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レベル1の最強賢者 ~ 呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れて最強に ~  作者: 木塚 麻弥
第九章 それぞれの日々

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元聖女&元聖騎士 とデート

 

 屋敷に帰って着替え、中央街の噴水広場まで移動して、そこにあるベンチに座っていると、十分くらいでエルミアとセイラがやってきた。


 約束の時間より、およそ二十分早い。


「ハルト、待たせてしまったか?」

「お待たせしました!」


「ううん、大丈夫だよ。俺がふたりとのデートが楽しみで、少し早く来ちゃった。ふたりとも私服、可愛いね」


 ふたりの表情が明るくなった。


 セイラの私服は白色のワンピース。

 羽織ってる上着は、俺が彼女の誕生日にプレゼントしたやつだと思う。


 エルミアの服は、普段着ている鎧より露出が控えめだけど、下は黒のショートパンツを履いていて、彼女の綺麗な脚がいつもより目立ってみえる。


 胸の露出が抑えられて、視線が生足に集中するせいかな?


 ふたりとも可愛かった。

 あと、エルミアはエロかった。



 ちなみに俺は、家族の誰かと待ち合わせしてデートする時、約束の時間よりだいぶ早めに行くようにしている。


 俺が先に待ち合わせ場所にいた方が、家族の誰かがトラブルに巻き込まれる可能性が減るからだ。


 エルノール家には、この学園でトップクラスの美女や美少女が揃っている。


 彼女らがデート用のオシャレな私服を着て、待ち合わせのためにその辺で座ったりしていると、必ずと言っていいほど声をかけられる。


 つまり、妻がナンパされちゃうのを防ぐために、俺は待ち合わせ時間より早く移動するようにしている。


 もちろん、デートが楽しみってのも本当だ。



「それじゃ、いこーか」


「はい!」


 そう言って俺が手を差し出すと、セイラは迷わずその手をとった。


 そのまま俺の右側に来て、腕を組んでくる。


「ほら、エルミアも」


 催促しても、エルミアはなかなか俺の手をとろうとしてくれない。


「こ、これだけ人目がある所で、()()()()()するのは……む、むりだ」


 消え入りそうな声で、エルミアが訴えてきた。


 中央街の噴水広場は、カップルに人気の場所であるため、俺たちの周囲には男女ペアが多い。


 とはいえエルミアもセイラも美人なので、割と注目を集めている。


 腕を組むのは恥ずかしいらしい。


「それに私は、背が高いし……」


 エルミアは、俺より背が高い。

 彼女が俺の腕に手を回そうとすると、変な体勢になってしまう。


 そればかりは、俺の背が低くて申し訳なくなる。


 クラスの男子の中では、俺の背が一番低い。


 ルークは長身のイケメンで、リューシンは学園全体で見てもトップクラスにガタイがいい。


 一応、俺も同年代の中では、背が高い方なんだけどな……。


 エルミアのスタイルが良すぎるんだ。


「ハルト様、エルミアは──」

「えっ……うん、うん。わかった」


 セイラに小声で指示されたから、それに従ってみることにした。


「エルミア、行くよ!」

「──あっ」


 ちょっと強引にエルミアの手を取って、歩き始める。


 エルミアは恥ずかしそうに下を向いているけど、文句を言わずについてきてくれた。


 やっぱりエルミアとの接し方は、セイラが一番よくわかってるな。



 ──***──


 少し歩いて、お目当てのケーキ屋までやってきた。


 持ち帰りも食べていくのも、完全予約制なので店の周囲に行列はできていない。


「ハルト、予約なしでここまで来ちゃったけど……本当に大丈夫か?」


 すごくオシャレな店舗を見て、エルミアが不安そうにしていた。


「うん。ケーキが出てくるまでに少し時間はかかるけど、席は問題ないよ」


 そう言って、セイラとエルミアの手を引き、お店の中へ。


「いらっしゃいませ。大変申し訳ございません。本日は持ち帰りも、店内でお召し上がりいただく分も完売でして──」

「あぁ、彼らはいいんだ。私が対応する」


 若い女店員の言葉を遮るように、店の奥からパティシエっぽい格好の女性が出てきた。


「ハルト様、ようこそおいでくださいました」


 彼女がここの店長だ。


「店長、久しぶり。連絡せずに来ちゃったけど、今日もケーキを作ってもらえる?」


「もちろんです。いつものように少しお時間をいただきますが、よろしいですね?」


「うん。大丈夫」


「畏まりました。それでは、こちらへ」


 店長の案内で、二階のカフェへ移動する。


 二階には十ほどの席があるが、そのほとんどが埋まっていた。


 カフェのカウンターから少し離れた場所に、ひとつだけ空いた席があった。そこは周りの席とは違い、立った俺の胸くらいまでの高さがある仕切りで三方を囲まれている。


 俺たちはその席に案内された。

 四人まで座れるようになっている。


 この席、俺のために常に空いているんだ。


 俺が来た時か、俺が優待券を渡した人が来た時、予約なしでも食事ができるようになっている。


 このお店はケーキが有名だけど、軽食も頼むことができる。軽食をとった後に、ケーキを食べていく人も多いという。



「それでは、少々お待ちください」


 店長がお辞儀をして、一階に降りていった。


「ほ、ほんとに来れてしまった」

「予約なしでも、ここのケーキ食べられちゃうんですね。でも……さすがに時間がかかりますよね?」


「いや、いつも二十分くらいで出てくるよ」


 店長は少し待ってほしいと言っていたが、時間で言えばそのくらいでケーキが出てくる。


 セイラとエルミアにそのことを伝えたら、ふたりとも驚いていた。


 ケーキ作りって、普通ならかなり時間がかかるらしい。


 俺はケーキなんて作ったことないから、よくわからないけど……。


 また、このお店の名物である、ふわふわのシフォンケーキは特に作るのが大変だという。


 その時間がかかって大変なケーキ作りの工程を、魔法を使うことで短縮してしまうのが、店長の技術だ。もちろん魔法をつかっても、味は変わらない。


 しかし、魔法でケーキを作るのはかなりの集中力を要するので、俺が来店してケーキを注文した時しかやらないのだとか。



 魔法を使って、短期間でケーキを作る技術を開発したのはティナだ。


 ここの店長は、ティナの弟子だった。


 そしてティナは、このお店を出店させたH&T商会のトップでもある。


 俺がこんなにも優遇してもらえる理由は、全てティナのおかげだった。



 ちなみに、このお店にはティナとふたりで、何度もデートに来ている。


 食事の途中で、ティナが店員への接客指導とかを始めちゃって、デートどころじゃなくなることもあったけど……。


 そんなティナの指導のおかげで、ここは食事も接客も、中央街でトップクラスに質が高いお店になっていた。



 ──***──


 二十分くらいで、店長がケーキを持ってきてくれた。


「お待たせしました。当店自慢の、シフォンケーキです」


「お、おぉ!」

「美味しそうですね」

「店長、ありがと」


「はい。それでは、ごゆっくりどうぞ」



「それじゃ──」

「「「いただきまーす!」」」


 シフォンケーキに手をつける。


 ふわっふわだった。

 付け合わせのフルーツも美味しい。


 なにより、シフォンケーキの周りに付けられたホイップクリームが最高だ。


 俺が元いた世界で大好きだったものが、完全再現されている。口溶けが素晴らしい。



 セイラとエルミアは、夢中でケーキを食べている。


 本当に美味しいものに向き合うと、人は無口になるんだ。


 俺は何回か食べてるので少し慣れてきたけど、初めて来た時は余所事を一切考えずに、無心でケーキを口に運び続けた。


 今のセイラたちは、まさにそんな感じだった。


 いつもはゆっくり食事をとるセイラが、今日は口の動きがだいぶ速い。エルミアは一口がかなり大きかった。


 そんなに急いで食べると、後で喪失感がすごいぞ?


 俺は経験済み。

 だからゆっくり、味わって食べる。



 その後、案の定ふたりはすぐにケーキを食べ終えてしまった。


「ほら、セイラ。あーん」

「いいのですか!? あーん」


 しょぼんとするセイラに、俺の分を少しわけてあげる。


 セイラはとてもいい笑顔を見せてくれた。


 その様子を、エルミアが凝視していた。


「エルミアもいる?」

「えっ、わ、私は……その──」


「はい、あーん」

「あ、あーん」


 公の場では絶対に『あーん』とかやらないエルミアが、今日は俺の差し出したケーキの乗ったフォークに飛びついた。


 顔は真っ赤だったけど、頬は緩んでいた。


 コイツのこーゆーとこが可愛いんだよな。



 今日はふたりをここに連れてこられて、ほんとに良かった。ふたりとも私服が可愛かったし、ちょっとデレたエルミアが見られた。


 次は誰を連れてこようかな?


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