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対戦後

 

「かんぱーい!」


 対戦が終わった後、俺たちは中央街にあるレストランに打ち上げに来ていた。


 もちろんお酒はまだ飲めないので、全員ジュースで乾杯する。


「皆さん、お疲れ様でした」


「私、一発しか魔法使ってないので大して疲れてないです」

「俺も俺も」


「それもそうですね。何はともあれ、教室の防衛成功です」


「「いえーーーぃ!」」


「今回は最上級生とは言え、あまり強くないクラスが相手でしたから圧勝できました。でも、次回はもっと強いクラスが対戦を申し込んでくるかもしれません」


 そうだ。今回余裕で勝てたからと言って、油断はできない。俺たちは毎月対戦をしなければならないのだ。


 それに俺たちの対戦を多くの生徒と教師が見ていた。今後は、今回のように一撃でまとめて相手を倒せることは少なくなるだろう。


「また、一対一の対戦ではなく、持久力勝負であったり、補助魔法の効果で優劣をつけるような対戦になるかもしれません。今日の勝利で満足せずに、明日からも授業でしっかり学んで、もっと強くなってくださいね」


「「はい!」」


 その後、思う存分飲み食いし、打ち上げは解散となった。



 ──***──


「ハルト様の見せ場を作ることができず、申し訳ありませんでした」


 俺たちの屋敷へ帰る途中、ティナが謝ってきた。


「別にいいよ。勝つことのほうが大事だろ」


「それはそうですが……私がハルト様の戦っているところを見たかった、というのも少しあります」


「そっか、じゃあ次の対戦ではティナにいいところ見せられるように頑張るよ」


「ふふふ、期待してますね。ところで……」

「あぁ、ティナも気づいたか」


「えぇ、ヨウコさん、いますよね?出てきてください」


 ティナが後ろを振り返り、誰もいないはずの空間に向かって呼びかける。


「ふむ、さすがティナ=ハリベルじゃな。契約を結んだ主様でもないのに我の存在を感じ取るとは」


 誰もいなかったはずのその場に着物姿の少女、ヨウコが現れた。


「お褒め頂きありがとうございます。それはそうと、何故私たちを付けてきたのですか?あと、契約とは?」


「あぁ、それは俺が話そう」


 今朝、ヨウコに主従契約を結ばれたこと、ヨウコが魔族で元々はこの学園の支配を目論んでいたことなどをティナに説明した。


「なるほど、では貴女はハルト様に取り憑いた魔族であると」


 ティナが何故か怒っている。


 そして右手に魔力を集め、高位魔法をヨウコに向けて放つ準備を始めた。


「ま、待つのじゃ!我は主様に絶対服従じゃ。だから主様が望まぬなら、この学園の支配など絶対にしない、だから赦してくれ!」


 ティナの纏った膨大な魔力にあてられて、ヨウコの身体が震えだしている。


「ティナ、待ってくれ。ヨウコには悪さはさせないから。このまま生徒として学園に居させてやれないか?」


「ハルト様は契約のせいで、その女狐を護りたくなってしまっているのです。悪魔がよく使う手段ですね。ご安心を、私がそいつを倒しますから」


「ひぃ、あ、主様ぁ」


 ヨウコが尻もちをついて、泣きそうな表情でこっちを見ている。


 俺に従順な和服美少女が居なくなるのも、俺の専属メイドが誰かを殺すのを見るのも嫌なので、俺はヨウコを庇うようにその前に立った。


「ティナ、落ち着け。俺は契約の影響なんか受けてないから」


「「えっ?」」


 ティナとヨウコから呆けた声が上がる。


 実はヨウコに契約を結ばれたあと、ステータスボードを確認したのだが──


 状態:呪い(ステータス固定)〘固定〙


 となったままで、ヨウコと契約を結んだことなどまるで無かったかのようになっていた。


 既に邪神の呪いがかかっているせいなのだろうか?


 ちなみに、ヨウコの右手には主従契約の印がしっかり残っているが、俺の右手の印はいつの間にか消えていた。


 ほんの少しだけヨウコに対して庇護欲が掻き立てられる気がするが、無視しようと思えば無視できるレベルのものだ。


 つまり、ヨウコは俺に従順になるという主従契約が残っているが、俺にはヨウコを護りたくなるなどといった効果はなくなっている。


 俺は一切のデメリットなしで、着物美少女を好き勝手にできるようになったのだ。魔族とはいえ、人化しているヨウコは見た目は人間そのものだ。


 しかも、けっこう可愛い。

 そんなヨウコを殺させてしまうなんてとんでもない。


「ヨウコ、立て」

「は、はい」


 俺の()()でヨウコが立ち上がる。


「1回回って、にゃーと鳴け」

「に、にゃ〜」


 ヨウコはその場で一回転した後、物凄く恥ずかしそうに鳴いた。


「な?俺の命令には絶対服従だ」

「あ、主様」


 主従契約による初めての命令で、自分の意志とは関係なく、身体が勝手に動いたことにヨウコは戸惑っているようだった。


「ハルト様には服従するかもしれませんが、この者はハルト様以外には洗脳や攻撃ができてしまいます」


「じゃあ、ヨウコは俺が許可した時以外はヒトに悪意を持った攻撃するのは禁止な」


 ヨウコの右手にある主従契約魔法陣を指で触りながら命令した。


「わ、分かったのじゃ!」


「これで問題ないだろ?あと、ヨウコに用が無い時は常に俺のそばに居させて、俺が監視するからさ」


「で、ですが、ハルト様の側に魔族を置くなど危険です!それに、仮にもヨウコさんは美少女ですし、ずっと一緒に居たりしたらハルト様の貞操が……」


 ティナが後半何を言っているのか、声が急に小さくなりよく聞こえなかった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >今朝、ヨウコに主従契約を結ばれたこと、ヨウコが魔族で元々はこの学園の支配を目論んでいたことなどをティナに説明した。 主従契約は、今朝ではなくて三日前だったはず
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