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レベル1の最強賢者 ~ 呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れて最強に ~  作者: 木塚 麻弥
第九章 それぞれの日々

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世界樹登頂デート

 

 昼になったので図書館を出て、リエルと昼食を食べた。


 その後、彼女が買い物をしたいと言うので、王都の商店街をふらふらしながら、リエルの買い物に付き合った。



 夕刻


 日が沈んできた。


 そろそろ、いい時間かな?


 今回のデートの、メインイベントを始めようと思う。


「リエル、行きたい所があるんだけど……まだ時間、大丈夫?」


「時間ですか? えっと、その……じ、実は今日、外泊も……大丈夫です」


 えっ。


 そ、それって──


「俺とどこかに泊まるのも、おっけーってこと?」


 顔を真っ赤にして俯いたリエルが、俺の服の裾をギュッと握りながら無言で頷いた。


 マジか……。


 え、マジで?


 リエルの家には門限があるらしく、これまでのデートであれば、必ず夜八時までにはリエルとお別れをしなければいけなかった。


 それが今日は、お泊まりもできるらしい。


 なんてタイミングだ。

 神がかっている。


 俺の日頃の行いが、いいからかな?


 いや、まだ焦るなルーク。

 喜ぶのは、リエルの返事を聞いてからだ。



「それじゃ、俺の行きたいところ、ついてきてね」


 リエルの手を握って、歩き始めた。


 彼女はまだ俯いたままだが、しっかりと俺についてきてくれた。



 ──***──


「ルークさんが来たかった場所は、ここなのですか?」


「そう」


 俺がリエルを連れてきた場所、そこはアルヘイムの中心にそびえ立つ巨木──世界樹の根元だ。


「そろそろだと思うんだけど──」


 少しその場で待っていると、俺とリエルの前に風が渦巻き始めた。


 その風の中心に──


「やっほー! ルーク、久しぶりだね。待ってたよ」


 世界樹の化身、風の精霊王シルフ様が現れた。


「シ、シルフ様!」

「あっ、いいからいいから。膝つくと洋服汚れちゃうでしょ? だから、立ったままでいいよ」


 リエルがシルフ様の前に膝をつこうとしたけど、シルフ様がそれを止めてくださった。


「……よろしいのですか?」

「うん! 気にしないで」


 リエルたちエルフ族にとって、アルヘイムを守り、恵みを与えてくれる世界樹は、絶対的な存在だ。


 その化身であるシルフ様も、リエルたちにとっては最上級の敬意を持って接すべき存在だという。


「あの、シルフ様がどうしてこちらに?」


「ルークに頼まれたの」


「えっ!?」


 信じられないというような表情で、リエルが俺の方を振り返った。


「正確にはルークが、僕の契約者であるハルトに頼んだから、僕がここに出てきたの。リエルも、ハルトのことは知ってるよね?」


「も、もちろんです! この国の大恩人ですから、知らないはずがありません」


 俺の親友ハルトは、風の精霊王シルフ様の契約者だ。しかも残る三属性の精霊王とも契約しているっていうから、驚くのを通り越して、笑うしかない。



「ルークなら、自力で上までいけるよね?」


「はい。問題ありません」


「あっ、あの……上って、もしかして──」


「世界樹のてっぺん」


 俺の言葉を聞いて、リエルが固まってしまった。


 エルフ族にとって、世界樹は神聖なものであり、登るどころか触れることすら禁忌とされていた。


 普通だったら俺が誘っても、リエルは世界樹に触れることすら拒んでしまうだろう。


 でも俺は今日、どうしてもリエルを世界樹の一番上まで連れていきたかった。


 だからハルトを通して、こうしてシルフ様に顕現していただいた。



「リエル、僕が許可する。だからルークと一緒に、世界樹を登っていいよ」


「ほ、本当によろしいのですか?」


「うん。世界樹のマナが過干渉しないように、僕の加護をリエルにもつけとくね」


 ふわふわとシルフ様が飛んできて、リエルの頭に触れた。


 世界樹の内部を満たす高濃度のマナは、エルフ族が好きすぎて、世界樹内部にエルフが入ってくるとその周囲を取り囲んでしまうらしい。


 その濃度が濃すぎて、エルフたちは魔力酔いの症状が出てしまう。


 シルフ様が触れたあと、リエルの身体がぼんやり輝いていた。


 精霊王の加護をもらえたようだ。


「わ、私……な、なんて言えばいいか──」


 感動のあまり、リエルは泣きそうになっていた。


「お礼ならルークに言ってあげて。それじゃ、僕はこれで」


 そう言ってシルフ様は、その場から姿を消した。



「よし、それじゃ、行こうか!」

「えっ、ル、ルークさん? ──きゃあ!!」


 リエルを抱きかかえ、魔法で飛び上がった。


 ちょっと驚かせてしまったかな?

 そういえば、リエルを抱えて飛んだことはまだなかった。


 空を飛んでいるのが怖いのか、リエルは必死に俺にしがみついてくる。


「驚かせちゃった? ごめん。でも、絶対にリエルを落としたりしないから」


「……ルークさんを、信じます」


 恐る恐るといった感じで、彼女が顔を上げた。でも、まだ周りを見渡すことは無理なようで、俺の顔をジーッと見つめてくる。


 今はそれでいい。



 おっと、日が沈みそうだ。


 少しスピードを上げたい。


「リエル、そのまま俺だけを見てて。ちょっと飛行速度を上げるから」


「は、はい!」


 日暮れに間に合うよう、俺は飛行速度を上げていった。




 なんとか間に合った。


「もう、目を開けていいよ」


 やっぱり怖かったようで、リエルは途中からギュッと目を固く閉じていた。


 俺とリエルは今、世界樹の頂上にある枝に立っている。


「ルークさん」


「周りは見える? 俺がしっかり支えてるから。ゆっくり、見渡して」


 俺を信頼してくれたんだろう。


 恐る恐るといった感じで、リエルが背後の風景に視線を向ける。



「……きれい」


 彼女の口から、自然に言葉が漏れた。


 リエルの目には、何にも遮られない夕日が、遠くに見える海を、大地を、そしてアルヘイムを赤く染め上げる風景が映っていた。


 俺はこの風景を、彼女に見せたかった。



 数分後──


 夕日が沈み、辺りが暗くなっていく。


 すると、世界樹の枝の隙間からアルヘイムの街に火が灯っていくのが確認できた。


 下から、世界樹がぼんやりと照らし出される。世界樹自体も、うっすらと輝いていた。


 下からの街の光と世界樹の発光で、俺たちの周りには幻想的な風景が広がっていた。



「ルークさん、凄いです。すごく、きれいです。これを、私に見せたかったのですか?」


「うん。だいぶ遅くなっちゃったけど……学園祭の時の、お詫びのつもり」


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