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レベル1の最強賢者 ~ 呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れて最強に ~  作者: 木塚 麻弥
第九章 それぞれの日々

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最強メイドと世界樹

 

 ……残念です。


 私は目の前の光景に、失望を禁じえませんでした。


 お宝の山だった地下空間が、ただの石ころ置き場に変わってしまったのですから。



 この地下空間の鉱石は、日々()()()()()()()()


 普通、石が魔力を吸収してオリハルコンや魔鉱石などに変化するには、とても長い時間がかかります。でもここの鉱石は、すごく早い速度で成長していたのです。


 多分、お風呂の残り湯がここに流れ着いたことが影響していたのでしょう。


 いつもお風呂に入っている時は気づきませんでしたが、壊れた配管を修理しようとしていた時、流れ出ていた残り湯からはとてつもないエネルギーを感じました。


 ハルト様の膨大な魔力が、その排水に溶け込んでいたのです。


 そんな魔力が込められた水が、この空間にあった土や石ころを、レア鉱石と呼ばれる魔鉱石やオリハルコン、アダマンタイト、そしてヒヒイロカネに変化させたのだと思います。


 恐らく、ちゃんと採掘すればH&T(ハルト&ティナ)商会の所有する鉱山を全て合わせた以上の採掘量になったでしょう。


 それなのに──



 ほとんどの鉱石が、ただの石に戻ってしまいました。


 全部この、根っこのせいです。


 突如、屋敷の中庭に生えた巨木の根が、この地下空間まで伸びて、レア鉱石から魔力を吸い尽くしてしまったのです。


 根っこに殺意が芽生えました。


 採掘時期を見誤った私のせいでもあります。

 鉱石が順調に成長していたので、採掘の開始はもっと後でもいいって判断したのです。


 レアな鉱石をいっぱい採掘できたら、きっとハルト様は私を褒めてくださったはずです。


 ハルト様に褒めていただきたくて、最大量の鉱石が採れるように待ちました。それが、失策でした。


 私が作った地下空間がレア鉱山になったと、もっと早くご報告しておけば、その時点でハルト様は私を褒めてくださったかもしれません。


 悔やまれてなりません。



 ちなみに、全てのレア鉱石が石に戻ったわけではありません。


 ヒヒイロカネだけは、変わらずその場にありました。


 不変金属と呼ばれる鉱石ですから。

 魔力を木に吸われた程度では、石に戻らなかったのでしょう。


 ヒヒイロカネは鉱石の中で最もレアです。

 しかし、最も市場価値が付きにくい鉱石です。


 だって、加工ができないのですから。

 加工どころか、採掘すら不可能です。


 この世界に、ヒヒイロカネを採掘できる工具はありません。


 世界最硬の鉱石──それが不変金属(ヒヒイロカネ)です。



 私の左手の薬指にはヒヒイロカネの指輪がはめられていますが、これは存在自体が奇跡なんです。


 守護の勇者であった頃のハルト様が、私のために造ってくださった指輪です。


 レベル300が上限であるこの世界で、『守護者』というスキルを発動させてレベル360のステータスになったハルト様が、なんとか加工できたという指輪でした。


 今のハルト様は守護者(スキル)を持っていません。


 つまり今、ヒヒイロカネを加工できるヒトはいないんです。



「はぁ……」


 ため息がでちゃいました。

 仕方ないですよね。


 すごくレアなのに、全く使えない鉱石しか残らなかったのですから。



「この根っこ……燃やそうかしら」


 地下空間に根を張る巨木への殺意が、ふつふつと湧いてきます。



 ──おや?


 なんでしょう。

 木の根が震えてる気がします。


 木が、恐怖を感じているのですか?


 まさか。

 そんなことあるはずないですよね。



 なんとなく、手元に炎を出してみました。


「えっ」


 地下空間の全面に張り巡らされていた根っこが、私が出した炎から逃れるように、サーっと引いていったのです。


 間違いなく、木が恐怖を感じていることが読み取れました。


 この木、意思があるみたいですね。


 少しだけ、燃やすのが可哀想になりました。


 ちなみに、本気で燃やすつもりは()()ありません。ここで根っこに火を付けたら、地上の木まで燃えて、ハルト様のお屋敷に火が燃え移ってしまうかもしれません。



 ちょっと思いつきました。


「意思があるみたいなので、言っておきますね。あなたがここにあった鉱石より、価値があるとアピールしてください。もし、価値がないと私が判断したら」


 豪炎を身体の周りに纏わせながら──


「燃やします」


 全力で木を脅してみました。

 


 ……私、植物に対して、なにをやってるのでしょうか?


 ダメですね。


 ハルト様に褒めていただくチャンスを逃したせいで、ちょっとイライラしちゃいました。


 こんなことしたって、意味ないのに。


 纏っていた炎を消しました。



 とりあえず、ヒヒイロカネが採掘できるかもしれないということだけはハルト様にお伝えしましょう。


 ハルト様なら、不変金属すら採掘できる方法を、編み出してしまうかもしれません。


 そうしたら、私を褒めてくださるかも!


 少しだけ前向きな気持ちになりながら、私は地下空間を後にしました。



 ──***──


「ハ、ハルト様……これは?」


「ティナ、聞いてくれ! シルフとルナが昨日、中庭に世界樹を植えたらしいんだけど、その世界樹が急に震え出したと思ったら──」


 ハルト様は、中庭を埋め尽くさんばかりに落ちている無数の赤い果実の中に立っていました。


 中庭に生えていた巨木から突然、この果実が大量に落ちてきたそうです。


 中庭にはハルト様やルナさん、それから精霊王のシルフ様がいらっしゃいましたが、皆さんの頭上には果実が落ちてこなかったそうで、怪我などはないようです。


 ちょっと気になる単語が聞こえました。


「せ、世界樹? こ、これ……世界樹なのですか?」


「うん、そうみたい」


 私の故郷にだけ生えている世界樹が、いつの間にかハルト様のお屋敷の中庭にも生えたみたいです。


 ちなみに世界樹は千年に一度、たったひとつだけ実を付けます。


 その真っ赤な実は、食べた者の存在の格を高める効果があります。


 具体的な効果としては、寿命が延びたり、ステータスが格段に向上したりします。


 この巨木が本当に世界樹なのだとしたら、この赤い実は、世界樹の実ということになります。


 それが、こんなにたくさん……。

 見た限り百個以上は落ちてました。



 あれ?

 も、もしかして……。


「私が価値をアピールしろって、言ったから?」


 まるでその質問に『はい』と答えるように、私の目の前に真っ赤な果実が落ちてきました。


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