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新たな仲間たち

 

 七月、俺たちのクラスに、ふたりの転入生がやってきた。


 ハイエルフのリエルと、人族のヒナタだ。


 リエルはルークの奥さんで、ヒナタはリューシンの彼女。


 リューシンにとってヒナタは、初めてできた彼女らしい。


 そんで俺の親友ルークが結婚したのだから、四人を俺の屋敷に招いて、全力でお祝いした。


 お祝いとして、リエルとヒナタが魔法学園に入れるように色々手を回した。


 ふたりともルークやリューシンと、一緒にいたいと希望していたから。



 イフルス魔法学園は本来、途中入学を認めていない。


 例外があるとすれば、並外れた魔法の才能があり、学園長が特別に入学を認めた場合か──


 裏工作が行われた場合。



 俺は、()()()()()


 まず俺名義で、H&T商会から多額の寄付金を学園に提供した。税金対策にもなるらしく、商会の経理部が進んで対応してくれた。


 次いで、ルアーノ学園長と古くからの知り合いだという星霊王に、学園長との交渉を頼んだ。


 更に正規の入学試験も突破できるくらい、リエルとヒナタの魔法センスを高めることにした。


 リエルはアルヘイム(エルフの王国)の王族で、しかも風の精霊王シルフの加護をもっていたので、魔法を使う技術に関しては全く問題なかった。


 苦労したのはヒナタの方だ。

 彼女は、良くも悪くも凡人だった。


 精霊や神の加護を持っているわけでもなければ、魔法を使ったこともないらしい。


 魔力量は魔法学園の新入生の平均くらいはあったから、問題なく魔法は使えそうだ。


 でも、学園中の異端児をひとつにまとめたウチのクラスで、普通に魔法が使える程度の一般人(ヒナタ)がやっていくのは大変だと思う。



 だから、学園長と交渉するために星霊王に顕現してもらった時、ヒナタに加護を付けてもらった。


 星霊王の加護のおかげで、常に精霊たちの補助が受けられるようになり、ヒナタはレベル上げを全くしていないにもかかわらず、上級魔法まで使えるようになった。


 しかし、それだけだと知識や技術が不足するので、俺とティナ、それから賢者ルアーノという布陣でヒナタに魔法教育をした。


 ついでに、ベスティエ(獣人の王国)にある遺跡のダンジョンを使って、彼女のレベル上げも行なった。


 その結果──



 わずか一ヶ月ほどで、ヒナタはレベル100の上級魔道士になった。


 魔力量なども、桁違いに強化されている。


 魔法学園の生徒で、普通に魔法だけで戦ってヒナタに勝てるのは、たぶんウチのクラス以外にはいないんじゃないかな。



 それからヒナタには、リューシンと喧嘩した時や、リューシンが竜化して暴走した時、彼を止めるための聖属性魔法も使えるようになってもらった。


 この訓練は、元聖女であるセイラに協力を頼んだ。


 もともとヒナタは、聖属性にも適性があったみたいだ。更に星霊王の加護の効果も加算され、魔道士でありながら、聖女見習い級の聖属性魔法も使いこなせるようになった。


 これでリューシンが暴れても、ヒナタだけで止められるだろう。


 セイラと聖属性魔法の訓練していたヒナタが、力強い光に包まれる様子を見て、リューシンが固まっていた。


「リューシン、黒竜の姿であんまり下手なことしたら……消滅させられるかもな」


「お、お前ぇ、なんてことを──」


 冗談のつもりで声をかけたのだが、彼は泣きそうな顔で俺を睨んできた。


「えっ、ご、ごめん。冗談だ」


()()はどう見ても、冗談じゃすまねぇだろ! 絶対、やりすぎだ!!」



「あっ、リューシン様! いらしてたのですね」


 リューシンが来ていたことに気づいたヒナタが、俺たちの方に近づいてきた。


「見てください! 私、強くなれました!!」


 光り輝くオーラを、身体の周りで自在に操ってみせるヒナタ。


 ひと月前にはただの村人だったというのが信じられないほど、魔力の扱いに長けた魔道士に成長している。


「あ、あぁ、うん……そうだね」


 俺を消せるくらいね──って、すごく小声でリューシンが呟いていた。


「えへへ、これでリューシン様を傷つけようとする輩が現れても、私がお守りできます!」


 リューシンに褒められて嬉しそうなヒナタが、笑顔で彼に抱きついた。


 戸惑いながらも、リューシンは彼女を受け止め、その頭を撫でてあげている。



 ここ一ヶ月の訓練期間は、一般人だったヒナタにとって、かなり過酷なものだったはず。


 それでも彼女は、一切弱音を吐かなかった。


 ヒナタは、この世界最強の魔物である竜になれるリューシンを、守れる存在になるつもりだった。


 最初にその意志を聞いた時、俺は訓練がかなり厳しいものになると伝えたのだけど、彼女は怯まなかった。


 そして、本当に一ヶ月でやり遂げたんだ。

 ヒナタ、スゴい。


 ふたりが抱き合ってイチャイチャしているので、俺はセイラをつれて、その場を離れることにした。



 ──***──


 セイラと一緒に歩いている途中で、ふとあることを思い出した。


 そーいえば、このイフルス魔法学園って、生徒以外はその親族も学園祭の時以外は立ち入り禁止だよな?


 セイラが、普通にここにいていいのかな?


 聖都サンクタムで悪魔を倒してから、既に二ヶ月が経過している。


 その間、セイラやエルミア、キキョウ、シトリーが新たに俺の屋敷で暮らすようになっていたけど、そのことをルアーノ学園長に相談するのを完全に忘れていた。


 あれ?


 も、もしかして──いや。もしかしなくても、無断でやっちゃってるってことだよな?


 や、やばいかも知れない……。


 そんなことを思っていたら──



「ハルト様、わたしはお仕事がありますから、ここで失礼しますね」


「えっ!? セイラ、なにか仕事してるの?」


 セイラの発言に驚いた。

 俺が全く知らないうちに、セイラが働いていた。



「えっと……はい。この学園の救護職員をやってます」


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