表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1の最強賢者 ~ 呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れて最強に ~  作者: 木塚 麻弥
第十章 転生勇者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

266/448

ハルトの提案

 

 俺がこの世界にやってきて、十年経った。


 今年、俺は十五歳。

 こちらの世界の人族として、成人になった。


 その年の十月、エルノール家で一番遅いルナの誕生日が過ぎ、そのお祝いのパーティーが終わった翌日。


 俺は家族のみんなを集めて提案した。


「冒険者ギルドへ登録にいこう!」


「冒険者? ……主様は、冒険者になりたいのかの?」


「うん!」


 この世界に転生した時からの夢だった。


 冒険者としてギルドに登録し、ギルドランクを上げていく。


 すごく楽しそうだ。


 元の世界にいた時から、ゲームのトロフィー集めが好きだった。自分の称号やランクが少しずつ上がっていくのって、なんだかワクワクする。


 先輩冒険者に絡まれる可能性もあるかもしれないが、実はそれも楽しみのひとつだった。


 新人の俺を弄ろうとした冒険者に、ちょっと力を見せつけて『コ、コイツ、強い!?』──って、驚いてほしい。


 あとは美人の受付嬢に、狩ってきた魔物を見せて『そ、そんな!? コレはCランクの魔物ですよ!!』──などと言ってもらいたい。


 いやぁ、妄想が捗るな。


 目指すはSランク冒険者!


 俺はティナのギルドカードを見てから、アレが欲しくなった。真っ黒のカードに金の文字で情報が記されたそれが、とても格好がよかった。


 Sランク冒険者って、三次職の限られたヒトしかなれないみたいだけど、幸い俺は三次職である賢者だ。レベル1だけど……。


 でもとりあえず、実績さえ積めばSランク冒険者になれるはずなんだ!



「ハルト……お前、冒険者として働かなくったって、金には困らないだろ?」


 無粋なことをリューシンが言ってきた。


 コイツ、わかってないなぁ。


「金じゃないんだよ、リューシン」


 必死になって魔物を倒して生活をしてる本物の冒険者の方々には申し訳ないが、俺は確かに金には困ってない。


 今、エルノール家の十四人とシロに加え、ルークとリエル、リューシンとヒナタという計十八人と一匹が、俺の屋敷に住んでいる。


 その生活費を全てティナが出してくれてるわけだけど、いくら贅沢しても彼女の預金は減ってるように見えなかった。


 むしろ常に増え続けていた。


 だから、お金のために冒険者になるんじゃない。



「冒険者って、夢があるだろ」


「……夢?」


 なんだ、ルークもわからないのか。

 仕方ないなぁ。


「たとえば、まだ見ぬ未開の地を旅したり──」


「ここ数年で、世界の隅々までハルトさんは転移の魔法陣を設置し終えちゃいましたよね?」


「リファの言う通りにゃ」


「「未開の地って……もう、ないですよ?」」


 …………。



「た、たとえば、ダンジョンの奥底に眠る秘宝を探しに行ったり──」


「歴代の勇者ですらクリアした者のおらんかった最難関ダンジョンを、去年クリアしたのじゃ!」


「創造神様の祝福を受けた剣をゲットしたの」


「私がボスを任されている遺跡のダンジョン以外、全て踏破済みですよね? あそこも、旦那様とティナ様はクリア済みですが」


「シトリー、もう少し難易度下げてほしいのじゃ」

「今のままじゃ、絶対にむりなの」


「ふふふ。それは旦那様にご相談ください」


 …………。



「そ、そうだな。たとえば、超レアアイテムを集めて、究極の装備を創ったり──」


「うちの庭に、世界樹生えてますよね。あの枝って、すっごいレアアイテムでは?」


「ルナの言う通りだね。あの枝を使えば『世界樹の杖』っていう最上位の武器が作れるよ。ここの世界樹、ルナのことを気に入ってるからルナなら枝を切っても怒らないと思う」


「シルフ様、よろしいのですか?」


「もちろん。ルナが剪定してくれたら、きっとすごく喜ぶから」



「それにここの地下には、ヒヒイロカネの鉱床があって、それを使ってエルミアに鎧をつくってくださいましたよね?」


「あぁ、アレ。すごい性能なんだ。鎧がない部分も見えない何かで守られてるし、どんな武器や魔法でも傷がつかない。ハルト、本当にありがとう」


(わらわ)が知る限り、ヒヒイロカネの鎧を超える究極の装備はないのですけど……」


 …………。



「魔物を倒して、その素材を──」


「一番価値のある魔物は……ほれ、ハルトの目の前におるではないか」


「えっ、俺!?」


「シロの言う通りじゃな」


「白竜の私やリュカより、黒竜のリューシンの鱗とか牙の方が高く売れるの」


「そうですね……リューシン、ハルトさんが貴方の素材をご所望よ?」


「リューシンさん。痛くしませんから」


「セイラさん? そ、それ聖属性魔法では!?」


「リューシン様……」


「ヒ、ヒナタ、助け──」

「ごめんなさい。ここに住まわせていただいてる、家賃の分だけですから」


「えっ、ちょっ──ぁぁぁぁぁぁぁああ!?」



 なんか……ごめん、リューシン。


 ヒナタもエルノール(うち)家に馴染んできたなぁ。




 んー、どうしよう……。


 あっ!


「ギルドカード!」


「「「え?」」」


「ティナ、みんなにギルドカードを見せて」


「かしこまりました」


 ティナがみんなに自分のギルドカードを見せる。


「おぉ! これがSランク冒険者のギルドカードか!!」

「す、すごいな……」


 ルークと、腕の鱗を一枚剥がされて涙目のリューシンが、ティナのギルドカードを見て目を輝かせていた。


 よし、いいぞ!


「俺はコレが欲しい」


「欲しいのでしたら、差し上げますよ。それ」


「──えっ」


「冗談です」


 ふふ、っと笑うティナの笑顔が可愛かった。


 ……まぁ、それはいい。



「と、とにかく俺は、冒険者になりたいんだ!」


 もう、ゴリ押しでいくことにした。

 何人か賛同してくれればいいけど──


「わかったのじゃ」

「ハルトが冒険者になるなら、私もなるの!」

「私も一緒に登録しにいきますね」

「「私たちも」」

「ウチもなるにゃ!」

「回復はお任せ下さい」

「私は、皆さんをいっぱい補助します!」

「面白そうです。妾も登録しましょう」

「我は……ハルトの従魔でいけるか?」

「シロ様、それで大丈夫です」

「エルミア、わたしたちも登録しますよ!」

「う、うん。わかった」

「俺もー!」

「もちろん、俺も」

「私たちも」

「冒険者になりまーす!」


 結局、全員が賛同してくれた。


 色々と理由をつけようとしたのが、なんだったのだろうって思えてしまう。



「ハルト様の意思が、エルノール家の総意です。ハルト様がなさりたいことをすれば良いのです」


「その通りじゃ」


 なんだ、最初からこれで良かったのか。



「よし、それじゃ今から、冒険者ギルドに登録しにいくぞ!」


「「「「おぉー!」」」」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


本作『レベル1の最強賢者』は──

書籍1~8巻、漫画1~5巻
好評発売中!!!

下の各画像から公式サイトに繋がります。



i467546
書籍1巻
i467547
書籍2巻
i463555
書籍3巻
i506684
書籍4巻
i551602
書籍5巻
i598585
書籍6巻
i1005000
書籍7巻
i1005001
書籍8巻
i478523
漫画1巻
i528961
漫画2巻
i598587
漫画3巻
i1005003
漫画4巻

i1005004
漫画5巻

Twitter でも色々と情報公開中!
#レベル1の最強賢者 で検索してね

i683693
― 新着の感想 ―
[良い点] 賢者の想像力<賢者の実力
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ