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ルークの親友

 

 魔法学園に入学して二日目、クラスの全員がそれぞれ自分の得意な魔法を披露する機会があった。


 俺のクラスメイトは、全員がヤバかった。


 異常な攻撃力をもつメルディやリューシン。


 正反対の属性魔法を融合してしまうマイとメイ。


 周囲の空間が歪むほど魔力を集められるリファ。


 竜の巫女であるリュカは、魔力が通っていればモノでも修復ができてしまうらしい。


 この世界で不遇職と言われている付術師のルナの補助魔法もヤバかった。

 何でまだ一年生なのに、マクスマジック(魔力最大強化)使えるの!?


 全員が、ヤバかった。



 後日じいちゃん(学園長)に聞いたのだけど、ティナ先生が担任を引き受けてくれたことで、本来なら各クラスに振り分ける予定だった異端児たちを、全員一纏めにすることができてしまったんだとか。


 うちのクラスに異常な力を持つメンバーが集められた理由がわかった。



 ちなみにその時、ヨウコは存在を薄くする魔法を使っていたみたいで用意された的を攻撃することはなかった。


 俺は学園長の孫で、賢者見習いなのだが、それでもヨウコの魔法を見抜けなかったのだから、彼女の魔法は凄いと思う。


 ティナ先生はヨウコの魔法にも気づいていたみたい。だから、ティナ先生はもっと凄いと思う。


 みんなの魔法がヤバかったので、俺も全力を出すことにした。


 賢者の孫の、アイデンティティを見せてやる!



 この世界で数人しか使えない究極魔法で的を、その台座ごと完全消滅させた。


 普段は長ったらしい詠唱なんて省略しちゃうのだが、その時はできる限り威力を上げるために完全詠唱したんだ。


 みんな驚いてくれた。


 特にハルトは、俺の使用した究極魔法の凄さをしっかり理解してくれた。


 魔法の発動前から、俺が究極魔法を使おうとしていることに気付いていたみたいだし、威力はそのままで範囲を絞って究極魔法を放つことの難しさもわかっている様子。


 さすがだ。


 まぁ、伝説の英雄ティナ=ハリベルに、幼少の頃から魔法の指導してもらっていたって言うから当然なのかもしれない。


 ここまでは良かった。



 この後、ハルトが使った魔法がヤバかった。


 ヤバいクラスメイトたちの中でも、群を抜いてヤバかった。


 なんだろう……俺は賢き者と書いて賢者、その見習いなのだけど、ヤバいを連呼してて、頭が悪そうに思えてしまう。


 でも、うちのクラスメイトやハルトを表現するのに、それ以外の単語が見つからないんだ。



 ハルトが放ったのは、火属性の最下級魔法であるファイアランスだった。


 それは、間違いない。


 詠唱もそれだったし、魔力の流れだって一般的なファイアランスのものと同じだった。


 違ったのは、魔法の規模と威力。


 消費魔力が本来はたったの2であるファイアランスに、まるで10万近い魔力を込めたかのような巨大な炎の槍をハルトが出現させたんだ。


 魔力10万って、普通はありえない。


 上級魔導師が十数人集まって、なんとか行使できる規模の魔法だ。


 そんな魔法でハルトは、的どころか的の十倍の強度を誇るという訓練所の壁に巨大な穴を開けた。


 バケモノか!? ──親友に対して俺は、そうツッコミたくなった。


 でもこれですら、ハルトを語るうえでは大したエピソードじゃないんだ。



 俺は、ハルトが実は魔王なんじゃないかって思っている。


 俺にそう思わせたのは、ハルトの()()()()を見たからだ。


 炎の騎士。


 それは、ハルトの命令を受けると、ほとんど自動で動いて魔物を狩る魔法だった。


 ある程度自動で動く魔法ってのは、確かに存在する。


 異世界からきた勇者たちは『魔法をプログラムする』と言っていたらしい。


 ファイアランスとかでもそうだけど、例えば十メートル真っ直ぐ飛んだ後、右に曲がる──っていうのだったら実現できる魔導師は何人もいる。


 俺のじいちゃんも、そのひとりだ。


 あまり器用じゃないから、俺にはまだ無理だけど……。


 でも確かに、魔法はプログラムできる。


 ハルトの炎の騎士も、プログラムされた魔法だと本人から教えてもらった。



 だけど、どう考えても異常なんだ。


 魔法耐性が高いはずのマホノームを、手に持つ炎の槍で貫けてしまうことも。


 まるでヒトのように動いて、それが自律行動してるってことも。


 更に数体で連携をとれるってことも。


 炎の騎士は、全部が異常なんだ。



 武器を使用せずに近接戦闘をするのなら、うちのクラスではリューシンが一番強いと思う。


 なにせ彼は、最強の魔物であるドラゴンとヒトが交わって生まれた最強種族、ドラゴノイドなのだから。


 そんなリューシンが当初、ハルトの炎の騎士に手も足も出なかった。


 一対一でも勝てなかったんだ。


 最近はリューシンも成長して、複数体の炎の騎士を同時に相手して戦えるまでになっているから、リューシンも十分バケモノだと思う。

 


 ハルトの話に戻ろう。


 一体がそんなに強い炎の騎士を、ハルトは数千っていう単位で運用できるらしい。


 実際に俺は、ハルトが一万体の炎の騎士を出現させて、それを進軍させた姿を目にした。


 Bランクの魔物を圧倒し、五体集まれば魔人すら倒せる魔法一万体を、思うがままに動かせる。


 そんな存在、魔王だと思っても仕方ないだろ。



 そっか……俺は、魔王の親友になってたのか。


 なかなか良い奴なんだけどな。

 俺の親友である魔王は。



 そんな魔王と仲良くなって、驚かされることがいっぱいあった。


 普通じゃ経験できないようなことも、たくさん体験できた。


 魔王みたいなやつだけど、本当に良い奴だから、これからもずっと仲良くしたい。


 ハルトのおかげで、彼女もできた。



「ルークさん、おまたせしました」


「あ、俺もいま来たとこだから」


 ちょうど彼女も来たし、ハルトの話はここまでな。


 これからデートなんだ。


 それじゃ、またな。



「ルークさん、猫ちゃんと何を話してたんですか?」


「俺の親友の話を、ちょっとね」


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