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ルーク=ヴェル=イフルス

 

 やぁ、俺はルーク。


 ルーク=ヴェル=イフルスだ。


 賢者である俺のじいちゃん、ルアーノ=ヴェル=イフルスが学園長を務めるイフルス魔法学園に通っている賢者見習い。


 昨日からイフルス魔法学園が十日間の休みに入ったので、俺はエルフの王国アルヘイムにひとりでやってきていた。


 魔法学園があるグレンデール王国とここアルヘイムは、高速魔導船を使っても移動に片道十日間くらいかかってしまう。


 だけど俺は飛行魔法が使えるので、ここまで数時間で来ることができた。


 今はアルヘイム王都の大通りにあるオシャレなカフェのテラス席で、ある女の子を待っている。


 久しぶりにその子と会えるのが楽しみすぎて、約束の二時間も前に来てしまった。


 だからちょっと暇なんだ。


 そうだな。暇だから、イフルス魔法学園でできた俺の親友のことでも話そうか。


 アイツはとんでもないやつだ。


 彼がここ二年くらいの間に成し遂げたことを列挙するだけでも、時間がつぶせそうだ。


 でもせっかくだから、俺とアイツの出会いから順に話していこう。



 ──***──


 俺はじいちゃんの権限で、魔法学園への入学試験などが免除された。


 そもそも入学する時点で賢者見習いだった俺が、じいちゃん以外から何を学べばいいんだって思っていた。


 まぁ、同い年の可愛い女の子と勉強できるのも楽しそうかなって考えて、じいちゃんに勧められるままに入学を決めたんだ。



 で、その入学式当日。


 ポニーテールの可愛い女の子が、貴族に絡まれてた。


 早速、女の子と仲良くなるチャンスだ!


 ──と思ったけど、相手は貴族なので少しやり方を考えなくてはいけない。


 貴族からの多大な寄付があって、じいちゃんはこの学園の運営ができているのだから。


 とりあえず貴族が女の子に手を出そうとしたら、そいつを気絶させられるように雷属性の魔法を手元に準備しておいた。



 その時、俺はアイツに声をかけられたんだ。


 俺より少し背が低くて、黒髪で綺麗な蒼い目をしたそいつは、臆せず貴族に向かっていった。


 それもそうだ。

 そいつ──ハルトは、伯爵家子息だった。


 俺が入学した年は、公爵家や侯爵家の関係者がいなかった。


 だから同学年の中では、ハルトが一番権力の有る家の出身ということになる。


 ハルトのおかげで貴族に絡まれていた女の子、ルナも無事に解放された。


 その後、俺はハルトに脅されて、彼と友達になった。



 ──ごめん、脅されてってのは嘘。


 俺がハルトに『バカ』って言ったのがきっかけだったんだけど、アイツが俺を本気で脅そうとしていないことは表情や、口調などで分かっていた。


 ハルトは俺のことをルナに勝手に紹介し始めて、しかも俺を親友と呼んだ。


 その時、ハルトとは本当に親友になれると思った。


 特に根拠はない。


 なんとなく気が合うとか、冗談を言い合える感覚とか、なんとなくノリが一緒そうとか──そんな、ゆるーい感じ。


 でも実際に今まで、ハルトとは親友として仲良くやってこれた。


 ただ最近はハルトが重婚して奥さんがいっぱいできて、かなり忙しいらしくあまり一緒に遊んでくれなくなった。


 飯とか食いに行く時も、俺とハルトのふたりでってのはなくなった。


 ノリで、ゲテモノ料理に挑戦しようとハルトとふたりで出店を巡ったりするのが楽しかった。


 だから、ちょっと寂しい。



 けど、ハルトの奥さんのひとり、リファの紹介で俺にも彼女ができた。


 エルフ族の女の子だ。

 めっちゃ可愛い。


 そのおかげで、ハルトがあまり構ってくれなくなっても、俺は幸せだった。


 もちろん俺が今ここで待っているのは、その彼女だ。



 ……おっと、つい惚気けてしまった。

 話が逸れたな。


 俺の親友、ハルトの話をしよう。


 俺とハルト、それからルナは入学式の後に仲良くなったのだが、既にクラス編成が終わった後で、じいちゃんに掛け合ってもそれをいじることはできなかった。


 どうやらじいちゃん(賢者ルアーノ)は、俺を今後の世界を担う者として育てるために、予めクラス編成を調整していたようだ。


 俺のクラスには、ハルトもルナも名前がなかった。


 ショックだった。


 せっかく親友ができたのに、クラスが別々になってしまったんだから。



 翌日、俺はクラス編成のことを知っていたが、あえて知らないフリをしてハルトたちと合流して、クラス編成を確認しに行った。



 なぜか、ハルトとルナと一緒のクラスになっていた。


 意味がわからなかった。


 しかも担任の名前もなかった。


 俺を育てるために、元A級冒険者である有名な上級魔道士が俺の担任になると言われていたのに……。



 俺たちのクラスの担任が、教室に入ってきた時、俺は驚いた。


 そのヒトは、ハルトの専属メイドさんだったから。


 そんで、そのメイドさん。


 英雄、ティナ=ハリベルだった。


 じいちゃんの賢者という職と同じ三次職の魔法剣士。


 しかもレベル250というのは、恐らくこの世界の住人の中では最高レベルだ。



 俺は後日、クラス編成がハルトの願いによって弄られたことをじいちゃんから聞いた。


 孫である俺の頼みすら聞き入れてくれなかったじいちゃんが、ハルトの希望を通したのだ。


 俺の担任をティナ先生にするためでもあったので、完全にハルトのためってわけでもないのだけど。


 でもじいちゃんは、数年かけて調整してきた人員配置などを、全て白紙に戻して急遽クラス編成を調整することにしたのだとか。


 それくらい、ティナ先生が担任になってくれるってのは凄いことだった。



 んー。でも、この辺の話はハルトがヤバいってより、ティナ先生が凄いって感じの話かな?


 よし、じゃあ次は、ハルトの魔法について語っていこうか。


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