表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

265/448

最強勇者の誕生

 

 遥人が暮らしていた世界。

 その、神の領域にて──


「本当にいいの? 貴女が望むなら、この世界で生き返らせてあげることもできるのだけど……」


 純白のかなり薄い服を纏った巨乳美女が、セーラー服を着た少女に話しかける。


「ありがとうございます。生き返りたくないわけじゃないです。家族も、寂しがるでしょうし……それでも私は、異世界に行ってみたいです」


 少女は、真っ直ぐ美女を見つめて答えた。


「わかったわ。確かに、最近多いのよね。貴女みたいに、生き返るより異世界に行きたがる人って」


「そうなんですか?」


「そうなの。まるで、異世界転生ブームね」


「あー、確かに。それはあるかも知れません」


 少女が、今の人間界では人が異世界に転移や転生して、その世界で主人公が無双するネット小説が人気があること。


 それらが本になったり、アニメになったりして、多くの人間が異世界転生に夢や希望を抱いていることを説明した。


「えぇ!? 今って、そんなにあっちの世界の情報が広まってるの?」


「はい。もちろん全部、作り話なんですが──って、もしかして異世界のお話は、割と正しい感じですか?」


「だいたい合ってるよ。(私たち)からチート能力をもらって、無双して、魔王倒して帰ってくるのとかね。もしかしたら、記憶を消されずに帰ってきた人がいたのかも……」


 あっさり肯定されたことに、少女は驚いた。

 それと同時に、微かな希望を見つけた。


 自分が読んだ()()()のお話は、単なる作り話ではない可能性が出てきたのだ。


 望みが叶うかもしれない。


 少女には、異世界でやりたいことがあった。



「お願いします。私を異世界に転生させてください!」


「うん、それはいいよ。ちょうどあっちの世界の神との契約が、発動したばかりだからね」


「契約?」


「んーとね。まぁ簡単に言うと、お互いの世界が危機に陥った時、助け舟を出しあいましょう──っていう契約があるの」


「せ、世界の危機を!?」


 少女の表情に緊張が見えた。


「そう。なんかあっちの世界で、かなり強い魔王が生まれたみたい。それこそ世界のバランスを壊すクラスのやつね」


「それを……私が倒すんですか?」


「その通り」


 少女は、異世界に転生してもらうことを望んでいた。


 しかしそれには、代償が必要だった。

 その代償とは──


 異世界の魔王を倒すこと。

 魔王を倒す勇者となることだった。



「でも私、戦ったことなんて──」


「安心して。そのために私たち神が『ギフト(チート能力)』をあげるんだから」


 巨乳美女の身体が輝き出した。


「こっちの世界の人間に、()()をやるのは久しぶり」


「あの、い、いったいなにを──」


 美女が纏うオーラの力強さに圧倒される。


「貴女に素敵な力をあげるの。普通、こっちの世界から勇者を連れてくと、その勇者に能力をあげるのはあっちの世界の神。だけど──」


 今回は違う。


 歴代最強最悪の魔王が、誕生したからだ。


 ある一定以上の力を持った魔王が君臨した時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()を、あちらの世界に送り込む契約が交わされていた。


 強力な魔王が出現すると、異世界の神はその対処に追われ、こちらの世界から連れていった勇者に十分な力を与えられないかもしれない。


 だから今回のように巨乳美女──こちらの世界の最高神である女神が、勇者にチートを与えてから転移や転生させることになっていたのだ。



「実は私、あっちの世界の神より凄いのよ?」


 神の力は、世界に住む人々の信仰心で左右される。


 熱心に神を信仰する人の割合は、異世界の方が多い。あちらの世界の方が、神の存在がより身近に感じられるのだから。


 しかしこちらの世界は、転生先の世界より人口が圧倒的に多い。それだけ神を信仰する人数も多いのだ。


 つまり神の力にも、差があった。



「貴女が向こうの世界で、絶対に危ない目にあわないようにしてあげるね」


 女神から放たれたオーラが、少女へと移動していく。


 少女に、様々なギフト(神からの贈り物)が付与された。



 <体力増大(極)>

 <魔力増大(極)>

 <物理耐性(極)>

 <魔法耐性(極)>

 <異常状態(無効)>

 <スキルマスター>

 <ウエポンマスター>

 <スペルマスター>

 <クリエイトアームズ>

 <クリエイトマジック>

 <体力自動回復(極)>

 <魔力自動回復(極)>

 <回復速度上昇(極)>

 <神眼>

 <不屈>

 <超直感>

 <空間転移>

 <多重分身>

 <言語理解>



「──まぁ、こんなとこかな」


 通常、異世界の神が転移してきた勇者に与えるチートスキルは多くて三つ。


 この世界の最高神は、有り余る力を湯水の如く少女へとつぎ込んだ。



 その結果、歴代最強の勇者が誕生した。


「それじゃ、頑張ってね!」


 女神が手を翳すと、少女がその場から消える。


 異世界へと、転生したのだ。




 少女がいなくなった空間を、ぼんやり眺めていた女神の足元に、黒いモコモコしたなにかが近寄ってきた。


「どうしたの? ……あの子のことが心配?」


 女神はしゃがんで、黒いモコモコを撫でながら、優しい声で話しかけた。


「助けてもらっちゃったもんね。あの子と一緒に行きたいの?」


 その質問に応えるように、モコモコが縦に弾んだ。


「そう……わかった。彼女の所まで送ってあげる。しっかり彼女を守るのよ」


 少女と同じように、黒いモコモコもその場から姿を消した。



 ──こうしてハルトがいる世界に、歴代最強の勇者と、最高神の眷獣が転生した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


本作『レベル1の最強賢者』は──

書籍1~8巻、漫画1~5巻
好評発売中!!!

下の各画像から公式サイトに繋がります。



i467546
書籍1巻
i467547
書籍2巻
i463555
書籍3巻
i506684
書籍4巻
i551602
書籍5巻
i598585
書籍6巻
i1005000
書籍7巻
i1005001
書籍8巻
i478523
漫画1巻
i528961
漫画2巻
i598587
漫画3巻
i1005003
漫画4巻

i1005004
漫画5巻

Twitter でも色々と情報公開中!
#レベル1の最強賢者 で検索してね

i683693
― 新着の感想 ―
[一言] 勇者は男かと思ったけど…少女…あっ、ふーん(察し
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ