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レベル1の最強賢者 ~ 呪いで最下級魔法しか使えないけど、神の勘違いで無限の魔力を手に入れて最強に ~  作者: 木塚 麻弥
第八章 分身魔法とダンジョン運営

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母狐のお仕置き

 

「キキョウは、竜神様とお知り合いなの?」


「知り合いというか……」


 キキョウが俺の耳元に口を近付けてきて、俺にしか聞こえない小声で事情を教えてくれた。


「コヤツは昔、色竜(しきりゅう)の中で最弱だったのです。それで仲間の竜にいじめられて、(わらわ)の住む霊山まで逃げてきたのです」


 その時、泣いていた赤竜を不憫に思ったキキョウが、仲間の竜たちに馬鹿にされないくらいの力を手に入れるまで数百年もの間、面倒を見てやったのだという。


 つまりキキョウは、竜神様の育ての親だった。


「ちなみにコヤツも今は、神になったと言います。それを信仰する者たちに事実を伝えるのはさすがに可哀想なので、このことは口外せぬようお願いできますか?」


「う、うん。わかった」


「ありがとうございます。それから、彼も神です。その力の一部を付与している者に裏切られたような形になってしまって、怒りのやり場に困っているのです」


 そう言いながら、キキョウが土下座しているリュカを見る。


 リュカが俺の攻撃を止めなかったから、竜神様はリュカから竜の巫女としての力を奪ってしまうと言っていた。


 俺としてはリュカが傷つけられないのなら、彼女が竜の巫女でなくなってしまうのも受け入れるつもりでいた。


 リュカが使用できる、物体すらも回復できるリザレクションは便利だが、それが目的で彼女と結婚したわけではないからだ。


 竜の巫女でなくなっても、リュカはリュカだ。


 彼女が俺のそばにいたいと思ってくれるのならば、俺は今後も全力でリュカを守りたい──そう思っていた。


「赤竜は怒りに任せてあの娘の神職を奪うと言うておりますが、娘は赤竜への強い信仰心を持っているのが妾には見えます。その信仰心を、失わせてしまうのは惜しいのです。ですからこの場をおさめるのを、妾に任せていただけませんか?」


 竜神様の育ての親でもあるキキョウが、なんとかしてくれるのならお願いしたいと思う。


「お願いできる?」


「お任せください。ハルト様」


 妖艶な笑みを浮かべながら、キキョウが離れていった。


 そして地面に頭を下げているリュカに近付き、その前にしゃがんだ。


「リュカ、といったね?」


「は、はい」


「頭を上げて」


「……はい」


 キキョウが真っ直ぐ、リュカを見つめる。

 リュカはキキョウに魅入られて、彼女から目を離せなくなっていた。


 魔力の流れを見ると、キキョウがリュカの思念を読み取ろうとしているようだった。


「ふむ。貴女は赤竜のことを深く信仰している。それなのに此度、ハルト様を止められなかったのは、あまりのことに驚いて身体が動かなかったからなのですね?」


「そう、です」


「では、貴女は悪くない」


「で、ですが、竜神様をお助けするために動けなかったのは事実です!」


「その通り。貴女は悪くはないが、心が弱かった。神を深く信仰していても、その神を傷つける者を止められるほどの精神力を備えていなかったことに関しては、罰を受けるべきです」


 突然、キキョウが腕を振り上げ、リュカの頭に拳を落とした。


「ふぎゅっ!?」


 痛そうに頭を押さえるリュカ。


「これからは精神力も鍛え、己の護るべきものを護れる力をつけなさい」


「わ、わかりました」



「それから、問題は貴女の方ですね」


 キキョウが今度は、白亜の方に向き直る。


「ひっ」


 リュカの時とは違い、キキョウから殺気が漏れていた。


「勝手ですが貴女の思念を読みました。此度の騒動の原因は、貴女ですね?」


「そ、そうなの」


 頭を下げたまま、白亜は震えていた。


「顔を、あげなさい」


「……はい、なの」


「リュカより、ちょっと痛くしますよ?」


「ひぎゅ!!」


 リュカを殴った時より大きな音を立てて、白亜の頭頂部にキキョウの拳骨が振り下ろされた。


「愛しの彼が、必死に自分を護ろうとしてくれているのが嬉しかったのはわかります。妾も貴女の思念に触れて、少し共感してしまいました。ですが──」


「──っ!?」


 キキョウが白亜の両頬を引っ張った。


「戦いを教わった恩師に、己がしでかしたことを深く反省しなさい」


「ご、ごへふははいはほ」


 涙をポロポロ流しながら白亜が言葉を発するが、両頬をキキョウに(つね)られているせいで、なんと言っているかわからない。


 たぶん、『ご、ごめんなさいなの』だと思うのだが……。


 しかし、キキョウはその白亜の言葉を聞いて満足したように白亜の両頬から手を離した。


 九尾狐は他人の思念に敏感な種族だ。


 白亜が心から反省をしていることを感じ取ったのだろう。


 ニコッと笑顔を見せると、白亜の頬を手で優しくさすってから立ち上がった。



 そして土下座したままの竜神様に向かって話しかけ始めた。


「ふたりは、この通り深く反省しています。罰は妾が与えました。ふたりを、許しますよね?」


「えっ、いや、でも……」


「なんですか? いたいけな娘ふたりが、涙を流しながら許しをこうているのに、それを許さないと?」


「し、しかし、オレはそいつらのせいで──」


「小娘ふたりに助けられなかったくらいで、それを怨むというのですか? いつからお前はそんな腑抜けになったのですか? 本当にそれで、お前は神なのですか?」


「ゔっ」


 短く声を上げて、竜神はキキョウになにも言い返せなくなっていた。


「しかもたったひとりの人族に、神の肉体を動けなくなるまでボコボコにされるとは……情けない」


「そ、それはハルトが異常なのです! 神の文字にすらも干渉するバケモノが、ただの人族であるわけがないだろ!?」


「まぁ、それはそうよねぇ」


 物凄く小さな声で、キキョウが呟いた。

 たぶん、竜神には聞こえていない。



「とりあえず、黙りなさい。その腑抜けた根性、叩き直してあげましょう」


 キキョウが竜神に手を伸ばす。


「まっ、まさか()()をやるつもりじゃないだろうな!?」


 彼女がやろうとしていることに心当たりがあったのだろう。


 竜神は慌てて立ち上がり、その場から逃げようとした。


 しかし──


 キキョウの手が、竜神の頭に触れる方が早かった。


 逃げようと立ち上がりかけた状態で、まるで時が止まったかのように竜神の身体は固まっていた。


「キ、キキョウ? いったい、竜神様になにをしたの?」


「あぁ、たいしたことではありません。今の自分と同等の強さの敵と、戦い続けなくてはいけない精神空間に彼を閉じ込めたのです。まぁ、今回は赤竜が悪いわけではないので十分ほどで出してあげますから」


「そ、そうなんだ……」


 十分とはいえ、自分と同等の強さの敵と戦い続けるのはかなり辛そうだと思う。


「精神世界の一日が、こちらの一分くらいなのですけどね」


「ん? なにか言った?」


 キキョウが小声でなにか言っていたが、俺には聞こえなかった。


「ふふふ、なんでもございませんよ。ハルト様」


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