立っていた。


「あぁ。先ほど目が覚めた……それで? 土産は?」


「えっと……な、なんのことでしょうか?」


「ほう。貴様、白を切るつもりか。そうか……あのカレーパンとやらは、うまそうであったな?」


「ま、まさか、そのあたりから起きて──」


「あぁ。起きていた。いやぁ、実に楽しそうだったな。寝ている俺を放置して、自分だけ人間界で人族の祭りに参加するとは」


「うっ」


 式神に、邪神の言葉が突き刺さる。


「それで? あのカレーパンとやらはうまかったのか?」


「はい! それはもう美味で──」


「だったら俺の分も、買ってこいやぁぁぁぁぁあ!!」


 邪神の叫び声が、神殿中に響き渡った。




 ちなみに式神は、お土産をしっかりと邪神の神殿へと持ち帰っていた。


 その土産とは──



「おい。お前の服……背中にそんな魔法陣あったか?」


「魔法陣? なんのことですか?」


 式神の背中につけられた魔法陣に、邪神が気が付いた。


「えっ、なんですかこれ?」


 神に仕える式神であっても、よほど目を凝らさなければ気づけないような魔法陣が、服に貼り付けられていたのだ。


 式神が慌てて上着を脱いで、神殿の床に放り投げる。


 その魔法陣は、彼女の身体につけられていたわけではなかった。


「呪いの類ではあるまいな? (邪神)に仕える式神が呪われるなど、まったくもって笑えんぞ」


「今のところ、私に問題はないようですが……いったい、なんの魔法陣なんでしょう?」


「さぁな。どれ、少し俺が調べて──んんっ!?」


 床に置かれた式神の上着を拾い上げた邪神が驚く。


 いつの間にか魔法陣が、式神の服から神殿の床に移動していたのだ。


「どうなっておる……いったい、なんなのだこれは?」


「わ、私にも、わかりません」


 その後、邪神と式神が手を尽くしたが、魔法陣が邪神の神殿から消えることはなかった。



 ──***──


「ハルト様。その魔法陣、どうされたのですか?」


 屋敷のリビングで、手元に小さな魔法陣を作り出し、それを眺めているハルトが気になって、ティナが声をかけた。


 その質問に、ハルトが笑顔で答える。



「これはね。とある神様のところに遊びに行くための、旅券みたいなもんだよ」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] > 黒髪黒目の青年の背中に、ぶつかってしまった。 ここ黒目じゃなくて青眼じゃないですか?
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