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レベル1の最強賢者 ~ 呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れて最強に ~  作者: 木塚 麻弥
第十章 転生勇者

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Eランク最後の依頼

 

 あと一回か二回依頼を達成したら、昇級試験を受けられるくらいのギルドポイントが貯まった。


 冒険者ギルドを訪れ、最後の依頼はどれにしよーかなーと考えながらギルドの壁に貼りだされた依頼書を見ていると、女の子の声が聞こえてきた。


「お願いします! お母さんを、助けてください」


 受付を見ると、カウンターの高さよりちょっと背が低いくらいの少女が、受付のお姉さんに必死に訴えている。


「このお金、貴女が貯めたの?」


「そうです……これじゃ、たりませんか?」


 カウンターの上には、銅貨が詰め込められた小袋が置かれている。


「んーとね……この金額じゃ、Eランクの一番安い依頼を出すのがやっとなの。貴女のお話を聞く限り、町のお医者さんでも原因がわからない病か呪いの治癒が依頼の内容になるのだけど──」


 町の医者が原因を特定できず、回復薬やヒール(回復魔法)などで治せないような病気や呪いとなると、単純な原因調査だけでもEランク最高クラスの依頼金が必要になる。


 少女が持ってきた金額の、およそ五倍だ。


「原因不明の病が蔓延するのは、ギルドとしても防ぎたいの。だから、ギルドポイントは多めにつけることはできるのだけど……この金額だけで依頼を受けてくれる物好きな冒険者なんて──あっ!」


 受付のお姉さんが、依頼書が貼り付けられているボードの前に立っていた俺を見つけた。


 ちょうどいい。

 最後の依頼が決まったな。


「その依頼、俺たちが受けますよ」


「お兄さん、冒険者なの?」


「うん」


「私のお母さんを、助けてくれる?」


「うん。任せて」


 どんな病や呪いでも、治してあげる。

 なにせ俺の家族には、元聖女や竜の巫女といったこの世界最高峰の回復魔法の使い手がいるのだから。



「ハルトさん、依頼金は見ての通りです。本当によろしいのですか?」


 受付のお姉さんは、俺が五つのパーティーでまとまって行動しているのを知っている。その全員を養うのには、明らかに報酬が少なすぎる。


「問題ありません。いつものことですから」


「えぇ、そうですよね。ハルトさんなら、この依頼も受けてくれるって思いました。一応、確認です。いつものように、ギルドポイントはおまけしておきますね」


「ありがとうございます」


 依頼内容によっては、あと二回依頼を受けなくちゃいけなかったけど、報酬のギルドポイントをおまけしてもらえることになったので、この依頼を達成したらD級への昇級試験を受けられるようになる。


 その後、ギルドが正式に少女の依頼を受理し、俺がその依頼を受けることになった。


「俺はハルト。よろしくね」


「私、ミウと言います。よろしくお願いします」


 小さいのに、礼儀正しくていい子だな。


 俺は依頼主であるミウを連れて、みんなが待つ俺の屋敷へと転移した。



 ──***──


「ハルトさん、すごいです! なんか、びゅんっ──てなりました!! さっきのが、ハルトさんの魔法ですか?」


「うん。そうだよ」


 ミウは転移の感覚を楽しんでいた。


 転移する時は身体をどこかに強く引っ張られる感覚があるので、気分が悪くなっちゃうヒトもいるけど、彼女は違ったみたい。


「あの……ここは?」


 見知らぬ地に連れてこられて、少し不安そうな表情を見せる。


「俺の家だよ。俺の仲間がここにいるから、ここでみんなと合流して、ミウのお母さんのところに向かう予定」


「こ、これ、ハルトさんのお家なんですか!?」


「そー。おっきいでしょ」


 最近、俺の周りのヒトはみんな、俺がやることに慣れてきちゃったみたいで、たいていのことでは驚いてくれない。


 だからミウが、こうやってリアクションしてくれるのがすごく嬉しい。



「ハルト様、おかえりなさいませ。そちらは──」


「今回の依頼主、ミウちゃんだよ」


 俺が戻ってきたことに気づいたティナが、出迎えてくれた。


「ふわぁ……キレイなエルフさんですね」

「まぁ! ありがとうございます」


 ミウがティナを見て呟いた言葉を聞いて、ティナが嬉しそうだった。


「おっ、ハルト。帰ったか」

「ただいま、シロ」


「あっ、かわいい!!」


 屋敷から出てきたシロに、ミウが飛びつく。


「ハルトさん。この子も、ハルトさんの家族なんですか?」


「うん。シロって言うの。撫でると喜ぶから、優しく撫でてあげて」


「はい!」


 ミウは既に、シロをモフり始めていた。


「ぬぅぅぅぅ。や、やめよぉぉ」


 止めろといっているが、シロがその気になればミウの拘束から抜け出すのは簡単なはず。


 それでも逃げ出さないので、ミウに触られて喜んでるんだ。



「それじゃ、ミウのお母さんのところに行こう」

「「「はーい!」」」


 エルノール家の全員が揃ったので、これからミウの家に転移する。


「よ、よろしくお願いします!」


 さすがに俺の家族総勢二十人が集まると、ミウは圧倒されていた。


 ちなみにシロは、ミウの腕の中に収まっている。


 知らない大勢のヒトに囲まれて怖いだろうけど、母親を助けるために頑張ってるんだ。シロを抱いて、少しでもリラックスしてほしい。


 ミウの不安を感じ取ったのか、途中からシロは大人しく彼女に抱かれていた。


 早く彼女のお母さんを助けてあげよう。


 俺はその場に集まった全員をつれて、ミウの家に転移した。



 ──***──


「──っ!? だ、旦那様。これは……」

「妾も、なにやらまずい気がします」

「ハルト……コレは、ヤバイぞ」


 ミウの家がある町に転移してすぐ、シトリーとキキョウ、シロが異変に気づいた。


「……あぁ」


 思っていたより、状況は悪そうだ。


「あの、なにかあったんですか?」


 ミウが不安そうに聞いてくる。


 彼女からしたら、普段通りの町の風景と変わらないのだろう。


 でも、俺やシトリー、キキョウ、シロといったメンバーは呪いに対して敏感だ。


 特に、邪神の呪いに対しては。



 ミウの家からは、かなり強い邪神の呪いの気配がしていた。


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